廻り愛
こちらの企画に参加させていただきます
(恋バナ、なのか……?)
↓この話の二人の話です
※一部倫理的によろしくない表現があります
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愛
生まれた時から、私たちは親の所有物だった。
お母さんも、お父さんも、私たちで人生ゲームをするのが楽しそうだった。
私は勉強も運動も、優秀にさせようとしたらなったから、嬉しそうだった。
私たちはペット以下だった。
ご褒美なんてない。
一度もサンタさんが来たこともお年玉やお小遣いを貰ったこともない。
貰ったプレゼントは強いて言えばちょっと可愛い筆記用具とか、誕生日のショートケーキくらいかな。
別に兄さんと会えない以外不自由はなかったし、どうでもよかった。
中学卒業したら、兄さんと遠くの高校行って寮か下宿しようと思ってた。
その必要はなくなったけど。
二人が死んだおかげで、二人きりで暮らせるようになった。
無駄に貯まってた金を使って多少小火で燃えたとこだけリフォームして、そのまま二人で暮らした。
今はもう物理的に一緒になれてる。
ずっと一緒。
味も匂いも覚えてる。
全部私のもの。
なにもかも、全部。
りくは私のもので、私はりくのもの。
誰にも邪魔なんてさせない。
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りく
本当は、ずっと四人で暮らしたかった。
僕は満足してた。
愛が生きていて、不自由なく暮らせていて、ずっと変わらなければいいのにと、思ってた。
僕は、親孝行の仕方がわからなかった。
言われる通りいい成績を取るのは簡単だったけど、そうしたら今度は愛が苦しくなってしまう。
中々難しかった。
全部手に入れるなんて、できない。
親不孝もの、でも愛を苦しめたくない。
愛を苦しめる二人なんて嫌い。
愛と笑ってご飯を食べる二人が好き。
だから、僕にも親孝行の方法がまだあるって分かって、ほっとした。
だから、首を切った。
うまく死にきれずに、結局父さんに止めを刺してもらうことになっちゃったけど。
まぁ、そんなことは今更どうでもいいか。
愛は世間的には一家心中させられそうになってなんとか生き延びたことになってる。
警察から追われることもないし安心安全な生活はできている。
僕はきっと誰よりも恵まれている。
大好きな愛と一緒にご飯を食べて学校に行ってなにもかも一緒に過ごせて……でも、強いて言えば、僕の体で愛のこと抱きしめたかったな。
痛いのも全部、僕の体に移せればいいのにな。
本当は、ずっと、二人で過ごしてみたかった。
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