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【徒然コラム第4回】雨ニモマケズ風ニモマケズ~映えを求めてニシヘヒガシヘ

 エアモデルを中心に製作するモデラーの皆さんのSNSを拝見すると、“映え”を追求する最近のトレンドか、屋外で撮影した画像をアップして楽しんでいるケースをよく見かける。自然光のマジックなのか、模型はまるで実機のように画面の中で躍動している(もちろん模型がリアルに仕上げてあるのだが)。

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「モデルアート」は1970~80年代には屋外で撮影した画像を頻繁に誌面に掲載していた。一時期下火だったが、2015年頃から再び屋外で撮影した画像が誌面を飾るようになってきた。空を背景にしたものなら国籍や海空軍の別を問わずで、海辺では主に海軍機、飛行場周辺では空軍機を撮影し掲載している。

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撮影者によりノウハウや機材は様々かと思うが、趣味で撮影するのと誌面掲載用の撮影とでは、大差ないかと思う。最も異なるのは、締め切りがあることと、それ故多少リスクのある状況でも撮影を強行することだろう。ギリギリのコンディションで撮影に臨めば、実機を襲うアクシデントよろしく模型にも横転やフラットスピン、そして最悪の場合は墜落といった事態に遭遇する。撮影予定日の朝、社内で天気が良いなと思っていても、いざ撮影場所に出向くと、強風が吹き、あるいは雨粒がどこからか飛んで来たりで、思うように画像が得られないことはしばしば。ミッションキャンセルして仕切り直しする余裕があれば良いが、屋外で撮影すれば見映えするような手の込んだ作品は、結構締め切りギリギリで出来上がってきたりする。そうなれば、多少の荒天でも撮影ミッションGOである。

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撮影での事故は、片手で収まるほど(強風にあおられたフィギュアが海面に落ちて波にさらわれるなど)だったが、難儀した撮影は数知れずだ。最も多かったのは、テグスで吊ったエアモデルがフラットスピンに陥ること。模型に被害が及んでは元も子もないので、スピン回避のためにエアモデルを手でホールドして風が落ち着くのをじっと待つしかない。風速も下がったと思い模型から手を放してファインダーを覗き込むと、またどこからか風が吹いてきて模型がスピンし始めたり・・・。心中「どうしてどうして…」とリフレインが止まらない。因みに空気密度が高い冬や、季節の変わり目にこんなことがよく起きる。

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画像として見る(見られる)のはおそらく数秒なのだが、その画像の撮影には何百倍何千倍もの時間が費やされている。効率が悪いなぁと思いつつも、“映え”に支配されてしまったのか、カメラと三脚、そして模型の収まった箱を担いでまた現場へと赴いてしまう。

月刊モデルアート前編集長 猪股

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