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歌詞オタクが語るJ-POP ~宇多田ヒカル「Automatic」~

INFPのみずがめ座女子大生が、ひたすら J-POPの歌詞について語ってます。



皆さんこんにちは!今日は風がものすごく強いですね(T_T)
本日は、日本の音楽シーンに衝撃を与えた宇多田ヒカルさんの「Automatic」について語ってみようと思います!

楽曲「Automatic」について

「Automatic」は、1998年に発売された宇多田ヒカルさんのデビューシングル「Automatic/time will tell」のタイトル曲です!同作はダブルミリオンを記録し、華々しいデビューを飾ることとなりました。
驚くべきなのが、当時宇多田さんは15歳!!10代と思えない色気のある声と、グルービーなサウンドに日本中が虜になりました。

宇多田ヒカル
1998年にシングル「Automatic/time will tell」でデビューし、同作がダブルミリオンセールスを記録。ファーストアルバム「First Love」はCDセールス日本記録を樹立。以降、アルバムはすべてチャート1位を獲得。2019年に発売されたKINGDOMHEARTS IIIのテーマソング「Face My Fears」では自身初の全米Billboard Top100入りを記録。2022年1月、8枚目のオリジナルアルバム「BADモード」をリリース。同日に自身初の有料配信ライブ「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」を開催。国内外にて高い評価を得る。4月16日(現地時間)には、世界最大級の音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル2022」で「88rising’s Head in the Clouds Forever」ステージにゲスト出演。自身初の音楽フェスでのパフォーマンスを披露した。

宇多田ヒカル | SONGS OF TOKYO | NHK

さて、本日取り上げる「Automatic」の歌詞についてですが、ひとこと言わせてください。。。
これ15歳が作詞したってどういうことー!??!!???
なんでそんなに艶っぽい歌詞が思いつくの?涙
本当にすごい感性ですよね!
1998年に発売された楽曲ですが、2023年に聞いても色あせておらず、むしろおしゃれに聞こえます。それでは!



♪ I can't help but feel alive   yeah  yeah
 七回目のベルで受話器を取った君 
 名前を言わなくても声ですぐ分かってくれる

”受話器”というパワーワード。ベルが鳴っている受話器を取る、という日常生活の動作なのに、すごく引き込まれます。「名前を言わなくても声ですぐ分かってくれる」という部分からは、少女のちょっとませた感じが伝わります。「いや、名前とか言わなくても分かってくれるんで()」という優越感!ちょっと生意気でかわいらしいですよね。
「Automatic」が発売された1998年って、まだ固定電話が主流だったのか?と気になって、ちょっと調べてみました。


携帯電話が急速に普及したのは、1993年(平成3年)から1998年(平成10年)頃のこと。第一世代のアナログ方式から第二世代のデジタル方式に進化したことや、通話性の向上、価格の低下、保証金の廃止などが進みます。
そして、携帯の普及を後押ししたのが郵政省による端末売切制度の導入。それまで携帯電話はレンタルするものとして広まっていましたが、仕組みが見直され、個人が端末を所有できるようになりました。

日本で初めて携帯電話サービスが登場したのは何年? | NTT ...

まさに、携帯電話が普及し始めた時だったみたいですね!個人的に携帯電話が普及する前と後では、J-POPの歌詞も大きく変わったように感じます。
この「Automatic」は、本人以外の家族が電話に出るかもしれない!という固定電話のドキドキ感を留めた作品だといえます。

♪ 唇から自然とこぼれ落ちるメロディー
 でも言葉を失った瞬間が一番幸せ

来ました!神パート!!泣
一通りお互い話したあと沈黙になって、頭に浮かんだメロディーをふと口ずさんでいた。でも、「言葉を失った瞬間が一番幸せ」ということに気づく。
そうなんですよ!結局、言葉を介さなくても心が通じ合ってるって、人間の一番親密な関係だと思いませんか?このパートからは、宇多田ヒカルさんの「語らないことで多くを語る」というか「語らない美学」みたいなものをひしひしと感じるわけです。この真理に15歳で気づいていた宇多田さん恐るべし。

