貪欲で謙虚なB

東京の企業でインハウス経験後、東京弁護士会登録(74期)。企業法務系の事務所で細々働く…

貪欲で謙虚なB

東京の企業でインハウス経験後、東京弁護士会登録(74期)。企業法務系の事務所で細々働く。 使用者側労務、就業規則作成・改正、各種契約書レビュー、景表法・職安法相談対応とか様々な法分野扱ってました。 企業法務に関係する情報提供できればいいなとぼそぼそつぶやきます。

最近の記事

研究科の廃止と整理解雇の有効性

西南学院事件(福岡地判令和6年1月19日令和4年(ワ)第3752号) (事案の内容) 学校法人西南学院(以下「法人Y」という。)が設置する法科大学院の廃止に伴い、実務家教員として無期労働契約を締結していた弁護士X(以下「X」という。)に対する、法人Yの解雇が整理解雇法理に基づき有効と判断された事案。 (経緯) ①Xは、平成16年4月1日以降、複数回、法人Yとの間で有期労働契約を締結ないし、更新し、法科大学院の実務家教員として就労していた。  Xは、有期労働契約の契約期間の

    • 労働組合法(労組法)上の労働者

      セブンイレブンジャパン事件(東京地判令和4年6月6日令和元年(行ウ)第460号) (事案の内容) セブンイレブンのフランチャイズ・チェーンであるセブンイレブンジャパンとの間で加盟店契約を締結して店舗を経営する加盟者らは、労組法上の労働者に該当しないと判断した事案 (経緯)  セブンイレブンのフランチャイズ・チェーンを運営する株式会社セブンイレブンジャパン(以下「Y社」という。)との間で、加盟店基本契約(以下「フランチャイズ契約」という。)を締結して店舗を経営する加盟者らは

      • 違法な退職勧奨と不法行為

        日立製作所事件(横浜地判令和2年3月24日平成30年(ワ)第1231号) (事案の内容) 上司である部長Aの労働者Xに対する退職勧奨における発言は、労働者Xの意思を不当に抑圧して精神的苦痛を与えるものであり、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した違法な退職勧奨に当たり、不法行為が成立する。 (経緯) 労働者X(以下「X」という。)は、上司である部長Aとの間で実施された複数の個別面談において、次のような発言がなされた。 ①平成28年8月30日の個別面談 A

        • バス運転手の適性診断受診拒否を理由とする退勤命令と不法行為の成否

          阪急バス事件(大阪地判令和5年8月25日令和4年(ワ)第8247号) (事案の内容) バス運転業務に従事する労働者Xが、会社Yから運転業務に係る適性診断の受診を拒否したことを理由に、退勤を命じられたことについて、不法行為に当たらないと判断された事案 (経緯) 1 労働者X(以下「X」という。)は、平成31年まで正社員として会社Y(以下「Y社」という。)を定年退職し、令和元年7月23日に有期雇用契約を締結し、その後更新された。また、Xは、所属する労働組合の執行委員長を務めて

        研究科の廃止と整理解雇の有効性

          パワハラを理由とする懲戒処分と配転命令の有効性

          ちふれホールディングス事件(東京地判令和5年1月30日[令和4年(ワ)第1285号]) (事案の内容) 労働者Xが部下であるA1及びA2に対してパワハラを行ったことを理由に、会社Yが懲戒処分(けん責処分)及び社長室への配転命令を行ったことは、有効と判断された事案 【争点】 ①職種限定合意の成否 ②就業規則上のパワハラ該当性 ③懲戒処分の合理的理由と社会通念上の相当性の有無 ④配転命令の業務上の必要性の有無 (経緯) ⑴ 労働者X(以下「X」という。)は、平成24年8月

          パワハラを理由とする懲戒処分と配転命令の有効性

          中途社員の能力不足と解雇②

          デンタルシステムズ事件(大阪地判令和4年1月28日令和2年(ワ)第11236号) (事案の内容) 労働者Xが解雇された時点において、勤務成績又は業務能率に改善の兆しが見え始めていたことから、就業規則上の解雇事由(勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みが無く、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき)は認められないと判断された事案 (経緯) 1 労働者X(以下「X」という。)は、令和元年12月27日、コンピュータシステムの開発・販売及び輸出入業務、ソフトウェア

          中途社員の能力不足と解雇②

          懲戒処分(停職処分)の有効性~パワハラの有無~

          学校法人常磐大学事件(水戸地判令和4年9月15日令和2年(ワ)第362号) (事案の内容) 労働者Xの複数の教員及び学生に対するハラスメント行為があったと認めることはできず、学校法人YのXに対する停職処分に、客観的合理的理由及び社会的相当性は認められず無効と判断した。 (経緯) 1 労働者X(以下「X」という。)は、昭和58年4月に、学校法人Y(以下「法人Y」という。)に雇用され、平成22年4月から法人Yが設置する大学の教授として勤務していた。 2 法人Yの就業規則には、

          懲戒処分(停職処分)の有効性~パワハラの有無~

          中途社員の能力不足と解雇

          Zemax Japan事件(東京地判令和3年7月8日令和元年(ワ)第24264号) (事案の概要) 中途採用社員が労働契約締結時に期待された能力を下回る状況であることに加え、会社の指導改善にも応じる意思を有していないことを理由に、解雇が有効であるとした事案 (論点) ①就業規則がない場合の解雇の根拠 ②どの時点までの解雇事由を主張できるか ③中途採用社員の能力不足を理由とする解雇の有効性判断 (経緯) 1 会社Y(以下「Y社」という。)は、米国に本社を置く会社の子会社

          中途社員の能力不足と解雇

          ~有期雇用契約更新の合理的期待と女性従業員への不適切行為~

          ゲオストア事件(東京地判令和5年6月14日令和4年(ワ)第4284号) (事案) 有期雇用契約が更新されることに合理的な期待があると判断されたものの、労働者の女性従業員に対する度重なる不適切行為を理由として雇止めが有効と判断された。 (経緯)  労働者X(以下「X」という。)は、平成30年3月18日に、被告会社Y(以下「Y社」という。)との間でアルバイトとして、契約期間を同月31日までとする有期雇用契約を締結し、令和3年9月30日まで、合計7回契約が更新された。  しかし

          ~有期雇用契約更新の合理的期待と女性従業員への不適切行為~

          ポイントの私的利用と普通解雇の有効性

          中央建物事件(大阪地判令和5年10月19日令和3年(ワ)第11390号) ポイントの私的利用、その他不適切行為を理由とする解雇が有効と判断された事案 (事案の概要) 労働者(以下「X」という。)は、平成25年10月、会社(以下「Y社」という。)との間で期間の定めのない雇用契約を締結し、総務事務に従事した。 ①Xが総務部に勤務していた平成30年4月から、Xの上司Bの指示で酒類販売店にてウィスキーを購入することになり、個人名義でしか購入することができなかったため、X名義のア

          ポイントの私的利用と普通解雇の有効性