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コルグ “KORG PS-3200”

KORG PS-3200 (1978)

コルグとローランドは、言わずと知れた世界に誇る日本の2大メーカーで、シンセの代名詞ともなっているが、最初にシンセを作ったのはコルグだ。
しかも、ローランドは、アメリカのモーグ社の技術を採用していたのに対して、コルグは独自での開発だった。
シンセの核となるオシレーター(発振器)もオリジナルで、他社と比べて安定したピッチを実現し、当時としては一歩先を行っていた感がある。そんなコルグは、1977年、国産初のポリフォニック・シンセサイザー PS-3100を発売する。

これは、YMOの最初のアルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』で使われたことで有名なシンセ。1曲目の『コンピューターゲーム“サーカスのテーマ”』は、PS-3100で作ったいかにもな電子音が、まさにシンセ時代の幕開けという感じがする。

PS-3100をベースに、発振器の数を2個増やして、尚かつプログラミング(音色のメモリー機能)を加えたものが この PS-3200 である。
PSシリーズは次の PS-3300 まで計3機種がリリースされたのだが、このシリーズの最大の特徴は、「鍵盤1つごとにそれぞれ発振器が付いていて、全鍵同時発音が可能!」という、それまでにないもの。
この機能によって、オーケストラのような複雑な和音が出せるという、当時としては非常にパワフルなモンスターマシンだったのだ。
ただ、このスペックを実現するには、鍵盤の数だけ回路が必要になるので、本体の重さは、なんと50kg以上。それでも、まるで聳り立つ壁のような巨体のモーグ Ⅲc に比べるとコンパクトで「持ち運べるライブ用ポリ・シンセ」というのが当時の謳い文句だったらしい。

このシリーズは、木枠に埋め込まれた操作パネルと鍵盤のレイアウトが美しく、職人が作った工芸品のようなデザインも秀逸だ。
コンディションがよい個体があれば博物館行き確実のこのシンセ。
ああ一度でいいから触れてみたいナー。



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