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新任営業リーダーが心に刻んでおくべきこと

こんにちは!株式会社ベーシックの持田(@mochidayuichi)と申します。

簡単な自己紹介はこちらをご覧ください。


本記事は、「営業アドベントカレンダー」の企画で13日の金曜日(不吉w)を僕が担当しており、僭越ながら筆を取らせていただきました!

↓↓↓営業アドベントカレンダー↓↓↓

僕の書くテーマは営業リーダーの在り方についてです。

・チームメンバーとの関わり方が分からない
・チームを率いるといっても何をしたらいいかわからない
・自分はリーダーに向いていないのではないか

というような悩みを持つ方に、ぜひ読んでもらいたいです!


僕は「名プレイヤー名監督にあらず」という言葉があるように、プレイヤーで成果を出せていた人が、必ずしもリーダーとして成果を出し続けられるわけではない、ということに強い関心があります。

プレイヤーとリーダーでは使う筋肉が違う、ということは判明しているはずですが、古今東西、世界共通の課題の一つとして根深い問題のままです。

プレイヤーとしてもリーダーとしても成果を出し続けている人も多くいるのですが、プレイヤー時代よりもリーダーでは成果が出せていない、という人の方が多いと思います。(持田調べ)

かくいう僕も、新卒1年目から営業プレイヤーとしての活動で一定の成果を認められ、2年目以降ずっとチームを持つという役割を担ってきました。
それから10年程度経過しましたが、今でも失敗することばかりです。

特に、初めてチームを率いる立場になってからの数ヶ月間は、「自分はリーダーに向いていないのではないか」と思い悩み、メンバーと普通の会話をしていても「僕を無能なリーダーだと思っているんだろうな」と疑心暗鬼になっていた時期もありました。

そんな僕でも、チームを率いるという役割を10年続けることができているので、気をつけてきたことや考え方を発信することで、初めてチームを率いる立場になった方や、新任リーダーの方のお役に立てれば幸いです。

リーダーとは

まず初めに、僕なりの「リーダーの在り方」を紹介します。

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リーダーとは、「同じ目標に向かう特性の異なる集団をまとめ上げ、全体目標を達成する役割にある人」のことです。その役割を担うために必要な要素として、かの有名な孫子はこう言っています。

将トハ、智、信、仁、勇、厳ナリ

リーダーは、智、信、仁、勇、厳の5つの素養を兼ね備えているべきだ、ということです。下記で、素養1つずつを簡単に説明します。


「智」:知識を意味しています。天賦の才ということではなく、学んで身につける知識のことです。改めてリーダーシップを学ぶ、マネジメントを学ぶ、などです。
勘と経験、気合いと根性だけでメンバーを率いていけるほどメンバーの目は節穴ではないし、リーダーになっても勉強熱心なあなたのことを意外とみんな見ています

「信」嘘をつかない、約束を守る、という意味です。日々その場しのぎの適当なことをメンバーに伝えているリーダーは信用されません。相手によって言うことが変わる、状況を見てコロコロ態度を変える、という自分の軸がないリーダーには誰もついてきません。しかし、朝礼暮改をするなということではありません。状況が変わったから判断も変わるということは大いにありえます。自らの信念で判断を変える、ということが大事です。
「仁」:メンバーに対する優しさのことです。単純に甘やかすということではありません。メンバーの成長を願って適切な負荷をかけてあげられることも優しさです。
「勇」:決断力のことです。大なり小なり日々決断をすることが仕事の一つであるリーダーにとって、曖昧な回答はメンバーを迷わせる原因の一つになります。自分の権限を加味し決められるものはすぐに決め、決められない場合も後回しにせず、決められる人に相談しにいきましょう。その時に、自分の意思を持っていることが何より大事です。
「厳」:ダメなものはダメと指導できる厳しさのことです。甘い顔ばかりしていてもメンバーはついてきません。統率力がなくなるからです。優しさだけでリーダーは務まりません。古来より「飴と鞭」という言葉があるように、リーダーは褒めると叱るをバランスよくできて初めてリーダーです。チームに求めるハードルを明確にして、決してハードルは下げてはいけません。「時には嫌われることもある」と覚悟する強い心が必要です。

※下記の記事の解釈が非常に分かりやすく参考にさせて頂きました!


