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10/29 『錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣』を読んだ

前巻でひと心地ついたので少し間を空けているうちにアニメが始まって、ではアニメを観終わったら続きを買い始めるかなと思ってたら、アニメをしっかり楽しんだはいいもののそこからもそこそこ間が空いてしまった。ともあれ第2部始動的な第4巻。
物語の始まりからの加速の速さや、「こ、こいつ、何者だァッ⁉」などの台詞に、ブランクがあっさりかき消える。あーそうそうこの空気この空気。水戸黄門を毎週テレビで観ていた世代もこんな空気を吸っていたのだろう。
前巻で世界観の根幹ともいえる錆の大元を退治してしまい、ここからどう続いていくのかと心配していたが、なんのことはない、全国各地にはまだまだ錆やキノコに勝るとも劣らぬ奇人超人が跋扈していたということらしかった。錆には弱いがキノコをも養分として咲く花の力。これで三すくみが成立したというわけか。
サタハバキの苛烈だけど憎めぬ豪快さに感嘆しつつ、デバフの呪いまで付与されて監獄にブチ込まれるがピンチの空気など微塵もないビスコらの快進撃を見て、こういうドタバタ劇を全国各地で繰り広げていくのが4巻以降のこの作品なんだろなあって思っていたものだから、最後の展開にはびっくりしてしまった。衝撃的かつ、突然のおこないに理解が追いつかなかったが……冷静に吟味してみれば、むべなるかな。あまりにも容易く、あまりにも呆気なく、そして何より優しく、シシの逆鱗を引っ剥がしてしまったのだな、ホウセン王は。あるいはそれは、王として生まれ王として生きたホウセンが、シシの意志に充てられて咲かせた些細な自我であったのかもしれない。結局、王の言葉通り、シシはホウセン以上に王に向いていた。ホウセンが掟に背いてシシの首を刎ねなかったことが、こうしたかたちで報いてくるとは。
これもある意味一つの結末か、としみじみしてたが、よく読み返してみたらこの場にビスコとミロも一緒にいるじゃねえか。突然繰り広げられた簒奪劇に、二人はどうするのか。ビスコとか、「どんな決断でも俺が肯定してやる」と言ってしまっていたが。水戸黄門みたいにはいかなくなってきやがったところで、次巻も楽しみだ。

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