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『小説ですわよ』第1話

あらすじ 「ホラホラホラ、轢くぞ轢くぞ轢くぞ轢くぞ」  ショッキングピンクのハイエースが、逃げる男の背中に激突した。衝撃と鈍い音が腹の底まで響く。 「マジかよ……本当にやりやがった」  水原 舞はそう呟きたかったが、口が開いたまま塞がらず、助手席で全身を固めることしかできなかった。  男は3メートルほど吹っ飛び、地面に倒れ伏したまま動かない。血は出ていないようだ。 「よーし」  轢いた張本人――森川 イチコは運転席のドアを開け、男のもとまで歩み寄っていく。舞も震える手でシー

    • ごあいさつ

      チン年あけましてオメコなめとうございます。 ことシコよろシコオナニーいたします。 2024 1/1 きゅんぽぽ

      • 【日記】イク年くるってる年2023

         ご無沙汰しております。きゅんぽぽでございます。  さきほど、無事に仕事を納めました。  酒を飲みながら、ダラダラと2023年の総括をします。  今年は仕事が決まったのが、とにかく大きかったです。  1年半ほど心身を休められたこと自体は悪くないのですが、休んでいるとストレスの代わりに虚無と焦燥ゲージが溜まっていくのです。すると別の形で精神が病み始めていきます。  何かしなきゃいけないのは理解しているのに、何もしたくない。良くない矛盾が生まれていました。なので心に鞭打って、

        • 【日記】仕事が決まりました

           ご無沙汰しております。きゅんぽぽでございます。  内容はタイトルの通りです。  どんな仕事かは諸事情で伏せます。    ここ1カ月、主に就職支援サービスを利用して就活していました。  ほとんど手あたり次第に応募してみましたが、大半は引っかからず。  前回の日記で「どうにでもなれ」と強気なことを書きましたが、  内心「どうにもならなかったら、どうしよう」と怯えておりました。  このまま自分は何もせず死んでいくのではとさえ思いました。  結果、奇妙なご縁があって、ひとまずお仕

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        『小説ですわよ』第1話

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        • 日記
          30本
        • 小説ですわよ第2部ですわよ
          38本
        • 小説ですわよの番外編ですわよ
          13本
        • 小説ですわよ
          14本

        記事

          【日記】名前を変えました

           この度、私は『きゅんぽぽ』に改名いたしました。  身バレと、不要なトラブルを回避するためです。  名前に意味はありません。バカみたいな響きがいいなと思いました。  現在、仕事探しを進めております。  まだ結果は出ていません。  上手くいかなかったら、まあそのとき考えます。  人生どうにでもなれです。  肩の力を抜いて生きていきたいです。

          【日記】名前を変えました

          【日記】さすが! ブレイク・スナイダー様はすごかった!

           ご無沙汰しております。  最初に言っておくと、現在も無職です。  そろそろ職探しに本腰を入れます。  これについては、ある程度動きがあり次第まとめます。  今年に入ってから断続的に趣味で小説を書いておりました。  文庫本にして約2冊分の分量です。  長編小説を書くのは、仕事はおろか趣味でも初の体験でした。  力量不足を感じながらも、楽しく書けたと思っています。  その執筆活動を、サポートしてくれた本があります。  ブレイク・スナイダー著『SAVE THE CATの法則

          【日記】さすが! ブレイク・スナイダー様はすごかった!

          小説ですわよ第2部ですわよ6(完)

           2023年 3月28日(火) 08:15。  舞とイチコは岸田に見送られ、事務所の2階から外階段を降りる。桜は先週開花したが、まだ春の朝は冷える。手をさすりながら舞はイチコに訊ねた。 「ウィル・スミスのビンタ、見ました?」 「見た見た、すごいねぇ!」  階段を降り切ったところで、イチコがいたずらっぽく笑って振り向く。ふたりがピンキーへ近づくと、舞がキーレスを押さずとも自らの意思でドアが開いた。 「おはようございます。例のビンタの威力は、アントニオ猪木氏のものに匹敵すると推

          小説ですわよ第2部ですわよ6(完)

          小説ですわよ第2部ですわよ5-7

          ※↑の続きです。 「スカラースパーク……! 私たちは、なにをすれば?」 「汝らの心をひとつにし、世界の修復を念じるのだ。あとは我々がやる」  ピンキーとMMがメタンガスを噴射しながら上昇してきて、ぬーぼーと綾子の横に並ぶ。 「我々も心を得た者、手伝います。いいですね、MM?」 「ええ、もちろんです」 「それじゃあ始めるわよ。貴方たち、目を閉じて集中して!」  綾子の言葉に、舞たちは瞼を下ろした。舞は全員が本当に目を閉じているか確かめようと、細目でぬーぼーの内部を見渡す。同じ

          小説ですわよ第2部ですわよ5-7

          小説ですわよ第2部ですわよ5-6

          ※↑の続きです。  マサヨの傷と痣だらけの頬を、涙が伝う。愛助はディスプレイからオイルらしき茶色い液体を流した。  そのとき、舞の視界がホワイトアウトして、石坂浩二のような語り口でマサヨの声が聞こえてくる。 「あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです」 「こ、これは……マサヨさん?」  相撲の精霊が降臨するときと似た感覚。マサヨが得た……得てしまった超常能力によるものである。先行者とぬーぼーを介し、記憶を共有しようとしているのだ。視界一面の白が輝