僕は新卒で渋谷の某ITメガベンチャーに入社し、そこで学んだリーダーとしての在り方を基礎としてチームを率いています。そのメガベンチャーではリーダーの在り方をまとめている指針があるのですが、卒業した今でもたまに目を通します。
上記の孫子の教えにも通じると個人的に思っている、指針の一部を紹介します。

リーダーは、部下の成長のため、部下の仕事の大切さを説き、誇りを持たせ「褒める」「叱る」をバランスよくできて初めてリーダーである。叱れないリーダーは、目標か組織を犠牲に自己満足をしているだけであり、リーダーは目標達成や部下の成長のために、嫌われることを決して恐れない。また、リーダーは、目標を達成したときはもちろん、部下の成長のため、常日頃からタイミングよく、適切に、無条件に、熱意を持って「褒める」ことができる。
リーダーは目標を納得し意欲を100%にせよ!部下は70%の意欲しか返してこない。リーダーの意欲が100%以上あって初めて、部下の意欲以上の数値が返ってくる。リーダーが意欲を100%以上にする事なくして、目標達成はあり得ない!


卒業して5年以上経ちますが、今でも僕は上記を忘れずに日々チームで活動しています。

メンバーは、自分が思っている10倍は自分を見ているし、何気なく言った一言・行動もしっかり覚えています。リーダーの熱意も、本気なのか薄っぺらいのかも見抜きます。メンバーの前では嘘は通じません。日々の行動から全て記憶されています。

しかし、リーダーとして虚勢を張れ、ということではありません。

むしろ逆で、自分のありのままをさらけ出し、変にかっこつける必要はなく、弱みを共有することで上司部下の関係を超え、人対人の関係になりますし助けてくれることもあります。

僕の場合は、細かい調整作業がすごく苦手なことをメンバーは知っているので、率先して巻き取ってくれたり、リマインドしてくれたりするのでものすごく助かっていますw

リーダーだから偉いというわけではなく、リーダーはただの「役割」の1つです。
全てが完璧である必要はないのです。

孫子の「智、信、仁、勇、厳」もスキルではなく姿勢について言及しています。

メンバーより営業スキルがあるのは当然で、その上で5つの素養が必要だということです。

自分の特性、メンバーの特性を正確に把握し、メンバーに頼るということを覚えましょう。
むしろ、メンバーはリーダーの悩みを聞きたいとさえ思っています。
悩みを共有し、リーダーも1人の悩める普通の人なんだと認識してもらうことが大事です。

ここでお伝えしたい大事なことは下記3点です。


1.「リーダー」とは1つの役割である。必ずしも全てを完璧にこなせる人のことではない。
2.「リーダー」は、決められたルールや仕事の姿勢を率先垂範しメンバーへ示すべし。
3.「リーダー」は、メンバーから好かれることを優先しては
ならない。メンバーのためになることをしなければならない。

自分の行動基準は「当たり前」ではない

少し、前項と色合いが異なりますが、プレイヤーとして一定の成果を創出した経験のある人に陥りがちなのが、こちらです。

成果を出せていたからこその、「普通こうでしょ」問題。
メンバーにとって、エースの当たり前は当たり前ではありません。

例として、
・メールは基本即レス、すぐに回答できない場合の一次返信は必須
・商談後のお礼メールと議事録は当日中に
・相手が言っていることを鵜呑みにせず背景を把握しようとする質問話法

などなど、エースの工夫や考え方、習慣はその他メンバーの当たり前ではありません。

高すぎる当たり前の基準を押し付けても、メンバーには理解できません。
まずは、自分自身の当たり前のレベルとメンバーのレベルの差を測ることからスタートしてみましょう。

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構図としてはこのような形になります。(手作り感満載なのはご愛嬌w)
左がリーダーとして新任の頃、右が一定期間経過した頃です。
最初はメンバーも頑張って付いて行こうとして、自分よりも上のレベルを目指すのですが、段々ついていけなくなり閉じこもるようになります。そして、最悪の状態はメンバーの退職です。
僕もリーダーになりたての頃は、メンバーの指導にとても苦労しました。

そこで学んだことは、営業レベルが5の人の普通と、レベル3の人の普通は全く違うのです。まずは、1〜5までのレベルの定義を定め、上位レベルに到達するための道筋を示してあげましょう。その際の定義決めは、リーダー自身が成長してきた軌跡を棚卸しすることから始めます

リーダーであるあなた自身も、最初から全て出来ていたわけでもなければ、お客様と信頼関係を結べていたわけでもないはずです。
どんな行動をしていたか、どのポイントで成長したと実感したのか、どの失敗からどんなことを学んだのか、それらを思い出しながらご自身が成長してきたステップを可視化してみてください。
そのステップ(プロセス)を可視化して初めて、メンバーが困っているポイントや理解できない箇所の解像度が上がります。
なんとなくこう、これはこうだからこう、などという指示や指導では、誰も分かりませんし、チームとしては崩壊します。
お客様に分かりやすくプレゼンするように、メンバーにも同じようにアドバイスすることを心がけてみてください