♪ 嫌なことがあった日も
 君に会うと全部フッ飛んじゃうよ

先ほどまでの大人びた歌詞とは対照的に、この部分はすごく無邪気です。
「君に会うと全部嫌なことフッ飛んじゃうよ☆」という子どもっぽい明るさを感じます。曲全体として、大人っぽくなりすぎないようにバランスをとっているのでしょうか。

♪ 君に会えない My rainy days
 声を聞けば自動的に Sun will shine

この部分、あまり日本語ぽくない歌詞ですよね!(英語があるから当たり前ですが)心情の表現方法全てがおしゃれで海外育ちなのが伝わってきます。
そして、”自動的”というワードが出てきましたね!タイトルの「Automatic」は日本語に訳すと「自動的に、無意識的に」となり、あなたの声を聴くと自動的に心が晴れるということになります。ここも、余計な思考が介在していない感じがすごく妖艶だと感じませんか?15歳という若さもあいまって「頭脳ではなく本能」に近いところで恋している様子がにじみ出ていますよね。

♪ It’s automatic
 側にいるだけで その目に見つめられるだけで
 ドキドキ止まらない Noとは言えない
 I just can't help

サビです!ここは結構直接的な歌詞になっています。
”Noとは言えない”という歌詞が、若い二人の間に流れるヒリヒリとした空気感を物語っています。刺激的で最高なサビです。

♪ It's automatic
 抱きしめられると 君とParadiseにいるみたい
 キラキラまぶしくて 目をつぶるとすぐ
 I feel so good It's automatic

”Paradiseにいるみたい”って、日本育ちだと絶対思いつかない歌詞だと思いません!!?多分日本語的に考えると、”夢の中にいるみたい”的な表現になると思うのですよ。。ところどころの英語の単語の使い方が、この楽曲のおしゃれさを底上げしていると思います。先ほどの”ドキドキ”とここの”キラキラ”を並列しているのも、キャッチ-で耳に残ります。

♪ あいまいな態度がまた不安にさせるから
 こんなにほれてることはもう少し 秘密にしておくよ

2番は少し心の不安定さを感じる歌詞で始まります。思春期ならではの、「相手は自分のことどう思っているんだろう」「あの言葉どういう意味」という、考えても考えても答えの出ない問いを永遠に考え続けて情緒が不安定になる様子が表現されています。この部分は歌っていても、音程が流動的で難しいですよね。。
ですが、こちらもやられてばかりではいられませんので!曖昧な態度をとられた仕返しとして、”こんなにほれてることはもう少し秘密にしておく”わけです。やはり、茶目っ気があってかわいいですね。

♪ やさしさがつらかった日も いつも本当のことを言ってくれた
 ひとりじゃ泣けない rainy days
 指輪をさわれば ほらね sun will shine

好きな人からのやさしさがつらいってどんな時なんでしょうか?あくまで想像になりますが、「ここ行きたい」「電話したい」って言ったときに恋愛感情があるかはわからないけど、優しいからOKしてくれる人っていますよね。そういう人からのやさしさって多分辛いですよね、、でもその人は「自分もあなたと行きたいんだよ」「自分も電話したいと思ってたよ」みたいなことを本心で言ってくれるのが分かるから抜け出せないってこと?沼じゃん。
ひとりじゃ泣けないっていうのは、二つの捉え方ができるような気がします。一つ目は物理的に一人では泣けない、あなたの前じゃないと涙は見せられない(心を許せるのはあなただけ)という捉え方、二つ目は、あなたのことことを想ってでしか泣けない(自分のことでは泣けない)という捉え方。
どちらも考えられますね~。奥深い。
”ほらね”からは少女のあどけなさも感じます。
やっぱりこの楽曲、幼さと大人っぽさのバランスが絶妙!

