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2021年にハマった春アニメ オッドタクシー

2021年のアニメを振り返りました。

★2021年春アニメ(4〜6月)

春は続編モノだけでなく、アニメオリジナル作品も面白かったです。

今回はオッドタクシーの感想を書きました。

※この記事にはネタバレが含まれます。


オッドタクシー

脚本:此元和津也 監督:木下麦
制作:P.I.C.S.とOLMの共同制作

モルカーみたいなアニメだと思っていたら見事に裏切られました。
全然プイプイしてない…

主人公はタクシー運転手の小戸川おどかわです。タクシーには色んなお客さんがやって来ます。様々なキャラクターが交差して一つのストーリーになる過程が面白かったです。

最終回では全ての伏線が回収され、真相が明らかになります。ただ最後の最後にも驚きの結末がありました。


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⚠︎ここからは本当にネタバレを含むので、まだ見てない人は読まない方がいいです。


動物の世界ではない

まず驚いたのはそもそも動物ではなかったことです。アニメではしまじろうや、BEASTARSなど動物が住む世界を描くことも普通にありますよね。なので今回も何の疑いもなく、そういう世界観だと思っていました。

オッドタクシーは小戸川の視覚を反映した世界でした。小戸川にはそう見えているので何も間違ってはいません。とはいえ小戸川がいない場面でも動物のままなので視聴者には分かりにくい設定です。

ただ振り返ってみると本当は人間であるサインが多くありました。
(タネ明かしの13話は除く)

・オープニングに野良猫がいる
・小戸川は回想で人間の姿をしている(赤い背景)
・剛力が「俺は何に見える?」と聞く(1話)
 →小戸川は平然と「ゴリラだ」と答える
 →一方で白川さんは少し困ったような表情
・小戸川「この辺にアルパカはあんたしかいない」
 →クスクス笑う白川さん
・ズーデン:動物園の概念がある
・ペットショップが存在する
・田中がインコを飼っている
・三矢(偽)は鶏の唐揚げが好き
・写真に動物の鳥が写っている
・小戸川の後見人(犬)が犬を飼っている…など

1話から多くの伏線が張られていました。また4話の「田中革命」でおや?と思った人も多いのではないのでしょうか。ペットショップがあったり、動物が動物を飼っていたり。三矢(偽)なんて唐揚げ食べてますもんね。

余談ですが、キティちゃんって猫なのに猫を飼ってるじゃないですか?
だから田中もそんな感じか〜と思っていたら、そもそもキティちゃんは猫ではありませんでした…キティちゃんはチャーミーキティという猫を飼っていて、キティ自身は擬人化しているらしいです(Los Angeles Times)。

少し話がそれました。

一般的に”動物が動物を飼うのは不自然”という認識だと本来は人間である伏線に繋がります。小戸川の病気では人間は動物に見えて、動物は動物のままという見え方です。


ペットの役割
オッドタクシーでは意外とペットに意味がありました。
13話で小戸川の家に猫がいたと判明します。一般的に人間がペットを飼うことは何も不思議ではありません。

しかし人間が動物に見えていた小戸川はどうでしょうか。
押し入れにいた猫は動物とも限りません。13話で押し入れから猫が出てきて小戸川はホッとしていました。小戸川自身も”本来の動物”と”動物に見えていた人間”の区別が曖昧になっていたのだと思います。

私は視聴中、この押し入れに惑わされていました。
実際はミスリードでしたが押し入れに話しかけるシーンや、小戸川が女子高生失踪事件に関わってると疑われていたことが主人公でさえ怪しく見えました。

本当に正体が猫でよかったです。

そういえばオープニングに映っていた猫も黒猫でした。あの野良猫を拾って家で飼っていた、という流れだったのでしょうか?しかもよく見たらオープニングでも押し入れからしっぽが見えてましたね。全然分からなかった…


ラスト2分で明かされる真実

真犯人が分かったのはわずかラスト2分でした。
ギリギリまで誰が三矢ユキを殺したのか明らかにしていません。

アニメのラストで(三矢ユキの代わりを務めた)和田垣さくらが母親と通話しています。明るいトーンで話していますが、回想で三矢ユキを殺害する映像が流れました。

「ついでだからもう一人減らしてソロになろうかな」と無邪気に話しています。どんな手を使ってでも夢を叶えてみせるという発言からも、和田垣さくらにとって殺人はただの手段でした。可愛らしい外見とは裏腹にナチュラルサイコパスっぷりが伝わります。

また母親が反論しないことからも親子ともに感覚がズレているのが分かります。13話(回想)で母親は夢に破れた過去があり、娘のさくらには「どんな手を使ってでも夢は叶えないと」と言っていました。おそらくさくらが幼い頃から何度も言い聞かせていたのだと思います。

2話の市村しほとの会話では「自己肯定ができるのは親に愛されて育ったから」とさくらは話していましたが、悪い意味で自己肯定感が高すぎるのでは…

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そして「あのとき乗ったタクシーが分かったかもしれない」と言って向かった先は小戸川のタクシーでした。客としてさくらが訪れたところでアニメは終わります。


通話の不可解な点

母親と通話中、不可解な箇所がありました。

ハートのボールペンに焦点が当たる
・「この間の年末も…」と言いかけてやめる


これは公式のオーディオドラマを聞くと理解できるようになっています。全13話のオーディオドラマはYouTubeで公開中です(2021.11時点)。

1.3話「幸せのボールペン
2.5話「絶対絶対秘密だよ❤︎
3.5話「昼のグルメロケ
4.6話「小戸川の鼻唄
5.6話「余計なお世話
6.7話「ルイたんとババにゃん
7.8話「JUSTICE part.2
8.8話「ロートルの戯言
9.9話「ワンマンショー
10.10話「マネージャーの憂鬱
11.10話「The cat is out of the bag.」
12.11話「渋谷駅新南口の喧騒
13.13話「本日貸切

