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ウォーキング

通所の前の日は必ず
「あぁ!行きたくねー!」
と思っている。
事業所がイヤなわけではない。
数週間引きこもっていたから、なまけぐせがついているだけだ。
今日から徒歩で通所することにしていた。
ゆうべのわたしは、ひとりでグズりにグズった。
「行きたくねー!行きたくねー!
しかも歩きだと!?休もうかな」
休むのはあんまりだ、せめてバスで行こう、と、バスの時刻を調べ、メモしてから寝た。

起きて日課の軽い筋トレを済ませ、ごはんを食べた。
バスで行く気満々だった。
けれど通所する支度ができると、わたしはリュックを背負ってスニーカーをはき、事業所までトコトコ歩き始めた。

Googleマップでは徒歩25分となっていたけれど、歩いてみると22分ほどで着いた。
事業所に近づくと、道沿いに満開の桜が並んでいた。
たいして疲れてはいなかった。
よく晴れた4月1日だった。
歩いたことで元気が出たようにすら思った。

朝礼のとき、午後の運動のプログラムは市内の標高150メートルほどの低い山に行きウォーキングをする予定だ、と言われた。
また思った。
「行きたくねー!早退しようかな」
たまらなくめんどくさかった。
けれど午前中のプログラムが終わりお昼休みが終わると、わたしはみんなと一緒に山に行く車に乗った。

ドライブは楽しかった。
わたしは思った。
「午後のプログラムはこのままドライブでいいじゃん、ウォーキングやめようよ」
けれど車は順調に走り、わたしたちは山の中腹で降ろされた。

桜が満開だった。
ほんとうにきれいだった。
スマホで何枚か写真を撮った。
天気はとてもいい。
半袖を着て来てちょうどよかった。
半袖でも汗をかいた。
ブルーシートを敷いてお花見をしている人たちがたくさんいた。
駆け回るちびっ子がたくさんいた。
そうだ、春休みなんだな、と思った。
わたしたちは1時間ちょっと、山を歩き、ボール遊びをして、だるまさんが転んだをして遊んだ。
年若い男性スタッフさんと年若い女の子が全力で駆け回るのを眺めながら、日陰で休憩した。

帰りの車の中、カーラジオから花咲かじいさんの朗読が流れていた。
前半と後半に分かれていたようで、話は山場でいきなり終わった。
集中して聞き入っていたから、後半は聞けないんだな、と思うととても残念だった。

事業所に帰り着き、掃除、終礼が終わると、わたしはまたリュックを背負ってトコトコ歩き出した。
まだ日差しが強かった。
Tシャツ焼けするだろうな、と思った。
信号待ちをしながら、夏までに日傘を買おうと思った。

グループホームに帰り着き、自分がそれほど疲れていないことに改めて気づいた。
疲れてはいたのかも知れない。
けれど、なんだか嬉しかった。
幸せだった。
おひさまの光を浴びながらたくさん歩いた。
日光浴と運動で、ダブルの幸せホルモンが出たのかも知れない。

次回の通所は明後日だ。
わたしはまた思っている。
「行きたくねー!休みたい」
慣れるまでしばらくは、そう思い続けるのかも知れない。
けれど、行けば行ったで事業所は楽しい。
そのうち慣れてくるだろうと思う。



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