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 カナリアの死

【ピエロの手記64  断章52】

まだ炭坑が栄えていた頃
坑道の奥深くに
籠に入ったカナリアが元気に歌っていたという
坑内に有毒ガスが発生したとき
人間よりはるかに敏感なカナリアは
ガスを吸って 命と引き換えに
歌をやめることで危険を人間に知らせたという

まさにこれを書いている時に
オスプレイが墜落したというニュースに接した
墜落現場近くで目撃した猟師さんたちが
「機体は逆さまになって垂直に落下した」と証言しているのに
日本の防衛副大臣は 詳細も把握しないまま
「オスプレイは不時着水した」と発表した
事故ではないと

そんなにアメリカを庇いたいか
国民の安全よりも アメリカへの忖度なのか

詩を書く人はそんな政治家のベクトルが
国民に危険であると発信しなければならない
と私は思っている
人間への危険の発信に殉じた
カナリアのようでなくてはならない
と思っている

カナリアのように生きたい
カナリアのように死にたい
それは最後の最後まで詩を書き続けることなのだ


   ‟悲しいピエロ‴


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