          小説ですわよ第2部ですわよ5-6

          小説ですわよ第2部ですわよ5-5

          ※↑の続きです。  一段、また一段と降りて近づくたび、舞は黄色い構造物の正体を確信していく。そして階段を降りきり、通路を辿って構造物の正面――これに顔があると舞はすでにわかっていた――へ回りこむ。  豊満な黄色いボディ。点と曲線だけで構成された簡素な目と口。申し訳程度にちょこんと伸びた手足。かつて田代まさしがCMに出演し、現在は製造が中止されたお菓子。その名を冠するマスコットキャラクター。  即ち、ぬーぼー。そう、巨大ぬーぼーが舞たちを見下ろし立っていたのだ。案の定、イチコ

          小説ですわよ第2部ですわよ5-5

          小説ですわよ第2部ですわよ5-4

          ※↑の続きです。  マサヨは左腕を拘束していたケーブルを引きちぎり、その手でブルーの水着を掴み上げる。股間が急激に締めつけられ、ブルーが悲鳴をあげた。 「んひぃぃぃぃぃっ!!」  マサヨはそのままブルーを地面に投げ捨てる。ブルーは内股の女の子座りで着地し、震えながら自分の股間をつんつんし始めた。 「バカ、なにやってんの!?」舞が叫ぶ。 「だ、だって、潰れたかもしれないんだ!」  つんつんする余裕があるのなら潰れてはいないだろう。だがそんなことを心配している場合ではない。マサ

          小説ですわよ第2部ですわよ5-4

          小説ですわよ第2部ですわよ5-3

          ※↑の続きです。 「やってくれたわね。私の美しい屋敷を……」  綾子が怒りに声を震わせて立ち上がる。実際の被害は見るかぎり窓ガラスが割れたくらいだ。が、自宅を襲撃されたことが許せないのだろう。続いてイチコも、焼きそばヘッドにバランスを崩しそうになりながら立つ。 「先行者め、姐さんが胡散臭い占いグッズを売りつけて稼いだ金で建てた汚らわしい屋敷によくも傷をつけたな!」 「おだまり!」  怒っていたのは彼女らだけではない。Jリーグカレーを台無しにされたイエローが水着をちぎれそうな

          小説ですわよ第2部ですわよ5-3

          小説ですわよ第2部ですわよ5-2

          ※↑の続きです。 「そりゃあ、気合いを入れるためだよ。戦装束っていうか。やっぱりヒーローの恰好するとテンションあがるなあ」  イチコはしみじみとうなずいた。本人的には満足しているらしい。 「ヒーローたって、他にあったでしょ。日曜の朝やってるヤツとか、有名な監督がリメイクしたヤツとか」 「うん。リメイクされたよね、シン・ヤキソバン」 「ええ~っ……」 「篠田麻里子の主題歌が心に沁みるんだよ。曲名なんだっけ?」 「『だってマリちゃん寂しかったんだもん』ッス」  レッドが即答する

          小説ですわよ第2部ですわよ5-2

          小説ですわよ第2部ですわよ5-1

          ※↑の続きです。  新年早々、赤と青の無職はなぜこんな犯罪スレスレの水着なのか。レッドはともかくブルーはそんなキャラだったか? そもそも爆破されたと聞いて気が気じゃなかったというのに、ふざけるのも大概にしろ。こっちは異世界に飛ばされて疲れているんだ。舞はそんな気持ちを、一言に込めて叫んだ。 「あんたたち!」  レッドとブルーの肩がしゅんと落ち、目を伏せる。しかし不本意なのか視線を下に向けたまま、小声でブツブツと文句を垂れ始めた。 「なんでオレたち怒られたのかな」 「迎えに来

          小説ですわよ第2部ですわよ5-1

          小説ですわよ第2部ですわよ4-8

          ※↑の続きです。 「先手必勝ォッ!」  舞は腰を沈め、眼前に立つ神沼のひとりに飛びかかる。神沼02本人はすでに死亡し、姿を似せたロボットが影武者として統治していることはモヒカン渡部から聞いていた。10体もいるのには多少面食らったが、攻撃を躊躇するようなことではない。  まっすぐ繰り出した舞の張り手が神沼の顎を捉え、かち上げる。さらに手を滑らせ、指先を神沼の両目にねじ込み、勢いのまま後ろへ押し倒した。生ぬるい感触は、相手がロボットであることを一瞬忘れさせたが、すぐに次の攻撃の

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          ※↑の続きです。  チンタマ上空にうごめく漆黒の門。舞たちはピンキーセプターのドアを開ける。 「チンタマに行きましょう」 「水原さぁん、しかしぃ……!」渡部がモヒカンをプルプル揺らす。 「おそらく神沼重工は、あの門からアヌス01へ転移しようとしています。それを阻止し、私たちだけで帰還します。時間はありません」  渡部の返答を待つ猶予もない。舞はピンキーセプターの運転席に乗り込んだ。渡辺は唸りながらも覚悟を決め、助手席に乗りこむ。と、ひとしくん人形が舞の腕から車外へ飛び下りる

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