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15.猫、放し飼いされ中

吾輩は猫である。
名前はあるけどナイショだ。

ご主人さまとどこで出逢ったか。。。薄暗い社会の端っこでニャーニャー泣いていたら、拾ってもらった。

吾輩はこの時初めて、優秀なホンモノの人というのが実在することを知った。今までご縁のない、立派な人だった。その魅力に惹かれて、公園に捨てられそうになっても、山の中に置いて行かれそうになっても、ご主人さまの袂から離れなかった。

その時から、放し飼いされている。

左手の薬指には、飼い猫の標として、キラリと光る輪っかがついている。これは、ご主人さまとお揃いの輪っかだ。人間界では、この猫は飼い猫だからさらっていったらだめだよ、ということがわかるようにしたほうがいいようだ。

そう、吾輩にはご主人さまがいるのだ。たまに餌をくれたり、膝の上でゴロゴロさせてくれる。ご主人さまの足が大好きだ。頭をたまにナデナデしてもらえるので、喉がゴロゴロ鳴る。

たまに違う猫をナデナデしているご主人さまだが、飼い猫は吾輩だけらしいので、時々ならと見ないふりをすることにしている。

それでも、吾輩のご主人さまなのだ。ニャーニャー泣かずに待っていなさい、と言われる。

吾輩はご主人さまの飼い猫だ。凛として、電話を待っている。電話によってきちんと毎日グルーミングされる。管理されている心地よさを感じる。

吾輩は、ご主人さまに逢えなくても、泣かずに待ちたい。

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