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気になるNEW JEANSの「次の一手」

国内外の音楽祭で数々の賞を受賞し、地元韓国ではベストソング賞などいわゆる最優秀賞を総ナメにしているNEW JEANS(ニュージーンズ、以下NJ)。

アジアのみならずヨーロッパ圏でも大ヒットし、イギリスの権威ある音楽雑誌、NMEが選出する2023年の年間ベストソング50になんと”Super Shy”が2位にランクイン。


アメリカでも最新アルバム「GET UP」はビルボード200に初登場1位を記録、その後もK-POPグループ最長で20週もランクインし続け、なんと現在も記録を伸ばし続けている
また、日本のSUMMERSONIC、アメリカのLollapaloozaといった世界各地の音楽フェスにも積極的に出演し、人気を博し大盛況を収めた。


まさに世界のK-POPガールズグループになっている。

デビュー約2年のグループにしては最高にして最大の成功を掴んだNJ
しかし現実はここでは終わらない
ここからさらに人気を維持、拡大するためには次の一手や展望が必要となる。

これまでの彼女達は時流に上手く乗れたところもあった。
NJがデビューしたのはK-POPガールズグループが男に媚びないカッコ良さを追及した、いわゆるガールクラッシュばかりでリスナーが丁度食傷気味になっていた頃だった。

ガールクラッシュとは対極と言っていい、しかし媚びとも違うあのキュートな見た目と自然体かつ無邪気なキャラクター性でリスナーを虜にし、
そのハウス・ミュージックR&B調であったり、エレクトロ・ポップのチルできるようなトラック群は、それまでのK-POPのクイーンだったBLACKPINKHIPHOPEDMの要素が強い、ビートが効いたトラックとはまた対極ではあるものの、それゆえに親しみやすいサウンドで人気を得た。

(とはいってもNJは実は1stEPの時にもHIPHOPをフィーチャーしているが、こちらはあまり人気曲ではなく、「置きに行った」曲と言えるかもしれない)

つまりピークは過ぎたメインカルチャーのカウンターとしてタイミングよく登場できた部分がある。
プロデューサーのミン・ヒジンは「NJのヒットは100%計画通り」だと豪語しているので、偶然では全くなく狙い通りなのかもしれないが。

そして彼女達、及びミン・ヒジンはデビュー後しばらくはそのチルできる、どこか懐かしく親しみやすいポップサウンドの形態を維持しリリースを重ねた。

しかし流石はミン・ヒジン、続く昨年リリースの2ndEP「GET UP」ではそれまでの路線を受け継ぎつつ、早くも「ETA」という新基軸のマイアミ・ベース調のビートの効いたダンスナンバーを提供した。

こういったダンストラックはBLACKPINKがむしろ得意とする(そして飽きられてきた)ところなのでやや驚きでもあった。

ただ、ダンスナンバーとはいってもやはりBLACKPINKほどの攻撃的なトラックではなく、あくまでサウンドはミニマルでありメロディアスでもある所がNJの特徴であろう。

つまりNJは統一感は保ちつつ色々な音楽ジャンルにチャレンジしているのだ。

ということは今年以降発売するはずの3rdEPもしくは1stアルバムでもやはり音楽性を拡張していくものと思われる。

個人的にはMANESKINの登場もあり世界的にも最注目されつつあるロックに挑戦したりするんじゃないかと思っている。勿論NJの音楽性の範囲内ではあるが。
実際、ライブでは曲によってはバンド編成で楽曲を披露しているのだ。


さらに今はそれまでメインストリームだったHIPHOPEDMK-POPも飽和気味なので、世の中的にもバンドサウンドや生楽器に回帰する可能性は十分に考えられる。

実際アメリカではなんとカントリーが流行しており、Zachary Bryanのアルバムがビルボード200で1位を獲得後、発売後18週経ってた今でも20位につけている。


また、”Driver’s lisence”で世界を揺るがした超新星Olivia Rodrigoもまたアルバム曲等でロックをフィーチャーし、ニューアルバムのツアーの前座にもアメリカで伝説的なオルタナティブ・ロックバンドThe Breedersらを起用している。

ロック復権の機運は高まっているのだ。

一方、HIPHOPアーティストの若きキングTRAVIS SCOTTは、最新アルバムはビルボードで1位を記録したものの、ツアーが主要都市以外はSOLDOUTせず、大幅に値下げしても客が埋まらないという奇妙な現象も起きている。

音楽のトレンドもまた変わろうとしているのだ。

こうした流れも受け、音楽的にも実は挑戦的なNJおよびミン・ヒジンなので、次回作ではロックカントリー調の曲に挑戦することも十分に考えられる。

さらにNJはまだ全員ティーン。最年少メンバーでまだ17歳という脅威の若さだ。年齢を重ねればそれに合わせて最適な表現も変わってくる。

今は音楽性もキュートで音数もミニマルに抑えられているが、年齢を重ねて音数も増えてゴージャスに、時には攻撃的になっていく可能性もある。
また、何年後かには大人っぽくメロウでビターな曲も発表されそうだ。

また、ミン・ヒジンにはNJのなんと今後10年に渡るプランが既に頭の中にあるという。

今後音楽性も大幅に変わっていく可能性もあるとなると、どう変化していくのかもますます楽しみでNJから目が離せない。


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