昨年かいつだったか、東京へ行った。
用事は、ライブ。

母と一緒に行って、ライブが終わって、その日の夜一泊して帰る予定だった。

しかしライブ会場からホテルまでは少し距離があったので、終演後電車に乗る必要がある。

母が切符を買ってくれている間、疲れすぎて私はその辺の柱の壁に座り込んでしまっていた。

その時

「大丈夫ですか？」

という声が聞こえて、ばっ！と顔を上げると
心配そうに私の顔をみている女性と目が合った。

慌てて立ち上がった。
ただの疲労で相手を心配させるわけにはいかない。

「大丈夫です！！！」

と私が言った後も、気を悪くすることなく、

「本当に大丈夫ですか？なら良かったです。失礼します」

と言い残して去っていかれて、本当に感じのいい人だった。

その後に、
（あ〜知らない人に無用な心配をかけるなんて、何やってんだ自分〜！）

という気持ちと共に、

もうあの人とは、2度と会うことはないんだな。と思うと、なんとも不思議な感覚になった。

無償の温かい気持ちを、もらってしまった。
東京って日本だけど、知らない場所だから、私にとっては異国みたいなもの。

そんなところで、思いがけず優しい言葉をもらった。心がふわふわ、ポカポカした。

しんどいので座っていただけです、と言っても、気を悪くすることなく去っていかれた。
去り際まで、スマート。

素敵な人だなぁ。

この出来事は、私の心に強く刻まれた。
ありがとう。優しい人。