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上記の図は、僕のチームで利用しているレベル定義表です。商談に特化したものになっていますが、様々な局面で使えると思います。Lv5に到達するためにはLv1から順にクリアしていく必要があります。Lv1すらままならない人にいきなりLv5の説明をしても全く理解できません。少しずつ階段状のゴールを設けることで、メンバーも目指すべき状態を理解し進むことができます。
これをベーシックでは「状態ゴール」と呼んでいます。

ぜひご自身の成長ステップの棚卸しを行い、可視化し、状態ゴールを設定し、メンバーに理解しやすい指導をしてみてください。
体感ですが、目指すべき像が決まっているメンバーのパフォーマンスは、そうでないときと比較して30%は違います。(持田調べ)
合わせて、メンバーに対してのアドバイスも自身のレベルからするのではなく、メンバーにとってわかりやすいレベルで話してあげるとメンバーが理解しやすいです。あまり多くを言い過ぎても消化不良を起こしてしまうので、大事なことだけを絞って伝える、ということが必要です。(これが結構難しいです。僕も言いたいこと言い過ぎる傾向にありますw)

メンバーとのコミュニケーションについて

リーダーとしての役割を全うする上で欠かせないのが、メンバーとのコミュニケーションです。コミュニケーションがうまくいっていないと、チームを運営していく難易度が格段と上がり、よっぽどメンバーがサイヤ人か、プロダクト/サービスが誰でも売れるようなものでもない限り、目標達成はほぼ無理ゲーとなります。
最近1on1などが流行っていますが、常時コミュニケーションをしておらず、いきなりとってつけたように1on1を持ちかけてくるリーダーに本音で何かを話せるはずがありません。大事なのは、1on1を実行するということではなく、信頼関係を築くことです。

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しかし、メンバーと信頼関係を築くのもそう簡単ではありません。
信頼関係は日々の積み重ねです。僕が日常で個人的に意識しているポイントは下記です。

1.会話する時は視線を合わせる
2.メンバーにあだ名をつけ呼びやすくし、何度も呼ぶ
3.自分のプライベートを共有する(土日の過ごし方、今ハマっていること、美味しかった食べ物、などなんでも)
4.髪型、ネイル、スーツなどを変えたらすぐ気づくようにする
5.メンバーが話している時はさえぎらない
6.自分が間違っていると思ったらすぐ謝る
7.メンバーの誰に対しても敬語で話す
8.口癖は「それいいじゃないですか!」「ありがとうございます!」
9.タスクを依頼するときは「○○大臣」と任命
10.良いことは大げさに喜ぶ
11.どこにいても、誰の話をしていても悪口は言わない
12.返答や回答は常にポジティブに
13.だめな時は本気で叱る

他にもありますが、常に使えるものとしては上記です。
全部欠かせないですしそれぞれに期待する効果や意味があるのですが、特にジュニアメンバーに対しては、3と7がクリティカルに効いたかなと思います。
3については、自分が継続してプライベートを共有していると、自然とメンバーからプライベートを共有してくれるようになります。これは好意の返報性と呼ばれます。これがものすごく重要で、メンバーのパーソナルな情報を知っていればいるほど、メンバーの変化に早めに気づくことができます。メンバーが抱える悩みや不安は、仕事のものだけではないですし、プライベートが苦しいと仕事にも影響を与えることもあります。できる限り相談に乗り、それが解決できると結果、仕事のパフォーマンスもよくなるということも多々あります。リーダーが直接解決できるプライベートの悩みなんてたかがしれていますが、悩みを共有できているという安心感も信頼関係構築に一役買います。
過去には、飛行機に乗り遅れて1日成田空港に足止めを食らうことになったメンバーから「Web会議しましょう」と誘われ3時間ほど暇つぶしに付き合うということもやりましたw

7についてはシンプルで、僕の場合見た目が怖いと思われることが多く(悲)、普通に話しているだけで威圧感を与えてしまうようなので、必ず敬語にしてマイルドに会話できるように工夫しているというだけです。

リーダーは、時にはシリアスな要望もメンバーにしなくてはいけない場面もあります。
その際に、○○さんが言ってるからとにかくやりきろう!と思ってくれるチームになっているかどうか、が重要です。
それには、日々のコミュニケーションが何より重要です
何も難しくはありません。あなたが日々顧客と商談をしている中に、上記の要素はふんだんに盛り込まれているはずです。
対顧客にできて、対メンバーにできないわけはないのです。
TOPセールスであるみなさんは、メンバーからの信頼もTOPを目指しましょう。

