小さなオルゴール

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私は人型のオルゴール
背中のゼンマイを巻かれたら切れ目に沿って口がパクパクして歌うの
歌詞はないんだけどね
しかも口じゃなくて私のスカートの下に隠れてるスピーカーから音が鳴るの
可笑しな仕掛け
私は世界に一つしかないんだって
私を作ったお父さんが言ってた
私はいつもはお父さんの他の作品と共にガラス張りのショーケースの中で過ごすの
快適よ
お父さん以外人間が近くを通ることもないし、お友達もたくさんいるし、お話ししてたらあっという間に日が暮れるの
私のいるショーケースにいる子たちはみんなゼンマイ仕掛けの作品でお互いのゼンマイを回して遊ぶの
お父さんは若いわ
十歳の時に初めて作品を作って、私を作ったのも四年前、十四歳の時だった
こんなにも精巧な人型のオルゴールは初めてだとチヤホヤされた
でも、私の型を量産することはできずに、商品として売り出されることはなかった
お父さんは天才すぎるの
だから工場で作れなくてお金をもらえなかったの
お父さんは私を最後の最高傑作と言ってこの中に閉じ込めたわ
私の次から作られた作品は商品になって次々売れたの
私より圧倒的に粗雑なものばかりだった
私はそれを羨ましいと思わなかった
私たち最高傑作は、箱や袋に詰められず、バラバラにされることもなく、バーコードを貼られることもなくここに居続けられるのだから
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イメージで描いてみた

口の切れ目は細すぎてスプレーかけたら隠れちゃうということで……
背景描いたけど机描こうと思ったらフローリングの床みたいになった


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