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それでも、生きてゆく

海鳴りがきこえる

私が乗る小さな小さな船は
ひとたび嵐が来れば
粉々になってしまいそうなほど、脆い


遠くに灯りのついた島がみえる

何度も何度も

きっとあの先に光があると
私が向かいたいのはあの場所だと

知らせてくれる灯り


でも、漕ぎ出すと強い強い逆流が
あっという間に小舟を攫う

まるでその流れる先こそが
おまえの行くべき道なのだと諭すように

きっとその流れは止まらない
私があの島へ向かうことを、諦めるまで



なぜだろう

ずっと気づいていたはずなのに
認識できない

昔から目指す先は変わっていないのに

こっちなのかも
と思う方へ漕いでいても
ある程度進むまでわからない

そっちが逆流だったこと


出会った数だけ 声がきこえる
どれもほんとで どこか嘘


なんで何年も漕いでいるのにわからないの?
自分を責めてきたけれど

それは私だけのせいじゃ
ないのかもしれないね

巧妙に紛れ込んだ嘘は、正しい
誰かにとっては

だけど


それでもあの島を目指すことをやめられない
きっとずっとやめられない

それが私の命が求めることだから


無数の声から あなたを見つける
いのちすべてで生きてゆく


1週間前、歌ができた。

心の歯車がくるくるくると回りはじめて
遠くからメロディがきこえる。

この流れに身を任せたって
駄作におわるのでは?

何度も襲う「意味ない」って圧力も感じたけど
この日は乗っかることに決めた。


そうして歌ができて数日。

この無敵状態はそう
マリオがスターを取ったときみたい。

私の身体を薄いベールが包み
今ならどんな槍が降ってきても
かすり傷で済むと思えるほどだった。
(当たりはするんや…笑)


私の生み出したものなんてきっと
この世界に住む何十億という人にとって
必要ないものなんだろう。

でも、そんなの本当はどうだっていい。

なにより歌は、私のおまもり


歌が守ってくれている間
ひとりきりだと思っていた海に
いくつかの小舟を見つけた。

そこに乗るみんなは
私がどこへ向かっても「大丈夫だよ」と
笑いかけてくれる。

その力強い笑顔を見るだけで
泣きそうになった。

やっと "認識" できた。


きっとまた何度も逆流に襲われるんだろう。
今も逆流の真っ只中かもしれない。

だから忘れないでいたい。
「やっぱりこっちじゃん」と心が笑う瞬間を。


わたしたちの最大のミッションは
この命をなんとしても生かしきること

そのために私には、私の音が必要だ

いつか一緒にたどりつこう
求めてやまない、あの灯りの向こうへ




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