トンガリ倶楽部の図書室

図書係のS

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最近の記事

そういえば

物心ついたとき、私のそばに母親はいなかった。 いなかったかと思えば、今度は父親がいなくなっていて、私の家族は母親しかいなくなってた。 (犬はいた) 私が物心着く前、母は過労によるうつ病で入院してた。仕事で母はほとんど帰ってこなくて、入院中はもちろん会えない。 私は父方の祖父母の家に預けられてた。 だから最初、私のそばにいてくれたのは生みの父と、祖父母。 おばあちゃんはいつも言う。 ちーちゃん、なんでもいいから手に職はつけなさい。 それはそう、結局音楽だけで食べていくことが

    • 赤ウインナー

      私は友達のこと、好き。こんなにも酷く惨めでどうしようもない私に、こんなにも優しい友達。 大好き。愛してる。 けどそれは全部私の生み出した妄想かもしれない。私に友達がいること、それが全部全部私の思い込みなんじゃないかって。 (もし、これが思い込みじゃなくて本当に友達がいたとしたら、私はその子たちにとても失礼なことを言っているね。最悪だね。ごめんなさい。) 落ち込んだ時、決まって私はこういう強い思い込みに脳を支配される。私は誰にも優しさを返すことが出来ていない。ごめんなさい。 布

      • 橋かけごっこ

        とある、あわいの曜日のこと。 橋をかけよう。週に1度、あなたと待ち合わせをするために橋をかけたいの。 そうお願いされては断る理由がない。 橋を作るため、私たちはとっておきの材料を持ち寄ることを約束に今日は解散した。 次のあわいの曜日のこと。 私たちは手を泥だらけにした。土手の粘り気の強い、手ですくう。泥をはね散らかして、爪の中までかなしい色を詰め込んで。こんもりと山を作る。 私たちは同時に、誰かのお墓に似てるねって言い合った。 そう、本物の橋なんて作れない。だから私

        • 個展終わったよ

          しらきちさと個展「トンガリ倶楽部」 24日に無事終了しました。まずはこの展示の存在に気づいて下さった方、本当に本当にありがとうございます。 いつもはもう少し前に展示の告知をするんですけど、今回事前の告知はnoteにこっそり貼るだけにしてました。 ↑これね。これのリンクだけ貼って、ストーリーとか野良ツイートに埋もれさせていたので気付いた方は本当にマメな方です。本当にありがとうございます。 それと同時に、「いやもっと早くに教えろし!」ってプリプリされた方、大変申し訳ございま

        マガジン

        • こばなしつめつめ
          23本
        • 水辺のお話
          9本
        • トンガリ通信
          6本

        記事

          夢日記 イルカ

          なんか、可愛い夢を見た。珍しい。 私は誰目線でこの夢をみたのか分からないけど、夢ってそんなもんだよね。 そのお話はこう。 あるとき私は友達に誘われて、東京湾をクルージングすることになった。 友達の地元は浦和だったということで、浦和から船を漕ぎ出した。(あくまで夢なので、海ねえじゃねえか埼玉はよォ!!って思わないようにしよう) さて、出発。私の知ってる東京湾より、遥かに広大で、綺麗で、紺色が異様なくらい深すぎる。 お世辞にも綺麗とは言えない場所なのに、野生のイルカが波の上で

          あわい その2

          ↑前置きのようなそうじゃないような。 朝と夜ってあるじゃない。朝でも夜でもない瞬間は、ここでは1日に2回ある。 たった2回ぽっちか、って思う日もあるし、2回もあるのかよ…って思う日もある。 ↑(これをどう考えるかがその日の自分の気分の浮き沈みをはかるバロメーターなのかも?) 夜が朝になっていくとき、朝(昼?)が夜になっていくとき、固体をもつことを知らないそれらに誰かが一瞬だけ、ゼラチンをふりかけたりする。 ジンジャーマンブレッドの型抜きをするかのように、そのプルリとした

          あわい その1

          昔ここでも話したような気がするんだけど、私は小さい頃、しろくまのラルスってアニメが好きだった。 しろくまのラルスは、友達であるヒグマのブラウニーと待ち合わせする時、決まって2匹の住処の間で落ち合う。半分雪解けが残る、土の深い土地。 私はこの2匹が一緒に遊ぶ話がとても好きだった。 ハチミツを取りに行ったり、風邪ひいた親のために薬を運んだり、木の神様の前で火起こしをして魚をこんがり焼き上げたり。 ふたりぼっちじゃないけど、ふたりぼっちじゃない存在にずっと憧れてるけど、その原点はこ

