本気で語ってみる、「地方の医師数」の増やし方について。

この前の記事


にて、地方の医師不足について
知事も市長も小中高の学校も
なーんにも対策をたててこなかったことについて

「コイツら、バッカじゃねーの?」という
強烈な非難で記事を終えたので

「じゃ、オマエならどうすんだよ?」となった時に

対案を出せなければ
所詮、私も同類のバカでしかない
ということになる。

まぁ、私の場合
いま住んでいるのが大阪市で
しかも比較的富裕層の家庭の子を対象に
教えているので

同じことを地方で行うことはムリである。

国内最難関の
東京大学理科3類(医学部医学科)
京都大学医学部医学科 へ

毎年合格者を出しているような
私立の中高一貫校へ進学させようとした場合

まず、中学受験にむけ
小学4年生から3年間
塾に通うことになるわけだが

少なく見積もって
年に100万円
3年間で300万円かかる。

無事、志望校へ合格し進学したとして
学費だけで年に100万円
塾の費用で年に100万円
つまり年に200万円×6年間

つまり小学校4年生から
高校卒業まで
最低でも1500万円

かかるのが普通だ。

地方だと、子どもの教育費に
これだけの額をかけられる家庭は
かなり限られている上に

そのレベルの私立の中高一貫校もなければ
その子らを対象とした塾もないのが実情である。

それでも、となると

選択肢は、かなり限られるが
世帯年収が600万ぐらいの家庭でも
可能な現実的な手段を提案してみる。

例のごとく
青森県 青森市を基準として考えてみよう。
人口28万人、全国的にみても
地方によくある中核都市である。

まず第一に
「なぜ、都市部の私立・中高一貫校が
ここまで医学部進学に強いのか?」

に、ついて考察せねばならない。

これについて考えた時
一番わかりやすい喩えとして
甲子園を目指す野球球児の例を考えれば

理由は一目瞭然だ。

いま現在、夏の甲子園を目指す球児たちは
どんなに遅くとも中学の時点で
すでに硬式野球に取り組んでいるし

普通なら小学4年生ぐらいから
硬式野球をしているのが
当たり前だ。

どんなに才能、資質、能力に
恵まれていた子でも

「中学までは軟式野球してました」
「中学まではバスケ部でした」
なんて子が

高校入学後に硬式野球を始めて
甲子園で活躍する、なんてのは
今では非現実的な話である。

少なくとも小学6年生の時点で
「この子は甲子園で活躍するな」
「この子はプロで通用するな」
ってレベルの子は

すでにハッキリとプロスカウトの連中らから
把握済み、という時代だ。

これは医学部受験の世界でも
全く同じことがいえるのだ。

国立大学の医学部で
合否に決定的な影響を与える科目が
英語、数学、理科(生物・物理・化学から2科目選択)
なのだが

私立の中高一貫校は
これらの科目について
中学3年生までに一通り終える。

関西で最難関の灘中学の生徒は
中学3年生の時点で、青森では最難関の
弘前大学 医学部に合格できるだけの
学力をすでにもっている。

この状態で高校へ進学し
高校3年間をひたすら大学入試用の
問題演習の時間にかけれるのだから
その有利性は圧倒的である。

青森県トップの公立高校である
青森高校を例に考えてみても

数学の範囲を終えるのが
高校3年の1学期

物理・化学は
高校2年生からスタートして
高校3年の10月あたりで

やっと範囲を終えて
そこから問題演習にはいる。

それでもこのカリキュラムについてこれたら
東京大学理科1類(理学部・工学部)
京都大学工学部
ぐらいなら現役で合格できる。

なぜならば
これらの学部は数学・理科で
5割ちょい取れれば
合格者平均に乗っかるからである。

だが、医学部医学科となると

数学、理科ともに
8割超でやっと
合格者平均に乗っかる状態だ。

この差は圧倒的である。

中学までを公立で学んだ生徒が
高校から必死に頑張ったとしても
東大、京大の数学・理科で
8割超は取れない。

これは大阪ですら同じ話である。

人口880万人の大阪府で

府内の各・公立中学校の
「学年1位で生徒会長」
みたいな生徒ばかりが
集まる公立トップ高校

東大と京大の合格者数の合計が
100名を超えているような超・進学校ですら
医学部医学科への進学となると
私立に惨敗のありさまである。

せいぜい
神戸大学医学部か
京都府立医科大学に
受かれば御の字で

東京大学理科3類(医学部)
京都大学医学部医学科
大阪大学医学部医学科

のレベルになると
カスリもしないのが現状だ。

決して、彼らが劣っているわけではない。
演習量で私立が圧倒的に優位である以上
