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教育とは〜電車の中の学生から学んだこと〜

出勤は電車をつかいます。

今朝は小学生のグループが
車両にのっています。
友達同士おしゃべりしながらも
みんなきちんと固まって
立っています。

校外学習なのかな?
どこに行くのか気になりつつ
こういう光景をみると
いつも思い出すことがあります。


もう何年も前、
立っている人もまばらな
今よりももう少し遅い時間に
電車に乗り込んだ日のこと。

その日は中学生がのっており
制服姿にリュック、
ほぼみんな立っています。

先生も生徒に混じって立っておられ
みんなどこに向かうのか
楽しそうな雰囲気

私はそのグループの隣に立っていました。

男の子が目立つ中
女の子もいて
私の隣には 女生徒が1人。
明るくワイワイという雰囲気ではなく
ぱっと見、優等生タイプ。
笑顔で おとなしそうなイメージの
女の子です。

その子は
少々声が大きくなりつつある
男子生徒の横で
静かに立っていました。

男の先生が「まだおりちゃだめだぞ ○○でおりるぞー」
と 数駅先に近づいた
降車駅を周りの子達に支持しています。

ふいに車内アナウンスが流れました。

「リュックなどのお荷物は
他のお客様に迷惑にならないよう
お手にお持ちになるか、棚にお乗せくださいますようよろしくお願いいたします」


毎日聞き慣れている
アナウンスです。
実際その時間帯は
ひしめき合っているわけでもなく
リュックを背負っている人がいても
乗り降りの際
軽く避ければ なんなく通れる
雰囲気でした。



しばらく時間が流れ
ふいに
私の隣の女生徒が
近くにいた男の先生の元に
少し寄り 小声で
「先生 リュック下ろしてくださいって言ってます」と耳打ちしました。
男の先生は
近くの男子生徒との会話で
アナウンスを聞いていなかったか、
または 人のまばらさで
「大丈夫だな」と判断されていたのか
リュックを背負ったままでした。

近くの男子生徒も背負っています。

彼女は
アナウンスの後
リュックを下ろしていました。


女子生徒の言葉に「ん?」と
耳を向けた
その男の先生に
女生徒はもう一度小声で話しかけます
「リュック、下ろしてって言ってました」

「あぁ…」
と、男の先生は言い
それ以上 女生徒に言葉をかけることはなく
リュックを下ろすでもなく
また近くの男子生徒と
会話を始めたのでした。

その女生徒は静かに
最初の立ち位置 私の隣に
戻ってきて黙って立っていました。



私はその出来事が 大変残念でした。

確かに
リュックを下ろさなくても
大丈夫でした。
他にも下ろしていない大人の方もたくさんいます。

ただ心から
教育って
なんだろうなぁと思いました。

もちろん
〈車内指示に従わない先生がおかしい〉
〈きちっと守る女生徒が正しい〉
そんな次元の話ではありません。

14、5歳の女生徒が
電車の中で気づいたことがあって
それに気づいていないであろう先生に
伝えてみた場面です。
彼女の言い方は
決して大人を馬鹿にするような
言い方ではありません

周りに気を遣い
小声で遠慮しながら訴えていました。

教育する側の大人としては
バツの悪いことだったかもしれません。
先生なりの考えがあったのだろうとも思います。
車内アナウンスが流れるとはいえ
臨機応変な判断もあるのも
またおかしなことではないからです。

でも
声をかけてきた女生徒に
返す言葉は
もっと他にもあったはずでした。


彼女の勇気は
宙に浮いてしまいました。

この子のまっすぐな心が
担任の先生に
受け入れられず、行き場を失ったようでした。


わたしは
いたたまれませんでした。

でもその行き場をなくした
彼女の気持ちを
絶対に無駄にしたくなかった。

私は
しばらく時間をおいてから
私の隣に立つその女生徒に
目を向けて
近くの生徒や
男の先生には聞こえない
そっと 小さな声で
「あなた えらいわね😊」
とだけ言葉をかけました。


するとその女生徒は
少し驚き
そして恥ずかしそうに
素敵な笑顔を見せてくれました。

わたしは
彼女に勇気をもらったのです。

普段なら電車の中で話しかけるなど
「どう思われるかわからない」と
絶対しないことです。
でもその女生徒が見せてくれた行動で
わたしも
突き動かされ
その彼女にどうしても
伝えたくなったのです。

お節介おばさんとして
彼女の宙ぶらりんな気持ちの中で
ほんの一個の筋になったらいいというだけの想いで…。

結果として私は
悩んで声をかけましたが
彼女の笑顔によって
幸せな気持ちを
残すことができました。

その男性教員が
彼女にその気持ちを与えることができていたら
どんなによかっただろうと
わたしは
深く思いました。


普段の生活なかで
教育の場面は多々あると感じます。

年齢関係なく
心に残ることや
教わることがたくさんあります。

わたしは
電車の中で
生徒たちがのっている姿を見るたびに
この出来事を思い出します。


学校という囲いの外に出て
普段とは違ういろいろな人達と
同じ空間で過ごす短い時間の中で
大人の真の姿が
子供達の前にさらされていました。



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