10/22 円居挽『キングレオの冒険』を読んだ

面白かった。
円居挽という作家さんのことは、最近はもっぱらツイッターなどでその発言を拝見していたりしてたけど、FGOのライターとして参加したあたりをきっかけに、オリジナルの作品も読んでみようと思い購入してみたわけだった。が、実はその名を目にした初めの時というのはもっとずっと前に遡る。いまはむかし、はるかはるかとおいところにかつて存在した『パンドラ』という文芸雑誌に、デビュー直後だか直前だかの読切が掲載されていて、それを読んでいたのだった。確かそれが後に『ルヴォワール』シリーズになっていたんじゃなかったっけ。何せはるかはるかむかしのことなのでもう内容とかほぼ覚えてないんだけど、たしか推理合戦みたいなことやっていた気がする。そして内容を忘れているにもかかわらず、そのときの読み味と今作のそれにどことなく共通するものがあったように思う。
なんというか、伏線を張るというよりも宙に浮かすような感じで、こちらに気づかせずに張るというよりむしろこれ見よがしに設置して、謎解きの段階になってそれを続けざまに開示してくような、突進力というのか勢いのある感じ……それをかつても味わっていた気がする。
惜しむらくは、俺がシャーロック・ホームズについてそんなに詳しくないこと。読んだことあるのは「赤毛連盟」くらいで、あとは断片的な記憶しかない。ガリデブとかいう名前の人とか、「むやみに」が口癖のホームズの友人とかいなかったっけとか。それでも各話ごとに原作をネタバレしない程度に(そうとわからない程度に)説明してくれていたので、話を楽しむぶんには問題なかったけど。多分。
登場キャラクターの名前なんかにもいろいろとホームズネタとか仕込んでんのかな~わからないけど、と思いつつ読み終え、解説を読むと、なんと他のシリーズと世界観やキャラクターを共有してることがわかり、あ~そういうことする人か~嫌いじゃないよ、となった。今作も続編が出そうな感じだし、他のシリーズも読んでみたくなった。

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