見出し画像

アープ ARP “AXXE MK1”

ARP AXXE MK1 (1975)

アープ社のAXXE(アクシー)を語る上で欠かせないのは、少し前の1972年にリリースされたOdyssey(オデッセイ)。このオデッセイというのは、アープ社の作った小型のシンセサイザーで、先立ってリリースされていたモーグ社のMinimoog(ミニムーグ)と並んで普及していた小型タイプのシンセの代表格だ。
比較的に柔らかで厚みのある音立ちのMinimoogに比べて、やや尖ったシャープな音立ちのOdysseyは、リードシンセやタイトなリズムのシンセベースとして多用され、幅広いジャンルのミュージシャンから支持を得ていたのだが、そんな好調だったOdysseyの、さらなる小型化モデルかつ、廉価版として登場したのがこのAxxeなのである。
使い勝手の良さをコンセプトにしたAXXEは、より機能が絞られている。
Odysseyは、2基のオシレーターが搭載されていて、デュオフォニックと呼ばれる2音同時発音なのに対して、AXXEは1基のみで、単音のみの発音しかできないモノフォニックシンセだ。
しかし、そんなシンプルな構造ながらも、使いやすいのはもちろん、幅広い音作りに対応していて、発売当時から好調だったよう。

僕的に感じるAXXEの素晴らしさは、何と言ってもデザイン。
直線的で洗練された印象のOdysseyも魅力的だけど、このAXXE MK1はとくにフラットな黒のフロントパネルのグラフィカルなレイアウトと、木製のサイドパネルのカーブがニクい。(後発のMK2ではOdyssey rev.3を模したデザインに変更されている。)
金属のフレーム、プラスチックのつまみやボタン、木枠、数字やアルファベットの書体。その絶妙なコンビネーションに僕は痺れる。アナログ電子楽器の格好よさは、ほぼこれらのバランスで決まると言っても過言はないと思っている。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?