「楽園のカーステンデール」と「山のあなた」

 楽園とか天国とか桃源郷とかユートピアに住みたいと昔は考えもしなかったが「#どこでも住めるとしたら」住んでみてもいいかな、と思っている。
 終わり。
 ちょっと短すぎるな。
 もう少し書く。
 記事タイトルにある「カーステンデール」というのはジャック・ヴァンスの小説『大いなる惑星』に登場する楽園だ。その名前は、この作品を読む前から知っていた。ホビージャパンが出版した『トラベラー・ハンドブック――SFロールプレイング・ゲーム完全入門――』(安田均著)で紹介されていたためだ。ネタバレを防ぐため、ここにカーステンデールの正体を記すことは避けるけれども、実際に『大いなる惑星』を読んで、その楽園に登場人物の一人が留まることを決めたとき、その意思に私も納得した覚えがある。
 恐ろしい大冒険に出かけるより、この楽園に自分も残るわ……と思ったのだ。今も、そんな感じがある。あの本を読んだのは遠い昔だが、今でも行ってみたい楽園なのだ。いや、カーステンデールの魅力は、行ってみたいとか住んでみたいといっただけに留まらない。あの物騒な超巨大惑星へ行かずとも現実の日本で実現できそうな気がしないでもないことが素晴らしいのだ。事はフィクションのように簡単にはいかないだろうが、小さなコミューンなら何とかなるのでは……という気がする。やってみたいという同志をインターネットを介して募集すれば良いのだから、人集めという点では昔より実現化は簡単だろう。それならば、カーステンデールの詳細を記すべきではないか? そしてカーステンデールの住人を大々的に募集するのだ、そして楽園を創り上げるのだ!
 そうなると、ここにネタバレ紹介文を書くのもやむを得ないだろう。
 実はカーステンデールとは……駄目だ、書けない。カーステンデールの秘密は、ここに書けない。ネットで検索すれば出てくるだろうから、書こうが書くまいが同じという気はするけれども、書けない。傑作SF長編『大いなる惑星』を実際に読んで「あ、そうか、なるほど!」と驚いて欲しいのだ。
「いや、そこまででもないだろうよ」という冷めた思いもあるにはあるが、同じくジャック・ヴァンスの短編小説『天界の眼』に登場する楽園と併せて読めば、面白さは深まるはずだ。
 ううむ、これで終わってしまっては「#どこでも住めるとしたら」というテーマから何万光年も離れた内容で終わってしまう。そこで「山のあなた」を取り上げる。説明するまでもないだろう(書くのが面倒というのはココだけの秘密だ)。カール・ブッセである。上田敏である。この詩に触れたのは、これまた大昔で、それっきり読んでいないが(おいおい)、それでも強く印象に残っているので書いてみる。幸せを探し求めて旅立っても見つからず泣いて戻ってくるといった詩だったと思う。メーテルリンクの童話『青い鳥』も、そんな話だったと記憶する。あの幼い兄妹は泣かなかったのに、大人のカール・ブッセが泣いて戻ってきたのは、一人だったからかなと今、思う。悲しみや絶望を分かち合える人間がいるのは幸福だ(幸せも同様に分け合うのだ、ジョリィと半分こにしたように)。
「#どこでも住めるとしたら」君と一緒に住みたい、暮らしたい。
 そんな書きようもあるねコレ、このテーマ。
 他に何かあるだろうか。他に書くことが、何か?
 あった。
 優秀な作品に賞を授与するとのことだが参加賞として、抽選で二十人くらいに何か下さい、お願いします(某投稿サイトでは、そうやって作品を募集していましたw)。

#どこでも住めるとしたら


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