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かすれたら

ボールペンのインクが切れた。
仕事中に切れると、ちょっとウンザリする。

ペンは多めに持ってるから、
困ることはないのだけれど。

当たり前のことだが、新品や芯を替えた直後は
インクが切れる気配はまったくないから
切れるタイミングを予想するのは難しい。

左利きの私はボールペン選びにも苦労する。
通常、右で書く場合はペンを引くことになるのに対し
左で書くとペンを押して書くことになるからだ。

この「通常」を想定して設計されたボールペンは
左利きに優しくない。というか相性が良くない。

そんな中、押し書きにも負けないでいてくれるのが、
ジェットストリームとブレンである。

濃くはっきりと、がジェットストリーム。
やや薄く柔らかく、がブレン。
アクロボールは滑らかなインクが故にこすると滲む。

左利きは進行方向的に、
書いた文字を手で擦ることがしばしばある。

私の場合は手を浮かせて書くと疲れるので、
ほとんど擦りながら書いている。

まあ、この「押し書き」という言葉を知ったのも
つい最近のことである。

今の私が知っていてもどうしようもないので、
子供の頃の私に教えてあげたい。

細いペン先で紙に圧をかけてしまえば
紙によっては破けるので、
万年筆やガラスペンなども憧れるだけで使えない。

だから文字を書く時だけでも
右手を使えるようになってね、と。

少し前、右で字を書く練習をしたら
頭が痒くなってしまったので早々に諦めたんだよね。

ん、でも
もしかしたら小さい私も、そうだったのかもしれないね。
じゃあしょうがないか。

子どもの私から、今の私まで
記憶はほとんどなかったとしても
地続きな道なんだなあ、と思う。

それはもしかしたら、
ぐにゃぐにゃ曲がった狭い道なのかもしれないけれど。

小さな私がつくった道を「良いもの」にしていけるのは、
大きくなった私だけ。

かすれて書けなくなったら替える。

さっきインクの残りが予想できないって言ったけど、
タイミングも対処法もわかる。
ポールペンは充分、やさしいね。

心が虚しくなるサインって、見ないフリしがちだし、
どうしたら満たされるのか、わかんないもん。


ボールペンの替芯は、すこし多めに買っておこう。



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