「不適切」と言うお題に出す予定だったやつ

なんかちょっと違うなと思って出さなかったやつ
無題
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「手紙が届く頃、君は死んでいるだろうか。まだしぶとく生きているだろうか。死ぬ前に聞かせろと言われていたこと、聞かせてやるよ。直接になれなかったことは、すまない。だが死ぬ前に聞く最後の声が僕でなくてよかったろ。僕のことは嫌いだろ。もう君の知り合いはいないんだろ。僕が最後だ。知っているぞ。教えてもらった。そう、警察だ。僕はお前を殺し損ねて、捕まってしまったよ。ああ、僕の悪い癖だ。手紙だと挨拶が長くなる。本題に入ろう。お前は、言ったな。『僕が死んでしまう前に聞かせてよ。なんで僕をいじめるの』僕はお前をいじめた記憶はないが、止められなかったのは事実だ。みんな言ってた。お前は化け物だってな。男子は女子のヒーロー気取ってお前をいじめていたんだぜ。あんな化け物は俺らが退治してやるよ、危ないから下がってなってな。僕は関わりたくなかったんだ。化け物の仲間だーって、僕まで巻き込まれたくなかったからな。これでも一応子供なりの対応はしたんだぜ?教師に言ったさ。クラスメイトの親たちにも言ったさ。教師は無視だ。親たちはうちの子を犯罪者呼ばわりしやがって、だ。誰一人真面目に受け取っちゃくれなかったんだ。一部の教師は、僕が職員室を出た後この学校にいること自体不適切だと抜かすんだ。君の病気は、どこでも嫌われているんだな。新聞でも見たぞ。君と同じ病気のやつらがいじめられてるの。新聞はそれを正義かのように煽るんだ。おかしいよな。おかしいと思ったぜ。警察に言っても無駄なんだ。僕にできることなんてないだろ。君が狂ったのも、無理はないと思う。だが自暴自棄になるのは仕方ないことじゃない。君は逃げるべきだった。戦う力なんてないから、逃げるしかなかった。逃げ道はある。あったんだよ。君はそれをしなかった。早いうちに逃げなかった。だから悪化した。それでもまだあった逃げ道に、君は逃げ込まなかった。君は、復讐を考えていたんだろう?数年で誤解が解けて同じ病気の人たちは次々今までの謝罪を受け、世界を改革していくのに、自分たちのところだけ、未だに子供どころか大人も変わらなかった。よくなると思ってた対応が、一層酷くなっていた。僕に君の痛みも憎悪もわからない。でも、復讐なんてすべきじゃなかった。復讐なんて何も生まない。君を追い込むだけだ。あいつらは、僕も含めて赤ん坊だったんだ。なにが悪いか分かっていなかったんだ。だから許されるべきとも言えない。どんな理由であれ、人を傷つけたのなら相応のことは覚悟しないといけない。君は、皆に復讐するんじゃなく、訴えなければならなかったんだ。そうして罰を受けさせるべきだった。もう、済んだことだ。変えられない。彼らは、僕が殺した。もう警察にもそう言った。僕が殺したんだ。いいな。僕はもうすぐ死刑だ。手紙が届く頃には君が嫌いな奴はみんな死んでる。よかったな。
追記、君はこれからどうするんだ?できることなら死ぬ前に聞きに行きたかったが、残念ながら叶いそうにないから彼の世から見させてもらうことにするとしよう。くれぐれも僕の死を無駄にしないでくれよ。」

手紙という形式なんて、最も不適切な形で、なんて失礼なやつだ、君は。君自身が盲目にしたくせに、出所もせず、謝罪にも来ないなんて。でも手紙と同時に死の報せも送ってくるなんて、君にしてはなかなか気がきくじゃないか。看護師さんが教えてくれたよ。僕の代わりに死刑になってくれるなんて。君が傷つけたのは僕の瞳のみなのにな。まぁ、これで、復讐は完了。何も生まないことを人間がわざわざ行動するわけないだろ?復讐は過去の自分への救済を生む。自己満足を生む。それだけで十分じゃないか?……君のことは別に嫌ってはいなかったよ。まぁ子供の時は見てるくせになにもしないでって恨んでいたけど。君に非はないんだ。見過ごしていたらよかったものを。全く、君には感謝しかない。君のおかげだ。僕は、これでやっと心が軽くなったよ。さて、手紙は読まずに持っておくことにした、ということにしないとな。バレたら、面倒だ。

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