          拝啓、トンガリ倶楽部の皆へ

          ささやかなものになるといいね。 お近くにお立ち寄りの際はぜひ。またね。

          拝啓、トンガリ倶楽部の皆へ

          去年の記事 多分河合隼雄

          最近読んでいた本が面白かった。 子供についての心理学に近い内容だったんだけど、心理学に興味あるという同級生に是非とも読んでもらいたい!と思って、残りのページを早く読もうと思った。 電車の移動中に本を読み進めることが最近は多くなってしまって、(家で読むとそのまま止まらなくなって睡眠時間が減りそうだからね) でも、あまりにも面白くなってしまうと移動時間じゃ物足りなくなって、結局余った部分は家などで一気読みしてしまう。 今日は学校にいるうちに読み終えて同級生に渡してしまいたかっ

          去年の記事 多分河合隼雄

          石版画 水のおはなし

          元々この記事を書いたのは去年の10月です。 なぜか下書きのままだったんだけど、石版画出会ってすぐのルンルンしてる自分をぶっぱなしたいので、1年経った今投稿します。 以下の文章から、去年の私より。 ・セルキーに押しかけ女房する話 ・煮物の会をする話 ・磯野利休とカッパの武蔵くんの話 ・深川の話 ・海ひつじの話 ・海魔女の話 ・シュワシュワのカメの話 ・ほの字の話~帆~ みたいな?ページ数は分からないけど、なんか楽しそうこれ。わりと行き当たりばったりで描画してたの、実は。

          カチコチおでこ

          眼精疲労つらいよね、わかる、わかるって思いながら、いつもアルバイトしてる。 私も酷い眼精疲労なので、押さなくても勝手に眉間が痛いんだけど、それでも暇さえあれば、ツボがある眉間の部分を、指の関節でゴリっと押してみる。 するとどうよ、コリにあるまじき音がするのだ。 コリッでも、ゴリッでもないの。 パキッ ポキッ なの。パキパキ音が鳴ってんの。 戦慄がたったかとすばやく駆け抜けていった。 私はこの、眉間から聞こえたパキパキの音を知っている。なにかに似ている。それは小さい頃、蒲

          去年のメモ(アザラシの話)

          小さい頃、私の友達がアザラシに連れていかれちゃった。 私はアザラシが憎い。憎いけれども、今はその憎らしくてたまらないアザラシに攫われたい気分だったのだ。 それはどうしてかというと、細々としたあれこれがあって、あわよくば、昔連れていかれたお友達に会いたいのだ。 そんなこんなで冷たい海に来た。 やってきたのはアザラシではなく、セルキーだった。 あの時、友達を連れていったのはあなた? 「違う、そうではない。自分はアザラシだけどアザラシじゃない。まあ、半分はそうかもしれないけど。

          去年のメモ(アザラシの話)

          お便り、つぎはぎの石

          パッチワークの絵を描くようになったのは、2年前の油絵が最初。 このつぎはぎのシェルターを描くことは私にとてもしっくりきた。それがはじまり。 版画に進んだ今、最も好きな版種はリトグラフ。 とりわけ好きなのは石版画。かつて石版印刷が主流だった時代があったこと、何も知らなかった私だけど、表現の手段として、こんなにしっくりくることってなかった。私は版画に救われてる。 パッチワークの話に少し戻そっか。 私がパッチワークの絵を描く理由はいくつかある。 ひとつは単純、元々パッチワーク

          お便り、つぎはぎの石

          最近のこと③「ハムスター」

          明らかにおかしい。時間の流れ方、水あめのようにトロリとして、何も流れないの。 私だけじゃない、友人も、大好きなアーティストさんも、同じこと言ってる。 さあてどうしたものかと思い夜道を歩くと カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ 小さな音がしてくる。もう一度耳を澄ませて。 カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ 聞き覚えのある音。昔、部屋でハムスターを飼ってたから私はすぐ分かった。どこかでハムスターが滑車をカラカラしているのだ! でもハムスターは一体ど

          最近のこと③「ハムスター」

          最近のこと②メモ

          友人と、オオカミの家観に行った。 素晴らしかった、私はもう一度観に行くつもり。 オオカミの家を観る前から、私は人間の形を無理やりぷりぷり保ってる姿に限界を感じてきた。 特にバイトの連勤続きの夏休みとか。ほぼフル出勤だったし。 薬は液状化した自分を、人間の形にプルりと保つための、ゼラチンの一部でしかない。 ADHDの薬、パニック障害の薬、抗うつ剤、睡眠導入剤、多めの胃薬、これらが今の私を人間たらしめてる。 それはそうとして人間やめたい。 長いことやってるリヴリーアイランドと