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生まれたよ❣️

ヒトが生まれる。
殆どの人が、産むところは、
産院、病院だと答える今日この頃。

久しぶりに、
生活の場で出産する立ち会いをした。

私が、助産師として、
最も自然な出産の場として
提案できる「自宅出産」。

私も、
開業助産師としての仕事として
最も力を入れていた『自宅出産』とは、
産む人にとって、
様々な条件を
クリアしなければ叶わない。

まず、
ご本人の強い意志。
その人自身の健康、。
家族の理解と協力。
妊娠.出産についての
正しい知識。
そして、
強い意志と行動力。

自宅、或いは、
実家での出産を選択する妊婦さんは
極めて、少数派である。

百人の妊婦さんの中で、
ほぼ、一人の割合である。

なぜか?
何が起こるかわからない
出産への不安。
『お産は、病気ではない』と
云いつつも、だから大丈夫とは、
言い切れないのがお産だ。
それは、『お産と云う』
生理現象、命のリレー、種の保存が、
予測しずらい生命の危機的瞬間
をすり抜けるからだ。

現代社会において、
少しでも「危険な事」
には、
何とか、
工夫して立ち向かう
のでは無く、
危機回避することが、
最優先と考えられる。

生き物は、
生まれた時から、
成長し、一人前になったら
種を残して、最期には死ぬ。

人間にとって、
不老不死は、文化の進む中での
永遠の課題で有り、
今だに、
誰も果たせてはいない。

でも、
生まれかたについては、
医療、科学分野の発達により、
先へ先へと進歩躍進が続き、
今や、
ヒト遺伝子は、全て解読され
卵子、精子を冷凍保存し、
より良い条件での結合が
試みられている。

下手をすれば、
弱い遺伝子は、排除され、
真剣に関わる様な生命操作も
行われ始めていると云う。

そんな中にあって、
女性が、自らが生活する場所で、
いつも、衣食住を共にする家族に
見守られた中で、出産すると云う
事は、

正に、
病気ではない健康体の女性にしか
なし得ない「種保存」の現場であり、
夫、パートナー、家族にとっても、
生きて産まれ、
その場から、
人生を始めると云う
誕生の厳粛なる現場だと言える。

でも、
その命懸けの種保存の現場は、
今や、衣食住の繰り広げられる
日常生活な場から分離され、
家族、親族などの
介入も許されない医療と云う
特殊な場所で、
特殊な医療専門職に
見守られての現場になっている。

同様に、
「死」「人生の最期」についても
同じ事がいえる。

産まれ、育ち、発育成長し
家族が増え、次と世代へと
引き継がれていくと云う
種の保存の姿は、
その現実を目にすることすらないのだ。

今回のお産の立ち会いでは、
家族の一員であった老犬が、
老衰の為命を終えた。
そして、
それをも届けた様に
新しい生命が生まれたのだ。

家族の中でも、
特に、
これからの時代を担う子どもが、
生と死のあるがままを
体験した事によって
学ぶ『生命の重さ』
「愛しい命の最期」の別れを
心に刻んだはずなのだ。

フリーランス 助産師 前田ひろこ

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