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検事、早朝から仕事、するように家事したら家族から感謝されて家計も潤った(その4)

私が調理する食材は、毎週日曜日に私が買ってくるものと、前々週の木又は金曜日にネット注文用のカートに入れて毎週火曜日に自宅に届くものによって構成されています。
食材の選択は、献立の設定、調理の合理化、コスト削減等、家事の調理部門を完全に自己のコントロール下に置くために不可欠です。
冷蔵庫の中身(在庫)を管理し、ムダにせず、それなりに食べられる料理を提供することにより、私の心も満たされます。
日曜日の朝、私は、保冷用バッグ(ホールケーキを買った時に合わせて買ったもの)といわゆるエコバッグを入れたリュックを背負い、ヘルメットをかぶり、10年愛用している自転車に乗り、約10分かけて大型スーパーマーケットへ行きます。
その時、逆走してくる自転車がたびたび目に止まります。
私の認知スタイルは、そういう規範違反を真っ先に捉え、ジャッジしてしまいます。
抗えません。
その度に負の感情を抱く自分がめんどくさい。
己の器の小ささにガッカリもします。
だから、ジャッジした後、「まあ、いいじゃないか。君にとってリスクじゃないだろう」と自分に声を掛けて収めます。
いつも同じルートでスーパーマーケットにたどり着きます。
3階建てのスーパーマーケットの1階に大きな駐輪場があります。
少なくとも2時間は無料です。
そこに自転車を止め、ヘルメットを取り、ワイヤーをヘルメットとタイヤと駐輪場の輪止めに通してロックします。
屋内に1階から上がる階段やエレベータもありますが、私は外のエスカレータで上がるのが習慣になっています。
だからいったん駐輪場から歩道に出ます。
歩道上には、「駐輪禁止」の警告が設置されているそばで、自転車がズラッと並んでいます。
そこへ、自転車を止める人が次々と現れます。
またしても規範違反が目に止まります。
抗えません。
またいちいち心の中で、「駐輪禁止とあるのになぜ?」「ガラガラのほぼ無料駐輪場がすぐそこにあるのになぜ?」と非難めいた問い掛けをしてしまいます。
その一方ここでも「それくらいよくないか?君のリスクじゃないだろう」と問い掛けてくるもう一人の自分がいるのです。
そんな問答をしながらズボンの前ポケットからマスクを取り出し、マスクで口を覆いながら歩道を進み、歩道に面したエスカレーターに乗って2階に上がり、店内に入ります。
このスーパーは2階がスタートなんです。

店内に入ると、まず両手を備え付けのアルコールで消毒します。
買い物かごを2つ手に取り、コンパクトなカートを引っ張り出し、かごをカートの前後にひとつずつ載せて進行します。
2階には、調味料、飲料、保存食品、日用品などがズラッと並んでいます。
訪問回数を重ねるうちに、どこに何があるか頭に入りますし、並んでいる商品を眺めながら歩いているうちに、買い物リストなしでも、必要な商品の前に来ると「あっ、コレがいる」「あっ、これがなくなりそうだった」と瞬時にセンサーが反応して手が伸びるようになります。
とはいえ、まだストックがあるのに、醤油やら酢やら卓上海苔やらラップやらを買ってしまいがちです。
逆に、会計が済んでから、店を出てから、自転車をこぎながら、帰宅してから、「あっ!あれ忘れた!」なんてこともあります。
当然です。
センサーはそれほど正確ではありません。

自動のスロープで3階に上がります。
スロープを上り切ると、正面に旬のフルーツがあります。
フルーツはうちの子の活力源なので、旬のフルーツを中心に1週間分のフルーツを選んでカゴに入れます。
パイナップルは、1個300円を切っているときだけ手に取ります。
独自の基準です。
アボカドを、その週の出勤日数分だけ、結構時間をかけて厳選し、カゴに入れます。
当初はハズレ(硬いまま柔らかくならない、古くて黒いスジがたくさん表れるなど)を選んでしまうことも多かった。
けれど、自分で選んで食べる機会が多くなるにつれ、外観と手触りだけから、「コレだな」と判断できるようになり、ハズレを引く確率が下がってきました。
外観から種の形や大きさも分かります。
考えてみれば当たり前で簡単なことなのですが、種の形や大きさが分かったところでメリットはないので、説明は省きます。
でも種が大きいってことは、アボカドとしては優秀なのでしょうか。
主な野菜は、価格を度外視すれば、今や季節を問わず手に入ります。
でも、そんな野菜にも旬があります。
定番野菜ももちろんありますし、それらを使った定番献立もありますが、できるだけ旬の野菜を使った献立を考えながら選ぶようにしています。
そのほうが自己満足度と家族満足度が高いです。
また、果物や野菜を見ていると、「うわっ、ブドウ高っ!」とか、「ゲッ、ブロッコリーでかっ!」とか、季節による大きさの違いや価格の変動を体感でき、より広く日本の四季と経済の動きを肌で感じることができます。
野菜を選ぶ段階で、組み合わせる肉や魚もイメージします。
ニンニク一塊はほぼ毎週カゴに入れます。
味噌汁用のワカメも。
日曜日から火曜日までの献立を考えながら、旬の魚の切り身を好みで選んでカゴに入れます。
この秋冬はさんまを食べる機会が少なかった。
小ぶりでしたし、価格がやや高めでした。
妻子が好むチーズ類をガサっとカゴに入れます。
私の昼の弁当用のラムのもも肉を2〜3パック(合計500〜600グラム)カゴに入れます。
肉を選ぶ頃には日曜日から火曜日までの献立のイメージがほぼ完成しているので、それに必要な牛、豚、鶏、その各部位、加工の仕方を選んでカゴに入れます。
たまに肉を見て「肉じゃがより麻婆豆腐のほうがいいかな…」などと献立を考え直すこともあります。
そんなときには、野菜売り場に戻って野菜も取り替えます。
最後に牛乳も一本カゴに入れます。
最近はA2です。