アニメ本編の各話と時系列が連動しているので、これを聞くと話の印象がかなり変わります。(私は最終回の後に聞きました…)

幸せのボールペン
オーディオドラマは長嶋が傍受した会話をネットに配信しているという設定です。何者かがボールペンに盗聴器を仕掛けていて、偶然その内容を受信したという経緯でした。

このボールペンが13話で和田垣さくらが持っていたハートのボールペンです。元々さくらのものではなく次々と持ち主が入れ替わっていました。オーディオドラマとアニメ本編を見ると誰がどの順番で持っていたか分かります。

すでに最終話までアニメを見ていたら、13.13話を聴くだけでもボールペンの意味年末に何があったのかを知ることができます。

▷オーディオドラマ13.13話


年末の真相
年末の出来事はアニメでは一瞬しか映っていません。女将さんが「本日は貸し切り」という張り紙をしたシーンがオーディオドラマ13.13話と同じ日です。以下はネタバレになりますが下記の新事実が発覚しました。

・12月30日にやまびこで小戸川の快気祝いがあった
・元々のボールペンの持ち主はタエ子
・盗聴器(ペン)を剛力に渡したのは小戸川の本音を聞くため
・タエ子は盗聴を受信する機械を持っていなかった
・タエ子は二階堂が真犯人ではないと予想
・盗聴に気づいた和田垣さくらがタエ子を殺害しに来た
・さくらは盗聴を傍受した長嶋の存在にも気づいている
・次は長嶋を殺すとほのめかす

犯罪の証拠を消すため年末にタエ子のもとへ訪れ、長嶋も消そうとしています。タエ子の殺害方法は不明ですがアニメ13話での安否は不明です。また長嶋も登場していないので状況が分かりません。



オッドタクシーの面白さ

アニメだけでも面白かったのに、オーディオドラマでさらに面白くさせるなんて…両方聞いて話が完結するのは新しいですよね。実をいうと視聴中はオーディオドラマを聴いていませんでした。最終回からしばらく経った頃に聞いたので、こんな真実があったなんて…とかなり驚きました。

オーディオドラマでしか分からないことがあったからです。2.5話とか今考えるとめちゃくちゃ怖いですね…しかも2話放送時点で下記のことが分かっていた視聴者もいたんですよね?すごい…

ミステリーキッスの秘密 

ルイ:芸人と交際死体を遺棄した
しほ:???・パパ活
さくら:???・人殺し

「線香(しほ)」と「結婚(さくら)」は嘘でした。
「ネットにメンバーの悪口を書いた」「整形」「枕」は誰だか分かっていません(ルイの嘘が1つある・残り2つは事実)。(※1)

闇が深いミステリーキッスでもさくらは断トツでした。ルイは三矢ユキに嫉妬するあまり殺害を目論みましたが、死体遺棄のあと明らかに精神に異常をきたしています。少なくとも罪の意識を感じていて、いつバレるのかと恐れていました。

さくらは無邪気なところが逆に怖いです。まだ少女のようなあどけなさがあるのに無表情で首を絞めているシーンは恐ろしく感じました。しかも淡々と笑顔で話していて悪びれる様子もありません。

ただ三矢の死体をそのまま放置していることからもあまり計画性を感じられないので、13話以降は近いうちに逮捕されるのではないかと思います。

どこかヤバいキャラたち
それでも程度の差はあれオッドタクシーは”ヤバい人”が多くいました。アイドルをデビューさせるために死体遺棄・事件を隠蔽したマネージャーの山本や、婚活アプリでプロフィール詐欺をした柿花、承認欲求から暴走する樺沢、ヤクザと繋がりがある大門兄などです。女将のタエ子さんでさえ盗聴器の仕掛け人でした。

私が好きだったのはアイドルオタクの今井です。
ちょっとおバカですが基本的に良いやつでした。小戸川に恩を感じて勤務先のキャバクラにも招待していました。警察が回収したお金も全て小戸川にあげています。

推しメンの二階堂ルイが逮捕されたときはショックだと話す一方、「面会できるアイドルって貴重だなぁ!」と発言していました。そのポジティブさはちゃんとヤバい人でどこか安心しました。

でも今井は三矢ユキと和田垣さくらの違いにいち早く勘づいていた人物でもあります。三矢のダンスが以前よりキレが悪くなったことに気づきました。アイドルオタクも伊達じゃないですよね…!

会話劇
ストーリー自体もそうですが会話も面白かったです。少し皮肉が効いていたり、ボケとツッコミの漫才形式だったり。

いまだに覚えているのは、柿花から「(白川さんのこと)好き度で言ったらどれくらい?」と聞かれた際に、小戸川の「…米国のサプリくらい」という返しです。この間が絶妙なのと視聴者には「まぁまぁでかいな!」と思わせるセンス…文章に起こすと面白さが伝わらないのが悔しいです。

あとカポエラのくだりも好きでした。白川さんのカポエラだけ変なBGMがかかるシーンです。YouTubeでカポエラを見てみましたが、本当にちゃんとした格闘技でした。マジで格ゲーみたいな動きです。

白川さんが言っていた「ケイシャーダ」⇩


そして10話で山本に「次は顔面にマルテーロをお見舞いするよ!」と言っていましたが、マルテーロは多分こちらでしょうか。


気になる方は練習してみてください!


追記 : 
ミステリーキッスの秘密を一部修正・追記しました。
(2021.11.12)

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