♪ It's automatic
 側にいるだけで 体中が熱くなってくる
 ハラハラ隠せない 息さえできない
 I just can’t help

二番のサビもちょっぴり刺激的ですよね。側にいる君を意識して、体温が上がっていく様子が鮮明に浮かび上がります。
”ハラハラ”という擬音語も、ドキドキよりももっと危険な香りがして素敵です。

♪ It’s automatic
 アクセスしてみると映るcomputer screenの中
 チカチカしてる文字 手を当ててみると
 I feel so warm

来ました!オシャポイント!
急なネイティブ”computer screen”!これで一気に楽曲があか抜ける気がします。この”computer screen”ってどんなパソコンの画面なんだろうと気になって、その時代に発売されたパソコンを調べてみると、1998年にアップル社が「iMac」というパソコンを発売していました!このパソコン、、デザインがめちゃくちゃ可愛い涙(下の画像の左側)
もし、10代の宇多田さんがチカチカしているこのパソコンのscreenを触っていたとしたら、それだけで絵になりますね。あと、電子製品に対して”チカチカ”っていう擬音語を使うのもちょっと平成感があります、今のスマホやパソコンの画面って画質が良すぎてあんまりチカチカしないですからね。。。


ボンダイブルーのiMac G3 vs. 最新iMac
(新型iMacと初代iMacを比べてみると……? アップルが「Then and Now」を公開
https://www.bing.com/search?q=Imac+G3%e3%80%80%e6%97%a5%e7%b5%8c%e3%83%91%e3%82%bd%e3%82%b3%e3%83%b3&qs=n&sp=-1&ghc=1&lq=0&pq=imac+g3%e3%80%80%e6%97%a5%e7%b5%8c%e3%83%91%e3%82%bd%e3%82%b3%e3%83%b3&sc=0-14&sk=&cvid=D0E75B4E48B3468D8D31548EA4A1B727&ghsh=0&ghacc=0&ghpl=&first=11&FORM=PORE)

今では考えられないブラウン管を採用した一体型のデスクトップで、重量は17キロほどもある。そのボリューム感と丸みを帯びた15インチのブラウン管は、当時としても少しも先進的とは言えなかった。
だが、17万円台と入手しやすい価格にボンダイブルーと呼ばれた美しいカラーの筐体(きょうたい)を採用。大きなボディーがおしゃれなデザインで大ヒットする。この後、iMacはカラフルなモデルを次々に投入し若年層の心をつかんでいく。「i」で始まる製品名といえばアップルというイメージが広がったのもここからだ。

平成パソコン史の主役たち 98・DOS/V …

♪ It's automatic
 側にいるだけで 愛しいなんて思わない
 ただ必要なだけ 寂しいからじゃない
 I just need you

この部分、私が「automatic」の歌詞について考えてて一番わからなかった部分です。”側にいるだけで 愛しいなんて思わない”というのは、「あなたのことが好きなのは、ただ近くにいるからってわけじゃないよ」ということですよね。人を好きになるときに、”単純接触効果”が働くからって聞いたことありませんか?そう、単純に会う回数が多い人ほど好きになりやすいっていうアレです。この歌詞はそれを否定しているんじゃないかな?というのが私の見解です。「私の恋ってそんな俗っぽいものじゃないから、本能的に求めてるの!!」と小娘が言ってるような感じでしょうか。”ただ必要なだけ 寂しいからじゃない”というのも、「寂しいから、あなたの側にいたいんじゃないよ。」ということアピールしてますよね。

♪ It’s automatic
 抱きしめられると 君とparadiseにいるみたい
 キラキラまぶしくて wow wow yeah
 I feel so good

そこに、”wow wow yeah”入れるの強すぎない????
文章だけで見れば”キラキラまぶしくて”、どうしたんだよ、となりますが、
やっぱり「言わない美学」なのです。本当に幸せなときって言葉出ないですから、多分。君といるのが言い表せないくらい最高の気分というのが、逆説的に提示されています。



「Automatic」の歌詞分析はいかがだったでしょうか?
とりあえず、これを15歳で作詞作曲した宇多田さんって?神?と言いたくなる歌詞でした。何年たってもおしゃれで色あせない名曲ですね。

それでは、また次回~!


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