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不思議の紅茶時間~ふあり#5~

《お国柄?かなり熱かったはじめての英国紅茶》


 そういえば、紅茶にまつわる忘れもしない人生最大(良い意味で)の真実をお話をします。皆さんは、紅茶を連想するとき頭にどんな光景を思い浮かべますか?
わたしは、もちろんミルクたっぷりの紅茶(と、お砂糖少々)茶碗です。が、今回は《英国発・ロイヤルミルクティー》について、お話します。ロイヤルミルクティー…上品な言葉の響きと、思わずそのロイヤルミルクティーが主役の素敵なお茶会を連想してしながら…遠い昔から、本物の紅茶はこうあるべきなんだ…と思い知った出来事をお話します。

《紅茶大国、英国の温かさ》
 もう、数十年前の出来事。
日本、渋谷の大通りから脇道に入ってすこし歩いたところに『英国紅茶』と黄色い看板が掲げられた茶店がありました。まだ、その頃のわたしは全くのど素人で、ただその言葉の雰囲気に魅せられて茶店の扉を開けました。外から見るとこじんまりとした、可愛らしい茶店で、ここで本格的な英国紅茶を飲めるのだと期待に胸が高鳴りました。
 
 わたしは当然ロイヤルミルクティーを注文しました。注文を取りに来たボーイさんは、眸だけギラギラ輝かすわたしの、半ば浮き足立った初めての客に冷静に、丁寧に対応してくれました。
 店内は日曜日だけあり、お客が沢山で、よく席が取れたなと後で感慨深くなりました。店内のインテリアとかあまり覚えていなく、白い壁に絵画が収まった額縁や、そうそう、英国からのお土産みたいなものも飾ってありました。変に飾らない、気兼ねなくティータイムを楽しんで下さい、というような雰囲気でした。そんなこんなでボーイさんが銀のトレイを運んできました。白地に青い花柄の、少し重みのあるティーカップは、品の良い静謐さを漂わせていて、細い取手に指を絡め、息を吹きかけて、ひとくち口に含みました。
「あ!あ~~~熱いっ!」
 普段家で飲んでいる番茶の比ではありません。そうか、英国ではこんな熱い紅茶を飲んでいるのかと、人肌程度の温度の紅茶を飲んでいるわたしは、やはりお国柄が現れていると納得。でもとにかく熱いので、下品にならいように、ゆっくりと少しずつ味わうように口に含んでいきました。でもでも熱い…。
 皆さんをガッカリさせてしまい申し訳ないのですが、結局ロイヤルミルクティーの味は年月の風化とともに忘れてしまいました。でも、なんとなく予想していた優しい口当たりの《英国紅茶》だったと思います。
 
 そして、世界中で有名なアニメ『ムーミン谷のムーミン』という映画版アニメに登場するキャラの、スニフの台詞に、
「ミルクたっぷりの熱い紅茶が飲みたい」
と。これ、弱音を吐いているんですよね。でも、彼は確かに、『熱い紅茶』と言っています。原作者のトーベ・ヤンソンさんはフィンランドのヘルシンキが母国です。フィンランドでは、熱い紅茶が主流だったのでしょうか…。なにはともあれ、こういうお茶繋がりのエピソードを聴くと、紅茶愛飲家としては、なんだか嬉しくなってしまうのです。

 話を戻して、その数年後、友達と渋谷に訪れた際に『英国紅茶』の、あの黄色い看板を探し歩いたのですが、残念ながら発見できず、年月も経過しているので、もしかしたら茶店を閉められたのかな…とさみしい気持ちになりました。きっと、まだ違う場所で熱いロイヤルミルクティーを振る舞っていたら素敵だと、ひとり眸を閉じて、胸に刻みました。

また紅茶専門店巡りみたいなものができる環境になればと願っています。終わってみれば何だか纏まりのない内容になってしまいましたが、全ては紅茶話と大きく括らせて下さい。

*それから、初投稿の際に、かなり間違った描写がありましたので、訂正させて頂きました。未熟者の過ちと寛大な目で見て下されば幸いです。

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