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鉄道に関する技術上の基準を定める省令:8.動力車操縦者免許

「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の勉強ノートです。
条文は下記リンクで公開されています。

またこの解釈基準が国土交通省から示されています。

略称については、
鉄道に関する技術上の基準を定める省令      → 技術基準
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解釈基準 → 解釈
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解説   → 解説
と記載します。

今回は第11条(動力車を操縦する係員の乗務等)を見ていきます。

◆動力車操縦者とは

動力車を操縦する人です。「動力車操縦者運転免許に関する省令」に詳細が記載されています。

◆動力車とは

動力車操縦者運転免許に関する省令 第2条に記載があります。
・電気機関車
 外部電源からの電力でモーターを動かして走る機関車
・電車
 外部電源からの電力でモーターを動かして走る動力付き客車・貨車
・蓄電池機関車
 蓄電池からの電力でモーターを動かして走る機関車
・蓄電池電車
 蓄電池からの電力でモーターを動かして走る動力付き客車・貨車
・内燃機関車
 燃料の燃焼によって動作する動力で走行する機関車
・内燃動車
 燃料の燃焼によって動作する動力で走行する動力付き客車・貨車
・無軌条電車
 トロリーバスのこと。

◆免許の種類

動力車操縦者運転免許に関する省令 第4条に記載があります。下記にまとめました。
・蒸気機関車 運転免許(甲・乙)
・電気車 運転免許(甲・乙)
・内燃車 運転免許(甲・乙)
・新幹線電気車 運転免許
・磁気誘導式電気車 運転免許(第1種・第2種)
・磁気誘導式内燃車 運転免許(第1種・第2種)
・無軌条電車 運転免許

免許区分については下記のとおりです。

鉄道事業法で定める鉄道のうち、
専用軌道を走るもの:甲
併用軌道を走るもの:乙

磁気誘導式:リニアモーターカー・・というわけではなく、こんな感じのものみたいです。IMTS - Wikipedia

第1種:限定項目なし
第2種:自動運転区間で自動運転不能になった場合に、駅又は車庫までの運転のみ

◆無免で運転できる場合

①見習運転士が、指導員の指導の下で操縦する場合
②本線を支障するおそれのない側線において移動するとき

②については、岳南電車などで行われている一般人の運転体験などで適用されていると思われます。なお保守用車については鉄道車両扱いではない(機械扱い)のため、免許不要です。

◆免許があっても運転してはダメなパターン

・酒気を帯びた状態
・薬物の影響により正常な操縦ができないおそれがある状態
当たり前ですね。

◆係員を乗務させない運転

第11条1項には、「当該係員を乗務させなくても列車の安全な運転に支障がない場合は、この限りではない。」とあります。これは自動運転のための記述と思われます。解釈基準に詳細が記載されています。

要約すると、
①線路に人や障害物が入らない構造、または障害物を検知して停止できる仕組み(線路の安全確保)
②隣接線路への列車防護が不要な構造、または防護要員の添乗、または隣接線路への支障を検知する装置の設置(事故拡大防止)
③緊急時に旅客が避難可能な構造(旅客の安全確保)
を基本として、さらに

技術基準第36条3号:旅客の安全を確保できるプラットホーム
第58条:安全に加減速・発停車できる運転装置
第86条2項:乗客⇔指令の通話装置
が備わっている場合、係員を乗務させなくてもよいとされています。

具体的な設備例を挙げます。
・線路に人や障害物が入らない構造:ホームドア・地下・高架・柵など
・障害物を検知して停止:接触検知装置
・隣接線路への列車防護が不要な構造:単線・単線トンネルなど
・隣接線路への支障を検知する装置:線間防護装置
・緊急時に旅客が避難可能な構造:ドアコック・貫通扉・避難誘導路
・旅客の安全を確保できるプラットホーム:ホームドア
・安全に加減速・発停車できる運転装置:ATO
・乗客⇔指令の通話装置:非常通報装置

「障害物を検知して停止」については、車両前面センサーでの検知が研究されています。

◆自動運転路線の例

日暮里・舎人ライナー(東京都交通局)
ゆりかもめ(東京臨海新交通)
ディズニーリゾートライン(舞浜リゾートライン)
ポートアイランド線・六甲アイランド線(神戸新交通)
南港ポートタウン線(大阪市高速電気軌道)
リニモ(愛知高速交通)

◆参考文献

動力車操縦者 - Wikipedia
yurikamome.co.jp/assets/pdf/safety/a2d1fef6270cdd1d26a166ffd10ab64d.pdf

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