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ドラマは苦手である。

趣味を聞かれたら、舞台鑑賞と答える。
これはもう、人生における趣味だから、長いこと観に行けていないからといって「趣味と言っていいのだろうか」と悩むことはしない。
一つの箱(劇場)の中で、時代も国も違う世界が広がる数時間。
頭のてっぺんまで鳥肌が立つ感覚を幾度も味わいながら、さまざまな感情を抱き、自分の五感をアップデートしていく。
例えるならば、海外を旅するような、全くの非日常を味わうことができる貴重な体験だ。
よくよく振り返ると、小さい頃は歌うのも踊るのも大好きで、小学校の行事では学習発表会が最も好きだったな。
多分、細胞レベルで舞台鑑賞が好きなのだ。

一方で、どうしてもテレビドラマが苦手である。
自宅という日常空間で、毎週(毎日)決まった時間に画面を見つめることも苦手だし、その様子を誰かに見られるのも苦手だ。
気を許したパートナーにさえ見られたくないなと思う。
(その点、演劇やミュージカルはみんながじっと集中して観るためそんな心配は無用だ。)
さらに、何よりも苦手なのが、その日に結末までたどり着かないこと。
ハラハラドキドキするのが大の苦手なわたしにとって、これらを持ちこされるのはなかなかの拷問だ。
恐らく、「日常」に近い状況を演じるドラマの特性上、ハラハラドキドキをリアルに捉えてしまうのだろうと思う。
(演劇やミュージカルのそれは、作り物ってわかりやすいもの。それが良いところ。)
加えて、元々芸能界への関心が薄いために、〇〇さんが出るからという理由で見ることもない。
宝塚OGの方が出演されていても、それはそれで何だかソワソワしてしまうから見ないようにしている。(ちなみに、民放で宝塚関連のものを見るのも至極苦手なのだが、その話はまた別の機会に…)

というわけだから、人生できちんとドラマを見たことがなかった。
なかった、のだ。
今日ついに、人生で初めて、一つのドラマを全話きちんと見た。


『合コンに行ったら女がいなかった話』


1回30分、全10話。
一生必要とすることはないと思っていたTverにお世話になり、毎週せっせと見た。(深夜放送かつ、こちらでは放送すらしていないため。)

見た理由はただ一つ。
わたしの、人生でたった一人のご贔屓が出演していたからである。(いちいち愛が重めなのはもう10年以上なので許していただきたい。)
あまりに大好きなため、現役時代はバリバリご活躍されている後半約10年、近くで応援することができなかった我がご贔屓である。
卒業後もそれを引きずり、時世もあいまってご活躍を目にする機会がSNS一択になりつつあったところにこの話である。
(誤解なきように補足しておくと、卒業後も舞台やラジオ、イベント等々、多方にご活躍されていたが、好きすぎて近寄れなかったという話です。)
し、か、も!
『合コンに行ったら女がいなかった話』である。
原作漫画を存じていなかったものの、タイトルからしてこれということは。
つまり、もしかすると男役時代を彷彿とさせるお姿を拝見できるのでは?
その後、漫画のあらすじを調べて心の中でガッツポーズである。

さらに、ご一緒に出演なさる宝塚OGのお二人も激アツだった。
同じ星組でご活躍だった一期上の世界が認めるお兄さまと、花組でご活躍だった同期生の世界が認めるアニキである。
この二つの期は、わたしの本当に大好きな期で、宝塚にとっぷりと浸かりまくっていた時代にも特に目と心(と時々お金)で追いかけて来た期だ。
もっと言えば、宝塚でいう同期、一期違いの関係というのは、非常に!!!ファンをときめかせる要素が強いのである。
(もちろん、同期や一期上下はご本人たちにとっても特別ですけれども。)

我得でしかないこのドラマ、「ドラマって苦手だからなぁ…」なんて言ってはいられない。
苦手だってなんだって、見る以外の選択肢は、わたしに与えられていないのである。

そんなこんな、初回を見たのは幸か不幸か入院中だった。
ちょうど悲しくなる出来事があった日で、ちょっと落ち込みながら、初Tver、初ドラマ、初合コンに行ったら女がいなかった話。


これがもう、最高だった。


落ち込んだ気持ちなんて、あっという間に抹消されてしまう圧倒的ときめき。
かっこよくて、可愛くて、言葉通り一瞬で気持ちが晴れた。
ご贔屓の力は偉大である。
改めて、一生細々と応援していきたいと思った。
大好きが過ぎる。
書くのが仕事のわたしも、ご贔屓の前では語彙力を失ってしまうので、何がどうすてきだったのかは、発売されるらしいブルーレイをどうぞご購入の上実際にご覧いただければ幸い。


それはそうと。
なぜ、ドラマが苦手なわたしが2ヶ月もきちんと見続けられたのか。
いろいろと考えを巡らせた結果、勝因は3つあると考える。

一つ目は、自分の心と体の都合がつく時間に見られたということ。
1週間という期限はあれど、「〇曜日の〇時から、絶対!」というものではなかったため、気分が乗っていて体が空いているときに見ることができた。
これは気分屋のわたしにとって、大きなメリットだった。
スマホで手軽に見られたのも良かったな。
とにもかくにも、Tverありがとう。

二つ目は、1回30分だったこと。
ドラマの多くは1時間あるが、このドラマは1回30分だった。
基本、集中力皆無なため、家で1時間じっと映像を見続けることができない。(昔からNotテレビっ子。)
そういう意味で、30分なのはとても助かった。
1話ごとに完結するタイプのドラマだったので(最後2話は続きもの)ハラハラドキドキのストレスもほぼなかったのでハッピー!

三つ目は、ご出演者が目にも麗しい方々だったこと。
なんたってご贔屓である。
それに加え、現役時代も卒業後も注目してきた方々、眼福でしかない。
それぞれの役柄がそれぞれのお人柄やイメージとも見事にはまり、ときめきの大渋滞。
話の内容がどうであれ(面白かったですよ!)、とにかく彼女たちが演じるキャラクターがあまりに魅力的でたまらなかった。
男役ではなく、イケメン女子だったのも、宝塚時代に演じられていた姿とはまた一味違ってすてきだったな………(思い出し中。)

今回、ドラマの内容をじっくり考察してはいないのだが、毎回はっとする場面があった。
さりげなく織り交ぜられたそれらの場面は、ものすごく素晴らしいことだと思う。
これについては、また別に、じっくりと書きたい。

ご贔屓の出演する公演に通った経験はある。
けれど、思い入れがある公演が終わっても、あまりロスを起こさないタイプのわたし。
今、ドラマが終わってしまって、ちょっぴりロスだ。
(これがロスというものなのね!と別の方向でちょっとテンションが上がっている。)
もっと、あの6人の日々を覗いてみたかったな。
日常に近いからこそ、そう思うのかもしれない。

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