私がこのスーパーに通うようになってから、レジとサッカー台が2回くらい様変わりしました。
客の動きなどをよく研究し、その成果を反映させているようです。
レジは15台くらいあるでしょうか。
ほとんどはレジ1台につき従業員1人が、客がレジ台に置いた買い物カゴから商品を一つひとつ手に取り、目の前の機械にバーコードを読み取らせ、隣に出した違う色の買い物カゴに入れていき、すべての商品を移し終えたら、隣にある精算機で客が自ら精算します。
どこにでもあるシステムです。
レジが客で混雑してくると、サポートを求める館内放送が流れたりして、数台のレジに、レジ専属ではない「サービスさん」と呼ばれている従業員(彼女たちがレジの現金を扱ったり、サービスカウンターとレジを行き来したりしているのを見たことがあるのでおそらくある程度責任ある立場にあると思われる従業員)がサポートにつき、2人体制でレジの作業をすることがあります。
そのレジの方が当然早いので、私を含め多くの人は自然と2人体制のレジを狙って列に並びます。
ただ、並んでいても空いたレジに順次振り分けられるので、思惑どおり2人レジに当たるとは限りません。
レジといえば、かつてこのスーパーにいらっしゃった「主任」は本当にすごかった。
段違いの有能さでした。
商品を手に取り、バーコードを機械に読み取らせ、うまく読み取らないときには素早くレジを打ち、商品を隣のカゴに移す、その手際の良さ・スピードと商品の取り扱いの丁寧さのバランスが絶妙で、実に素晴らしかったのです。
まず両手の使い方がスムーズ。
見ていると、商品をカゴからカゴへ移す際、右手から左手に持ち替えていると遅くなる。
だから、商品を右手でつかんだらそのまま隣のカゴに入れる。
持ち替える従業員はどうしても遅くなる。
また、商品を手に取ってから、隣のカゴのどこに入れるか考える一瞬がある。
それが長くなったり、度重なったりすると、判断が遅れてしまいます。
そうすると、手際が良くないように見える。
主任はその判断も段違いに早く、正確でした。
そういう優秀な方を見ると、どこにでもすごい人はいるもんだなぁと感心します。
肉や魚、潰れやすい果物、軽い葉物は、すぐにカゴに入れず一時的に台に置くことは徹底されているようです。
主たる戦力は中高年女性。
手際の良さと丁寧さにはバラツキがありますが、みなさん一所懸命。
熱心に取り組んでいらっしゃいます。
以前は手際の良くない従業員に当たるとイラっとしてしまうこともありましたが、なぜだか最近は寛容になり、自分なりに温かく見守れるようになりました。
毎週買い物をしていると、合計金額をおおむね想定できるようになります。
機械に現金を投入して支払います。
さきほど書いたように、サッカー台の配置も最近変更されました。
おそらく行動科学的な根拠に基づいているのではないかと想像しますが、人の流れがよくなり、使いやすくなりました。
リュックには重いものを、保冷バッグには冷蔵・冷凍品を、エコバッグには軽いものを、それぞれ出来るだけ効率よく詰めていきます。
サッカー台に備え付けられたビニール袋を引っ張ってピッと切り、それに肉や魚のパックを入れます。
時々、そのビニール袋をガラガラといっぱい引っ張り出し、商品を入れることなくまとめて持ち去る客がいます。
もしもしお客さんそれはダメでしょう。
空気が乾燥しているとビニール袋がツルツルすべってうまく開けられません。
かと言って、備え付けのクルクル回る小さなボールに触れて水を指に付けるのは衛生的にためらわれます。
だから、牛乳パックなどの濡れている商品を触ってしのぎます。
リュックなどに商品を入れているうちに見落とした重いものが1つ残っていると、まだまだ修行が足りんとガックリきます。
買い忘れに気付くと、「鈍臭いなぁ…」ともっとガックリきます。
リュックを背負って、バッグで両手が塞がった状態で、再度買い物カゴを持って…なんてことになるので。
客が使い終わったカートと買い物カゴを片付けるのは、サッカー台周辺で配置についている数人の中高年男性従業員です。
テキパキと自ら買い物客に近づいてカートとカゴを回収する人もいれば、ボーッと(しているように見える)立っていて、買い物客のほうが近づいて手渡そうとしないと回収しない人もいます。
「仕事」について、考えさせられます。



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