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10年ぶりの金髪

わたしの髪型はいつも決まってボブヘアー。髪色はその時の気分でテキトーに変えている。

毎度満足しているつもりだけど、心の奥では「思いきって明るい色にしたいなぁ」と思っていた。

ギャルに憧れ高校デビュー


中学を卒業したわたしは、いわゆる高校デビューというやつで、しょっちゅう髪色を変えていた。赤にしたり、金髪にしたり、金髪と黒のツートーンにしたり。

当時は”ギャル”という存在に強い憧れを抱いていて、平成を代表するギャル雑誌「egg」や「popteen」のモデルの真似をして髪を派手色に染めていた。

バイトもしていない貧乏高校生だったため、美容院でカラーしてもらうほどのお金はなく、毎度セルフカラーで済ませていた。
ヘアカラー剤は薬局でいつも買っていて、友達の家でよく染めていた。友達に染めてもらう時もあれば、わたしが友達の髪を染めることもよくあった。

初めてブリーチをした時は、自分が外国人になったかのような気分で、テンションがブチ上がっていたことを今でもよく覚えている。
「これでわたしもギャルになれるじゃん!?」
髪が初めてのブロンドカラーに変わり、有頂天になっていた。

アイドルに憧れる

そんな風にしょっちゅう髪色をカラーしていたが、17歳の冬。わたしはとあるアイドルに心を完全にわしづかみされていたのだった。

その名は”ももいろクローバー”(デビュー当時はまだZがついていなかったのです)

元々アイドルは好きだったが、当時はギャルに夢中だったため、アイドルに対しての想いが薄まっていた。
高校生のわたしはギャルへの強い憧れと羨望の念を抱いていたのだ。

しかし「ももクロ」と出会ったことにより、わたしは完全なるドルオタに変わり果ててしまった。わたしのビジュアルからすこしずつギャルっぽさが抜けていき、すこしずつアイドルにハマっていった。

見た目を派手系から清楚系に近づけていったため、バサバサのつけまつげやカラコンは卒業し、髪色は控えめな色に、前髪は決まって綺麗にそろえたパッツンにしていた。

短いギャル人生はこれにて終了。高校時代の友達はその当時もギャルのままだったので、見た目が変わり、趣味を大々的に公言するようになったわたしを「オタク」と呼んでいた。

プリクラにもわたしの頭上には「オタク」とよく落書きされていた。

人から褒められたい

社会人になって、自分で美容院代を払えるようになったのでいつも美容師さんに自分のなりたい姿を注文した。

「もちこちゃんは髪がきれいだね〜」
わたしはよく人から髪質を褒められた。人から髪を褒められるのがとても嬉しかった。

ギャルの次はアイドルに憧れ、アイドルのような可愛い女の子になりたい!と清楚で可愛い女の子を目指し、髪を切ったり、染めたり、整えたりしてきた。
しかしなんせ飽きっぽい体質なので「明るくしたいな」と思う時期は定期的にやってくる。

いつも切ってもらっている美容師のお姉さんに「明るくしたいんだけどブリーチするのはどうかな?」と思いきって相談してみた。

「もちこちゃんは、髪がせっかく綺麗だからブリーチはもったいない!ブリーチしなくても最大限明るくようにするから」と美容師さんは言った。

そうかブリーチすると傷んじゃうもんな。現に髪を染めまくっていた高校時代は、枝毛がよく目立っていた。美容師さんのご厚意を受け取って、わたしはブリーチをするのを諦めた。

それから何度も訪れる、暗くしたい、明るくしたい、暗くしたいの波を繰り返してきたが、「めちゃくちゃ明るくしたい」という気持ちには蓋をしてきたのである。

だって人から「髪が綺麗」って褒められたい。付き合う彼氏もいつも髪を褒めてくれる。髪が傷んだら、わたしの良いところがひとつ減ってしまう。本気でそう思っていたので、ヘアカラーの選択肢からブリーチは消えていた。

10年ぶりのブリーチ

そして今月の頭に、またいつもの”波”がやってきた。「茶髪飽きたから明るくしたいな」おもいきって、ブリーチしちゃおっかな。あー、でも傷んじゃうしな…結婚式前に髪を傷ませるのはよくない、やめやめ。そう言い訊かせた。

しかしふと考えた。

いや、でもわたしっていつもこうやって言い訳してね?

封印されていた心の中のギャルが問いかける。

「他人の評価を気にして、このままずっと本当にしたい髪色にできなくていいのか…?わたしの髪人生そんなんでいいの?!」ちょっと大袈裟に悩んでみた考え結果、わたしはブリーチをすることを決意したのだ。決めたらやるしかない。光の速さで美容院を予約した。

そして当日、「明るくしたいのでブリーチにしてください!」美容師さんにお願いした。いつもよりすこし時間がかかったが、美容師さんは、きれいに、丁寧に、わたしの髪を仕上げてくれた。

出来上がりの髪を見てわたしは、再びあの10年前の感覚が舞い戻ってきた。髪一つでこんなに自分の気分がブチ上がるなんて。久しぶりのイメチェンに大満足した。なんだか、体がふわっと軽くなった気分。

うれしくて思わず、Twitterにアップした。(美容院後は舞い上がってわりと載せがち)

自分がしたかった髪型にできて、とてもウキウキした。こんなことならもっと早くやればよかった。そしてこんなに人の気分をガラッと変えてくれる美容師さんは、まるで魔法使いのようだと思う。

たしかに髪は以前よりもすこし傷んだけど、気に入った髪色にできたので全く嫌じゃない。むしろ、そんなことどうでも良いとすら思える。

美容院は、自分の気分をブチ上げるために変身しに行く場所だ。くだらない我慢を辞めたわたしは、これからもっと美容院へ行くことが楽しみになった。次はどんな可愛いカラーにしようかな。

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