メンバーはリーダーを選べない

僕がリーダーという役割を担う上で、最も大事にしていることです。チームはリーダーがTOPである以上、メンバーはリーダーの器を超えて成長する、リーダーより前に出る、という構図は実際には成り立ちづらいものです。

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リーダーの常識の範囲内、リーダーの知識内、リーダーのスキル内、にメンバーを無意識に収めてしまいがちです。そうすると、リーダー以上に成長する、ということが難しくなるため、メンバーの成長の伸び代を奪うことにもなりかねません。
そのため、リーダーはチームの誰よりも成長し続けている必要がある、ということを20代の頃に叩き込まれてきました。成長しないリーダーを持ったメンバーは不幸になります。
これはかなり難しくて、日々の業務(目標管理、メンバー育成、営業戦略策定etc)に忙殺されながら、常に自分のスキルを高めていく必要があります。

自分を高める最良の手段は、「自分より強い奴に会う」
これに尽きるなと最近しみじみ思います。考え方、インプット/アウトプットの方法、とっさに口から出てくるワードのセンスなどなど。どうしたらそんなに知識詰め込めるの?という人ばかりで焦ります。
社内に篭りメンバーとだけ会話していると、大海の大きさに気づけずお山の大将になります。そんなってしまうと成長もしづらいし、何よりメンバーがかわいそうです。
リーダーは自分より強い奴を見つけ交流し、新たなノウハウや知識を持ち帰り社内に展開し挑戦する、このようなループを構築することが必須です。

とにかくメンバーよりも成長をしようとすること。
成長しないリーダーを持った部下は不幸になります。
大事なことなのでもう一度。
成長しないリーダーを持った部下は不幸になります。
(自戒を込めて)

おまけ:凹んだ時に今でも読む本

本の紹介の前に、この本を初めて読んだ時のエピソードを少しだけ紹介させてください。

僕が初めてチームを任された10年ほど前、チームメンバーは同期3人でした。内定者研修や入社式に一緒に参加してきた同期です。
チームリーダーとメンバーという構成上、少なからず上下関係が生まれます。同期は僕のことを面白く思っていなかったと思います。


「初めて任されたから絶対成果を出さなくては」という意気込みだけはあったがために、当時同期の3倍以上を売上げていた僕は、メンバーに頼るのではなく、メンバーの数字も自分が全部作る、という意識になっていました。
同期が全員未達でも自分が300%達成してチームの数字が達成すればよい、という考えで業務を行い、実際達成していました。
達成が続くと目標は徐々に上がっていきます。目標は期待値です。そのうち、自分1人の実績ではどうにもならない目標になりました。
その時に初めてメンバーである同期に目を向け始めたのです。

メンバーから言われたことは「お前の言うことは分からない」「お前の言うことには従えない」でした。当然数字は未達になり、仲が良かったはずの同期とも関係がギクシャクし、チームとしては壊滅寸前です。
そんな最悪な状態の時に読みました。

読み終わった後には「明日から行動をこう変えよう」という具体的なコトまでイメージができる本でした。

自分の身の回りで起きるコトや人間関係のギクシャクは全て自分が引き起こしている、その状態が本書でいう「箱に入っている状態」です。箱から出るにはどうするか、成果を出すにはどうするか、それは全て他責を自責に変える、ということなのですが渦中にいる自分は、他責にしているということさえ気づいていない状態でした。
それを気づかせてくれた本です。たまに思い出して今でも読みますが、おすすめです。

最後に

思いの外、長文になってしまったのでまとめです。

新任営業マネージャー(リーダー)が心に刻んでおくべきことは、
1.全てにおいて完璧である必要はない、むしろ弱みを共有すること
2.メンバーに頼ることを覚える
3.自分の当たり前はメンバーの当たり前ではない
4.信頼関係は日々の積み重ね
5.リーダーはメンバーよりも成長すべき

チーム運営に悩んでいる方、メンバーとの関わり方に課題を感じる方、まずはメンバーとの日々のコミュニケーションを見直してみることをおすすめします。

今週は何回メンバーと視線を合わせて会話しましたか?
今日は何回メンバーから話しかけられましたか?
特定のメンバーとのみ会話していませんか?
気づかぬうちにしかめっ面になっていませんか?
あなたのアドバイスは本当にメンバーが理解できていますか?

以上です。
年末の個人の振り返りの際にでも、上記を自らに問いかけつつ、年始からスタートダッシュを決めるための材料にして頂けたら幸いです!
(僕も内省します)
長文読んでいただきありがとうございました!

明日はセールス体系化職人のベルフェイス清水さんへバトンタッチです!

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