関東在住の大学院生が福岡移住に至る物語⑬

ぼくの旧居に住む友人は5時半には、研究データの観測のために出かけて行ったが、彼が家を出てからも居候させてもらえることになった。
今日はこの後、ハードな予定が待っているからありがてえ。
こうして、朝のちょっとした時間にnoteを書く時間も作れたというもの。

「報告の流れ」に沿えば、いよいよ⑥福岡市の精神保健医療福祉の雰囲気に入って行く。長かった。福岡のお母さんには、福岡で感じたこととか、書いておいたら?と言われたけど、自分としてはそれも書きたいけどその前に、自分自身が福岡移住に至る経緯を書かないと、それを書けない気がしていたから、それでこんな風に書き進めて行ったらこうなってしまった。

もう明後日から、福岡市民だというのに。福岡市の雰囲気を精神保健医療福祉分野に限らずに書いていくと、たぶん、4回分位にはなるな…。

福岡市は、日本で一番精神障害当事者が精神保健医療福祉システムで雇用されるピアスタッフという役職・取り組みが進んでいる地域だったりする。歴史的経緯としては、福岡市で頑張って来たソーシャルワーカーがいるらしい。いまは某市の市議会議員?

ちなみに今の日本ピアスタッフ協会の代表のIさんも福岡に事業所を構えている。福岡のお母さんから実際の職場の雰囲気やピアスタッフの方々との日々の様子を聴いていると、専門職も当事者もピアスタッフも、あたりまえにそれぞれの長所を理解しあって、便利に使い分けていたり、それぞれの長所を当てにしあったりしているように感じられた。

それは、修論を書いている時に日本で今後ピアスタッフが増えていく、ピアスタッフが精神保健を変えていくんだ!と記述される際に、「ピアスタッフを雇用するとこんな素敵なことがある!」などとやたらと喧伝する雰囲気とは全然異なった。もっと自然な人間関係の一環として、専門職とか当事者とかそういう枠を超えて、それぞれの長所を活用し合っているような、そんな持ちつ持たれつなwinーwinな関係性…。そんな様子が垣間見えた。

それは、今までぼくが見たり聞いたりしてきたところにはないものだった。

福岡のお母さんに「福岡来ちゃえばいいのに!」と声をかけてもらう前にも、修論の調査に協力してもらった事業所などからもスカウトは受けていた。実際、働くつもりで見学に行って、結局雰囲気が壊滅的に合わなくてお断りした、なんて経験もあった。そこは、なんだかんだ支援者と当事者みたいなものがとてもハッキリと分かれているように感じた。

自分は精神保健医療福祉分野において、自分が「何者」なのか、よくわからないでいる。

あれだけの大著を書いてしまったので、研究者?国家資格も持ってるし、やはり専門家?あるいは支援者??とは言え、精神科ユーザーとしての経験が10年位あるし、やっぱり当事者??まあ、ユーザーという名乗りにこだわりもあるんだけど、それについては後述したい。

そんな風に迷っているぼくに、いまの事業所の介護部門の代表は、仕事辞めますと挨拶に行った折に、「現場でがんばっていると、そのうち自分が何者かとか気にならなくなる時もあると思うよ」と声をかけてくれた。福岡のお母さんは、「やそらさんは、まだ精神保健の分野で実質的に何もしてないんだから、何者でもないんじゃない?」と声をかけてくれた。

その言葉も後押しになって、福岡に行ける!と思えた。

また、福岡のお母さんにはこういわれた。

「福岡の運動運動していない雰囲気がよかったんだろうね」
そうなのだ。もう、社会運動にほとほと嫌気がさしている。
福岡にはそういう雰囲気がなかった。もっと日常として溶け込んでいるし、楽し気な雰囲気があるのだ。それは、2月の大会の打上の時の雰囲気からも感じていた。

修論の縁で誘われたところも、結局、運動臭が強かった気がする。

福岡のお母さんに思わずぼくはこう答えていた。

「この分野で何者かわからないぼくですが、福岡市の雰囲気を聴いていて、すこし実際に見聞してみて、こうなんか、ここならヌルっとこんな自分でも入り込めそうな気がしたんですよね」

2月に福岡のお母さんに声をかけてもらってから、悶々と悩み、それでもやはり福岡に興味あるなと思い、4月に一度zoomで会う機会を作った。

それで、本格的に移住に向けて前向きに検討していることを話した。

それで福岡のお母さんから、いつ具体的に引っ越すかとか相談しつつ、引っ越すまで、毎月一週間位滞在してみて、その雰囲気で実際に移住するかどうかも含めて考えたら?と言われ、自分はそのようにすることに決めた。

ちょうど4月からは、気分転換などもあって各地に旅行する機会が増えてきていた時期だった。その時は、秋田とか広島、湯河原なんかにも一人旅でいった。

そしてついにぼくは5月、6月と福岡にひとりで向かい一週間ずつ滞在する予定を立てていくことになっていく。

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