まったく勝てない。

おそらく、これが公立高校の限界なのであろう。

青森市がこの事態を打開しようとするのであれば
青森高校に入学してくる生徒のうち
一定数の生徒を私立の中高一貫校レベルまで
引き上げていくしかない。

関西で
1学年200名前後のトップ校で
そのうち60名程度が
国立大学医学部(東大・京大を含む)に
進学していく高校の生徒をみた場合

中学3年で

英語は英検2級(高校卒業程度)に合格し
数学は遅くても数Ⅱ・B(高校2年)は終わらせている。

青森県・青森市の人口規模から見た場合
必要な医学部進学者数は青森市だけで
年に最低50名は要る。

となると
青森高校から国立大学の医学部医学科へ
毎年50名受からせないといけないわけで

ここから逆算すると
青森市内の公立中学校から
青森高校へ進学してくる生徒のうち
最低でも50名程度は

中学3年で

英語は英検2級(高校卒業程度)に合格し
数学は遅くても数Ⅱ・B(高校2年)は終わらせている

状態へとレベルを引き上げねばならない。

これは既存の小学校・中学校だけで
出来ることではないし
これに対応できる塾とか家庭教師がいたとしても
人材的に数が足りていないハズだ。

それでも、なお
「青森市内の中学3年のトップ50名程度」を
このレベルに上げる、となると

現実的な政策として可能なのは

「幼稚園・小学校から公文式教室に通わせる」
ぐらいしか無いと思われる。

灘中をめざす小学生は算数、数学に関して
公文で小学校3年までに中学2年生まで
の範囲を終えてから
小学校4年に中学受験の専門塾へ入塾する
というのが一般的だ。

通常の公文式教室というのは
週に2回の通塾なんだけども

塾がない日も多めに宿題のプリントを
自宅に持ち帰り
一日あたり1時間、算数・数学を
学習するのが一般的である。

このスタイルで小学校から学習した場合
中学3年までに
数Ⅱ・Bの範囲なら楽々おわる。

英語も同様で
小学校4年生からスタートでよい。

塾がない日も多めに宿題のプリントを
自宅に持ち帰り
一日あたり1時間、英語を
学習すると

小学校6年生あたりで
英検3級(中学校卒業程度)には
受かるようになる。

公文式教室の場合、月謝が
一ヶ月あたり1科目8500円だから
英語と数学を取ると
月額17000円となり、結構な出費だ。

これを青森市が塾への支援制度として
月額1万円を上限として
補助する制度を整備してやれば
かなり現実的に通塾可能なはずだ。

月額1万円を上限、としたのは
大阪市ではこれがすでに
実施されているから、である。
やろうと思えば可能な話なのだ。

さらに話を推し進めてみる。

医学部医学科への進学は
やはり私立の方がどうしても強い。

私ならば
青森市には青森山田中学・高校が
中高一貫校としてあるので

山田中学校の特進コースの
入学条件として
小学6年生を対象に

・英検4級(中学2年修了程度)以上の級の合格
・数学検定4級(中学2年修了程度)以上の級の合格

この条件を満たした生徒を
無条件で合格とし
中学3年間の
授業費を全額免除の特待生としてむかえる。

中学1年で英語と数学は中学の範囲を終え

中学2年からは

英語は2年かけて
中3までに英検2級合格を目指し

数学は2年かけて
中3までに数検2級合格を目指す。

つまり、関西でいうと
灘中、東大寺学園と
ほぼ同じレベルである。

中3でこのレベルだと
開成高校を受けても受かる。

加えて、中学2年から

高校範囲の物理、化学、生物の授業を
本格的に開始し
高校1年までの3年間かけて該当科目の
高校の範囲の学習を終えることを目指す。

中3でこのレベルの生徒が
30名いたら、その30名は
間違いなく
弘前大学医学部なら楽勝で受かるし

上位10名は東北大学医学部に
現役で受かるようになるだろう。

中高6年間の学費を全額免除したとしても
学校側として宣伝効果は
十二分にある。

青森山田高校から
東北大学医学部へ現役で
毎年10名程度うかるようになった時点で

青森県内のトップ層は
根こそぎ青森山田中学へ
流入してくるであろう。

そこまでやらないと
青森県の医師不足は根本的に解決はしないし
これは一刻を争う問題である。

他の地方も同様だ。

地域の拠点病院に産婦人科医が不在、となると
お産そのものが出来ないので
妊婦さんや子育て層の連中は都市部へと
一気に流入し
辺境地域の高齢化、人口減少化が
一気に加速する。

これは地域の死活問題である。

私ならば、こうする。


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