骨折の記③
026
以前の記事に書いたが、僕は鬱のどん底の時期に歯をかなりぼろぼろにしてしまった。
どのくらいぼろぼろかというと、歯科助手さんに「平林さん、こことここの歯が壊れてるんですよ」と言われる程度にはぼろぼろである。「歯が壊れている」、なかなか素敵な表現で僕は好きだ。
ゆえに、歯医者には毎週通院はしているが、この時期は花粉のせいで副鼻腔炎にもなりやすいし、とにかくあちこち痛いわけである。
そこに新たに加わったのが、2、3週間は持続するという骨折と打撲の痛みである。
性質の異なる複数の痛みを抱えてる人はわかってくれると思うのだが、とにかくどこかが痛く、その時一番痛いところが一番痛い(当たり前だがそうとしか表現できない)のである。
おまけに、利き手がほぼ稼働できないとなっては、これはもう生産性などという次元の話ではなく、QOL(生活の質)が下がることおびただしいわけである。
そも、ストレスを抱えているから鬱になっているのに、そこに更なるストレス源が投下されたので、これはもう問いただすより他にない。
「責任者は誰か!」
僕である。
致し方なく、更なる出費をするしかない。
まずは身体を洗うためにこれを買った。片手でも広範囲が洗えるだろうとの目論見である。
しかしやんぬるかな、この文明の利器(王利器というすごい学者がいたがここでは関係がない)をもってしても、左腕は洗えない。
そう、右手を損傷しても左手で洗えばよいが、左手は洗えないのである。
ナムサン!
他にも、左手だけで食せるものしか摂取できぬ(スプーンやフォーク1本で食えるもの、サンドイッチや寿司など片手づかみで食えるものなど)など、QOLの低下は目を覆う様相を呈している。
リーマンショック!
オラこんな生活嫌だ。館でメイドさんと暮らすだ……。
無論そんなことはできないので、更なる課金である。少しでも回復を早めるべく、カルシウムを大量摂取することにする。
成人男性が1日に必要な量を超え、「妊婦はこのくらい……」と言われるくらいのカルシウムを摂る。
ヨーグルト風のタブレットなので、お菓子を食べていると思えばよろしい。
こうして土日は、痛みと戦いつつお金が出て行くだけの日々であった。
あなたが人の心を持つならば、僕への投げ銭は極楽浄土への一里塚となるであろう。
極度投げ銭(しなさい)。《去来注云:しなくともよい》
そのようにして、月曜日の診察がやってきたのであった。果たして、我が右上腕骨の運命やいかに……?
【続く】
ここから先は
¥ 100
サポートは僕の生存のために使わせていただきます。借金の返済とか……。