【日記】さすが! ブレイク・スナイダー様はすごかった!

 ご無沙汰しております。
 最初に言っておくと、現在も無職です。
 そろそろ職探しに本腰を入れます。
 これについては、ある程度動きがあり次第まとめます。

 今年に入ってから断続的に趣味で小説を書いておりました。
 文庫本にして約2冊分の分量です。
 長編小説を書くのは、仕事はおろか趣味でも初の体験でした。
 力量不足を感じながらも、楽しく書けたと思っています。

 その執筆活動を、サポートしてくれた本があります。
 ブレイク・スナイダー著『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』です。
 シナリオライターの仕事をしていたときにも重用していました。
 ざっくり説明すると「名作映画の脚本って共通の構造があるよね」と分析した本です。
 映画1本が約2時間として、何分くらいにどんな出来事が起きるのかというようなことまで事細かにタイムラインで説明されています。
 これを本書では『スナイダー・ビート・シート』と呼び、このシートに沿って物語を作っていけば、名作の物語に近い構造が生まれるようになっています。

 日本で出版された当時は「革命的だ!」と騒がしかったと記憶しています。事実、私も読んで、あまりに明快な分析と実用性の高さに驚きました。これを読んでからは、仕事のインプットもアウトプットも数段レベルが上がった実感があります。
 脚本やシナリオに興味がない人も、ぜひ本書を読みつつ、その中で紹介されている作品を是非2~3本鑑賞なさってください。感覚的にも理屈としても、作品を見る目が変わると思います。

 ただ、気をつけていただきたいのは、本書が刊行されたのは10数年前であり、現在においては必ずしも最新で完璧なものでないということです。
 少し前に、ハリウッドの脚本家や志望者がこの本の理論を模倣しまくって、一気に陳腐化したらしいという噂を聞いて笑いました。
 また、本書はあくまで名作映画の分析であって、物語そのものの本質を分析したものではありません。言葉にするのは難しいのですが……神話や伝承など、人間は古来より、なぜ物語に惹かれるのか。今日まで残る物語≒優れた物語はどういう要素を含んでいて、なぜどのように構築され、人間の無意識に作用しているのか。そんな物語の根本を理解するには、また別の書籍と経験が必要になります。これについては僕自身が他人に伝えられるほど理解していないので割愛させていただきます。

 閑話休題。本題である趣味小説の話です。
 この本は、今でも創作活動を大いに助けてくれました。
 かつての仕事では『スナイダー・ビート・シート』を元に、プロット(ひとまず詳細なあらすじとお考えください)を作成し、プロットをクライアントに提出してジャッジをあおいでいました。このプロットにOKが出るまで直し、それからシナリオの執筆に入るという流れです。
 しかし趣味の創作活動となれば話は違います。さっさとシナリオ本編を書きたい。プロットを書くにしても、神経を削って提出のために体裁を整える必要はない。ジャッジするのは自分自身なのです。
 そんな理由から、趣味小説ではちゃんとしたプロットを作りませんでした。ビート・シートに沿って、ざっくりと「12万文字を想定し、その内の何文字で、大まかにどんな出来事が起こるか」だけをメモして、本編を執筆しました。残りの空白は思いつきです。ふと湧いて出たネタや、執筆の合間にインスピレーションを受けた作品の要素を、気の向くままに入れながら書いていきました。
 それでも結果的に、ある程度思い描いたような結末を迎えることができたのです。面白いかは別ですが(別とさせてください)、作品をまとめあげるパワーがビート・シートにはあるのだと、改めて舌を巻きました。

 ちなみに、この日記のタイトルは『ウルトラマン80』第42話「さすが! 観音様は強かった」のパロディです。内容もなかなか飛んでいて、おススメです。

 話が大いに逸れましたが、皆さんも『SAVE THE CAT』と『ビートシート』を活用してみてください。
 もしこれを読んで「今さら何を……」とドヤ顔してるシナリオライターがいたら忠告しておきます。てめえ一度でもビート・シートを使ってから物申してるか!? やれえ! チンピラァ! いいや、もう帰ろう、木村!
 ビートたけしートになったところで、おひらきといたします。