見出し画像

実資


実資様のこと

📌 五十日祝

五十日祝

🐥ねえねえ、実資様って、和歌は苦手でいらっしゃるの?
🐥ああ、五十日祝の時にも、杯が回ってきたのに、その場の歌はお詠みにならず、ありものの神楽歌か何かでお茶を濁してらしたわよね。

📌 入内の御屏風

入内屏風の歌の詠進に応じた公任 応じたが詠み人知らずとされた花山院   拒否した実資

🐥彰子様の御入内で、道長様が御祝の御屏風の御歌を募られた時にも、『上達部が左大臣の命で歌を献じた例はない』とかおっしゃって、お断りになってらしたわよね。
🐥屁理屈?
🐥そういうわけでもなくて、ちゃんと前例を御覧になって、理に適ったお断りだったらしいわよ。
🐥あら、そうなの?
🐥🐥へえ

📌 この世をば

🐥ほら、だいぶ後のことだけれど、今日の若宮様が10歳におなりの時に道長様の威子様が18歳で入内なさるじゃない?
🐥ああ、この世をばの御歌が詠まれたという宴のお話ね。
🐥すぐに立后遊ばしたのよね。
🐥その10月の宴の時のことね。

道長の娘達の高貴な筋との結婚

🐥道長様が今から歌を詠むからと、実資様に返歌を求められたのよね。
🐥それで、「この世をば我が世とぞ思ふ 望月のかけたることもなしと思へば」でしょ?
🐥末の嬉子様も尚侍におなりで、後の後朱雀の帝の一のお后になることがお決まりも同然だったのよね。
🐥そりゃ、欠けるところもない完璧な人生だとお思いになるのもごもっともだわ。
🐥でも、そんな御歌にねえ、、、一体なんてお返事すればいいの?
🐥「イェーイ!」とか「さすが!」とか「ヨイショ―!」とか?
🐥🐥🐥いやあねえ。

🐥実資様は、御返歌なさらずに、御一同に声をお掛けになって、この世をばの御歌を皆さんで反復唱和なさったんですってね。
🐥へえ
🐥何かそういうの、唐の国の故事にもあったお話らしいわよ。
🐥『元稹の菊の詩に 居易 和(か)せずして 深く賞歎し 終日吟詠す』ですってね。
🐥あら、あなた、物知りねえ。
🐥あら、さすが、賢人右府様ねえ!
🐥この時にはまだ右大臣ではいらっしゃらないから、右府様ではいらっしゃらないわよ。
🐥あ、そうだわね。
🐥でも、右府様でいらっしゃらなくても、とにかくこんなに博識でおべんちゃらもおっしゃらない方って、、ちょっと煙たくない?
🐥まあそうよね。遠くで感心している分にはいいけれど、お側にいたら気疲れしちゃいそうよね。

🐥この世をばの御歌のことだって、道長様もさすがに言い過ぎたと反省なさったのか、道長様の御日記の御堂関白記には、何も書いていらっしゃらないんでしょ?
🐥そうそう、実資様が御日記の小右記にお書きになったから後世までも道長様の傲慢の印って、残っちゃったのよねえ。
🐥実資様がお書きにならなければね。
🐥そのうちみんな忘れちゃう酒席の戯言で済んだのよねえ。
🐥そんなんでいらっしゃるから、実資様って、イジワルとか言われちゃうのかしら。
🐥そうは言っても
🐥🐥🐥ねえ!

📌 婉子女王様との恋

🐥あら、でも華やかなお話もおありよ。
🐥あ、花山の帝の女御でいらした婉子女王様のこと?
🐥そうそう、為平親王様 と 源高明様の姫君 の間の姫君でいらした方。
🐥お美しいのでしょ?
🐥いみじううつくしうおはします、って有名でいらしたのよ。

実資婉子女王と道信

🐥忯子様がお亡くなりになって、帝はお悲しみのあまり、ほら、(声を潜めて)道兼様に騙されて御出家遊ばされたでしょ?
🐥あれは、お気の毒だったわねえ。
🐥(声を潜めて)兼家様の御指示で道兼様が…ねえ…。

🐥あの頃、婉子女王様は御体調崩されて、そうこうするうちに、帝が急に御出家遊ばされたのよね。
🐥それからそんなこんなで、いつの間にか、実資様が婉子女王様にお通いになっていらして。
🐥忯子様の異母弟でいらっしゃる道信様も狙ってらして、ショックをお受けになったのが、ちょっと有名になっちゃわれたのよね。
🐥恨み言を実資様にお送りになったんでしょう?
「そちら様はさぞお嬉しいことと存じますが、私は辛うございます」って、ね。  嬉しきは いかばかりかは 思ふらむ 憂きは 身にしむ心地こそすれ
🐥実資様よりも15もお若くて、お美しくて、歌詠みでいらしたのにねえ。
🐥それでも実資様が恋に勝利なさったのね。
🐥婉子女王様とはとてもお睦まじかったらしいわね。
🐥実資様って、案外御発展家でいらっしゃるのよねえ。
🐥🐥🐥へえ

📌 婉子女王様と為平親王様と源高明様

🐥婉子女王様は為平親王様の姫君よね。
🐥円融の帝は冷泉の帝の9歳下でいらっしゃるけれど、為平親王様は同じ后腹で円融の帝より7つも歳上でいらしたの。
🐥あら!御母君の御身分がお低いからお跳び越されになられたんじゃないのね!
🐥あら! 🐥あら! 🐥あら!

藤原氏の陰謀

🐥あ、源高明様の件?
🐥そうそう、源高明様は醍醐の帝の御子でいらしてね。
🐥高明様の姫君と為平親王様が御縁組なさったら、皇族の御力ばかりお強くなってしまうって、藤原が結束して…。

藤原氏抜きで結び付く 為平親王源高明

🐥🐥🐥ねえ😱
🐥源高明様と結びつきのお強かった師輔様も太皇太后安子様も続けて身罷られたのが、為平親王様と高明様の御不運だったのでしょうねえ…。

📌 かぐや姫

🐥実資様は御家柄も御器量もとても優れていらしたのに、姫君にお恵まれにならなかったから、9歳も下の道長様に後れを取られたのかしらね。
🐥発展家でいらしたのにねえ。
🐥それで、50歳過ぎてからお生まれになった千古姫様を溺愛なさって。
🐥✨かぐや姫✨とお呼びになってね。
🐥入内や良い御結婚は、道長様方の御妨害がおありだったらしいのよね。
🐥全財産を千古様にお譲りになれるように、そちらの算段も随分なさったのよね。
🐥そうそう、『更級日記』をお書きになった姫君の御父上の菅原孝標様は都にお帰りになってから千古様の家司をお勤めでいらしたそうよ。
🐥🐥🐥へえ!

千古の結婚と早世  実資方の財産の道長方への移行

🐥結局道長様の明子様の方の御孫君との御縁組の後、実資様よりも早くに亡くられてね。
🐥実資様の財産の大方は千古様を通して道長様方に流れてしまって、実頼様が後継として見込まれた小野宮様は、衰退していかれるのよね。
🐥賢人右府とまでお呼ばれになったあの御聡明な実資様がねえ。
🐥悲しいお話だわねえ
🐥🐥🐥ほんとにねえ。

🐥あ、でも、実資様は大往生の時にも御出家なさらなかったんですってよ!
🐥リアリストということ?
🐥超インテリゆえの?
🐥賢人の御心はわからないわね。
🐥🐥🐥ほんとにねえ。


📌 Cf.1 五十日祝の実資

📌 Cf.2 五十日祝の実資【簡略版】

                      眞斗通つぐ美

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?