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底辺アパート

 昔、とても古いアパートで掃除のバイトをしていた。
六畳一間でトイレ共同、風呂なしです。
 
 夜逃げしてきた人、シャブ中のお兄さん、外国人出稼ぎ、風俗嬢などいろんな人がいた。
  
 夜逃げしてきた家族は中学生位の男子と女子とお父さんで、一体ここでどうやって寝ているのか不思議だった。トイレが共同だったので、夜中に女の子はレイプされないか心配していたら、やっぱりレイプ未遂があったようで(部外者も自由に出入りできる)、女の子だけすぐに出て行った。 

 シャブ中お兄さんは、結構男前だったので昼間から女が出入りしていた。たぶん部屋でシャブをやっていたのだろう。間もなく警察に捕まった!少し怖かったので、私は安心して仕事ができるようになった。 

仕事をあまりしない、親子三人がいて子供はまだ小さく親も若かった。いつも不機嫌そうな奥さんがある日、子供と出て行った。
間もなく、旦那さんは部屋で首吊り自殺した。畳が血だらけで、警察も来て大変だったが家賃が安いので、すぐに次の人が入居した。 

 出稼ぎ外国人は南米系で狭い部屋に四人も住んでいた。休みの日には、女の外国人も遊びに来て、みんなで楽しそうに歌を唄ってた!こんな狭い部屋でもみんなでうたえば楽しくなるんだとびっくりした。

 風俗嬢は近くのソープで働いていた。ソープはすごく若い子が働いていると思っていたら、その人は中年でガリガリだったので、意外だった。

 仕事は主にトイレ掃除だが、トイレの使い方がめちゃくちゃで、便器の横にうんこをしているのが普通なので理解に苦しんだ。部屋はゴミだらけの人が多いし、少し知能が遅れている人が多かった。西成に行くともっと酷いと聞いていたので、バイト代が良かったので我慢して頑張っていた。でもアパート全体がよどんでいて、近所からは呪われたアパートと呼ばれていた。 
 
 ある日、アパートの住人が部屋に入って欲しいとしつこく言ってきたので、怖くなってバイトを辞めた。 

 その後しばらくして、その人ともう一人の住人がケンカして殺された。テレビ局がきたり、警察が来たりで大変だったらしい。

 あの時、バイトを辞めて本当によかった。社会勉強にはなったけど、ヘタに関わって、殺されたらシャレにならない。まぁ、仕事の割に給料が多い所は気をつけた方がいいですね。皆さんも気をつけてください。

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