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読書「黒猫になった教授」

表紙の黒猫が可愛くて、手に取りました。
作者はA・B・コックス(エービーコックス)。
これは別名で、アントニー・バークリーの方が有名なようです。

アントニー・バークリー名義の「毒入りチョコレート事件」は、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本名は、Anthony Berkeley Cox
1893年生まれ。
雑誌や新聞の文筆家として活躍し、探偵作家として1925年「レイトン・コートの謎」で、デビュー。
1971年没。
名義はこの他にも、フランシス・アイルズ、A・マンモス・プラッツ、「?」があるようです。

A・B・コックス名義では、主に短編が多いそうですが、長編小説も4作あるらしく、そのうちの1作が、この「黒猫になった教授」

※Wikipediaと、解説の真田啓介さんからの情報です。

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この「黒猫になった教授」は、1926年に発表されたそうです。
この度、森沢くみ子さんが翻訳して、2023年に発行されました。

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リッジリー教授が死亡し、その脳をメスの黒猫に移植された話。

手術したのはカントレル教授。

父親であるリッジリー教授が死亡したのに、黒猫となって現れた!
娘であるマージョリーは驚きます。

父親の遺言は「マージョリーはカントレル教授と婚姻しなければ遺産を相続させない」

でも、マージョリーにはティムと言う恋人が居た。
生前のリッジリー教授は、ティムとの婚姻を反対していた。

黒猫となったリッジリー教授は、人の言葉を話すようになるも、猫の本能におもむくままに家から飛び出します。

マージョリーとティムは、リッジリー教授に婚姻を認めて欲しい。
一方、カントレル教授は、リッジリー教授の遺言のとおりマージョリーと婚姻、遺産を相続、更には手術の成功を学会で発表したいという思惑が。

逃げ出した黒猫リッジリー教授と、他のキャラクターは果たしてどうなるのか?

著/A・B・コックス
訳/森沢くみ子
解説/真田啓介
「黒猫になった教授」

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表紙の「ドタバタ喜劇」とか、裏表紙に訳者あとがきの一部が掲載されていて、「こんな黒猫がいたら!」が印刷されていたので、ワクワクしながら読み始めました。

舞台はイギリス。
時代は特に書かれていませんが、発表されたのが1926年との事。
今から約100年前です。
なので、その頃だと推測しています。

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外国の本は、価値観、歴史、習慣、背景、文化、何よりユーモアセンスが、日本と違うと感じています。
イギリスをよく理解している人だと、この面白さも分かるのかも知れません。
ですが、私では分かりませんでした💦
楽しみにしていただけに残念でした。
私の読解力不足ですみません💦

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リッジリー教授の娘、マージョリーと、恋人のティム。
何故、結婚が反対されていたかと言うと、リッジリー教授とティムが、又従兄弟(またいとこ)の関係だからとの事。

この時代の倫理観や、国の違いもあり、何故反対するのか、よく分かりませんでした。

そして、手術をしたカントレル教授は、リッジリー教授の相棒的存在。
何故、ここまで毛嫌いされるのか。

更に、物語はマージョリーとティムの都合の良いように展開されて行きます。

マージョリーは当時21歳。
この頃のイギリスの女性の結婚適齢期は分かりませんが、マージョリーが婚姻出来るためにキャラクター達が動きます。
今の時代の21歳だったら。
結婚も良いけど、遊んだり、仕事や勉学にも勤しみたい歳頃ですね💦

また、カントレル教授が悪役的に扱われます。
カントレル教授が歯噛みする場面、他のキャラクター達はクスクス笑います。
そのクスクス笑いは、嘲笑と言うか、少しバカにしているようにも感じました。

救いは、最後の最後のエピローグ。
私でもホッコリ出来ました。
この4ページが無ければ、私は最後までモヤモヤしたままだったかも知れません。

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1926年。
今から約100年前。
この当時に、脳を他の動物に移植する、なんて発想された事にスゴいです。

今、バーチャル、メタバース、仮想世界、ムーンショット計画など、脳と身体との分離?
そんな世界がどんどん進んで、生活の中にも少しずつ入って来ています。
私たちのこれからはどうなるのでしょうか。
この100年前の発想も、もしかしたら今、どこかで実験とか実際に繰り広げられているのでしょうか?

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この著書を読んで、下記のアニメを思い出しました。

「ソードアート・オンライン」を初めて見た時は衝撃を受けました。

名探偵コナンの映画「ベイカー街の亡霊」も、バーチャル世界と現実世界が混ざり合う世界観に畏怖しながら鑑賞した記憶があります。

ルパン三世の映画「ルパン三世VS複製人間」のマモーも想起しました。

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約100年前に書かれた「黒猫になった教授」
黒猫になったリッジリー教授は果たしてどうなるのか。
私は、あのラストで良かったと思いました。
皆さんはどう思われるでしょうか。
気になる方はぜひ、著書を読んでみて下さい。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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