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鉄道に関する技術上の基準を定める省令:6.移動円滑化措置

「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の勉強ノートです。
条文は下記リンクで公開されています。

またこの解釈基準が国土交通省から示されています。

略称については、
鉄道に関する技術上の基準を定める省令      → 技術基準
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解釈基準 → 解釈
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解説   → 解説
と記載します。

今回は第7条移動等円滑化のために講ずべき措置 について調べました。

◆経緯

鉄道施設における移動円滑化(=バリアフリー)についての基準です。

バリアフリーに関する法律として、
・建築物:ハートビル法(1994年)
・鉄道施設:交通バリアフリー法(2000年)
がありました。
これらを統合・拡充したのがバリアフリー新法(2006年)です。

「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)

「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(ハートビル法)

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)

バリアフリー新法に基づいて施行されたのが、「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準」で、これの対応として技術基準第7条が存在します。
制定の経緯などはいろいろあるみたいですが、今回は鉄道のバリアフリー施設についてみていきます。

◆鉄道のバリアフリー

全部ではないと思いますが、例としていくつかあげます。

・昇降機

エレベーター・エスカレーターなどの昇降機の整備が進められています。
また階段の一部をスロープにする例も見られます。
地下駅の場合、地下→地上のルートを確保する必要がありますが、地上の用地確保が難しく、整備が進まない場合があります。
例:東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅
都心の駅はまだまだ不便ですね・・・

・点字

運賃表や案内表に点字がついていたり、点字ブロックなどが整備されています。

・ホームドア

目の見えないお客様などの軌道内転落事故を防ぐことができます。
東急、東京メトロは整備のペースがはやい印象があります。
安全のための対策として効果抜群ですが、1円にもならないのが辛いですね。

・ホーム⇔車両の段差、間隙解消

ホームに可動ステップをつけたり、ホーム端部の高さを変えるなどの施工が行われます。
東京都交通局は、全駅の段差・隙間状況を公表しています。
また車体ドアレールにも工夫がみられる例があります。

・多機能トイレ

車いすを利用される方などが使いやすいトイレを整備しています。

・車内フリースペース

座席がない広いスペースが、一部の車両に整備されています。
車種によって何両目のどこかが変わるので、探すのが大変だったりします。
東横線あたりは直通しすぎて車種がエライことになっています。
個人的には西武40000系が分かりやすいと思います。

◆鉄道駅バリアフリー料金制度

2021年に創設された制度で、鉄道駅のバリアフリー化のための費用を、その恩恵を受ける利用者に広く薄く負担してもらう制度です。つまり運賃値上げです。「運賃なんて勝手に値上げすればいいじゃん」と思うかもしれませんが、鉄道運賃設定には処々の規制があり、値上げのハードルが高いのです。そのためかなりの数の大手がこの制度を利用しています。

賛否についてはこちらの記事参照。

◆鉄道駅バリアフリー化に対する補助制度

いろいろあるみたいです。基本的にはバリアフリー設備はお金を生まないので、整備を事業者任せにするのは厳しいのです。
とはいえ利便性向上は必要、どんな境遇の国民も便利に移動できる社会を作る必要があるので、こういった補助制度があるようです。
001509998.pdf (mlit.go.jp)

◆その他

法律関係を調べていると、やたら和暦表示がでてきますが、本当にやめてほしいです。全部西暦表記にしてくれ。

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