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保湿剤はどれがいいの?乾燥の時期に必須なヒルドイドやワセリンの違いと剤型の違いについて説明!

体のかゆみがつらい肌の乾燥。
そして1年中アトピー性皮膚炎と戦っているみなさん。
いつもお疲れ様です!
我が家の子どもも乾燥肌がひどく、保湿剤は毎日欠かせないものとなっています。
ところで、

「保湿剤ってヒルドイドだけなの?」
「乾燥肌に使う薬ってどんな種類の薬があるの?」
「処方制限の話があったけど、あれからどうなったの?」

など、知っておくといいかもしれない保湿剤のお話をしてみたいと思います。

保湿剤にも得意ジャンルがある

保湿剤と言えば、皆さんが一番最初に思い浮かぶのはヒルドイド(ヘパリン類似物質)ではないでしょうか。
確かにアトピー性皮膚炎や乾燥肌の方の多くはヒルドイド(ヘパリン類似物質)を処方されます。
しかし、保湿剤の種類ってそれだけではないのです。
代表的な薬を4つに分けて紹介しますね。

ヘパリン製剤

みなさんの多くが知っているヒルドイド。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は「血行促進・皮膚保湿剤」として販売されています。
乾燥肌やアトピー性皮膚炎の患者様に使われるだけでなく、ケロイドの治療や予防に使われたり、血行を良くしたりする効果もあります。
剤型は軟膏・クリーム・ゲル・ローション・外用スプレー・泡状スプレーなど様々です。
「何故こんなに種類が豊富なの?」
と思ってしまうかもしれません。
実はメーカーからは使用を推奨する季節や推奨部位などを公表しています。
例えば、頭皮の乾燥に軟膏を塗ったらベタベタになってしまいますよね。
そんな場合はローションや外用スプレー、または泡状スプレーを使う。
夏に体の広範囲に塗るときはローションやクリームで、冬は軟膏を使うなど。
その時と場合によっておすすめする剤型が違っているのです。

ワセリン製剤

白色ワセリンは、その名の通り商品名でも「白色ワセリン」として販売されているものです。
またはプロペトという商品名が馴染みがあるのではないでしょうか。
白色ワセリンは「眼科用軟膏製剤・一般軟膏基材」と呼ばれます。
「眼科用?」と思ってしまいますが、目の周りに塗っても問題ない薬には”眼科用”と記載されていることがあります。
効能・効果の中に皮膚保護剤とあり、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)と違うのは皮膚に膜を作って守ってあげるということです。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は血行を促進して新しいきれいな皮膚を作るのを手伝ってあげることに対し、ワセリンは今ある皮膚にバリアを張って守ってあげる。
ワセリンはヒルドイド(ヘパリン類似物質)やステロイドなど、他の軟膏とMIXして処方する医師も多いです。

尿素製剤

尿素とは皮膚に水分を保持する能力がある成分です。
では尿素製剤はどんなことに使われるのか?
尿素製剤は、例えば足のかかとなど固くなった皮膚を柔らかくしてあげる「角化症治療剤」と言われる薬です。
商品としては「ウレパール」「ケラチナミン」「パスタロン」があります。
もちろん、アトピー皮膚の人にも効果は十分にあります。
あとは凍瘡(しもやけ)や進行性指掌角化症(水仕事などで皮膚のバリアが低下して湿疹が出る)にも使われます。
ただ、年配の方の乾燥に使われることが多いので小児に処方しているのはあまり見ないかもしれませんね。

ビタミン製剤

ビタミン製剤はそんなに種類はなく、代表的な製剤としては2つ。
ユベラ軟膏・ザーネ軟膏とよばれるビタミンAの入ったもの。
メインで使われるのは冬が多い印象です。
凍瘡(しもやけ)やあかぎれで処方されるのが大半。
角化症で処方されるケースもありますが、角化症だと尿素製剤を処方する医師の方が多いかもしれません。
活性型ビタミンD3誘導体製剤と言われるオキサロール軟膏。
オキサロール軟膏(マキサカルシトール)は、乾癬や角化症の治療剤として使われます。
活性型ビタミンD3誘導体は、血中のカルシウムの値を上昇させてしまうこともあります。
気づかないうちに腎臓に負担がかかっているかもしれないので、血液検査はこまめに行うのをおすすめします。

ピックアップされがちなヒルドイド。処方制限の話はどうなったのか

一時期、「ヒルドイドはドラッグストアで売っている化粧品より質が良い」と美容目的で使用を進めていた人が多くいました。
それを受けて、厚生労働省や健康保険組合連合会から
「美容目的で使用している人が増えているならば、医療保険から外すべき」
「処方制限を設けるべきではないか?」
と指摘があった時期がありました。
その時に、実際にアトピー性皮膚炎や子どもの皮膚乾燥で悩む患者や、日本皮膚学会からは猛反対
保険外適用になれば先天的に皮膚炎で悩んでいる人にとっては大ダメージでしかありません。
結局、当時の診療報酬改定では
「処方制限は見送り」
という結果になりました。
しかし、その後は制限はなくとも患者の体の表面積に対して明らかに多く処方されることは少なくなった印象です。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)を販売しているマルホも現在でも適正使用の呼びかけをしています。

保湿剤をドラッグストアなどの市販薬として購入することは可能?

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の処方制限が見送りになっとはいえ、レセプト請求ができないことを恐れている医師は多くいらっしゃいます。
「本当はもっと欲しいけど、同じものがドラッグストアでも買えるの?」
「病院に行く時間がないからドラッグストアで購入したい!」

と考える方もいると思います。
今回紹介した製剤が果たしてドラッグストアで購入できるのでしょうか。

ヘパリン製剤の市販薬

ヘパリン製剤は、最近は市販薬で多く発売されています。
中でもCMで有名になったのは健栄製薬の「ヒルマイルド」ではないでしょうか。
あとはグラクソ・スミスクライン株式会社の「HPクリーム」、テイコクファルマケアの「ビーソフテン」も有名です。

ワセリン製剤の市販薬

ワセリン製剤は種類も豊富です。
有名なのは健栄製薬の「ベビーワセリン」でしょう。
ワセリンは赤ちゃん用で発売されているものが多く、犬印本舗からも「はじめてベビーワセリンクリーム」を出しています。
大容量で使用する場合は100g入れのものもあるのでドラッグストアで登録販売者に聞いてみてもいいかもしれません。

尿素製剤の市販薬

尿素製剤も市販のものが存在ます。
医療用医薬品の名前と同じ「ウレパールプラス」や「ケラチナミンコーワクリーム」があるので、時間がない時はドラッグストアで購入してもいいかもしれませんね。
ラクール薬品から販売されている「メディータム」はスーッとする成分が入っていますが、他の商品には入っていることはないようです。

ビタミン製剤の市販薬

ビタミン系クリームは調べてみたところ、あまり存在していないようでした。
有名なものだと「ユースキンA」です。
ユースキンはビタミンEやC、他にもヒアルロン酸が配合されているようです。
スッとする香りも配合されていて、昔から使われている市販薬と言えます。


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