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エビデンスなし! 「飲む日焼け止め」にご用心

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 本格的に日差しが強くなり、夏本番といった今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
 僕は数年前にバリ島のリゾートホテルのプライベートビーチで紫外線アレルギーを発症し、それ以来、紫外線対策として日焼け止めを塗りたくって生きております。なお、バリ島初日で発症したので、もっぱら日陰で持って行った本を読んで過ごしました。大枚叩いたのに……。

 さて、僕のようなアレルギー持ちでなくとも、紫外線対策はとても大事です。ファッションとして「日焼けしたくない」という人のためだけのものではなく、シミやソバカスの発生を抑制したり、皮膚ガンリスクを下げるためにも、日焼け止めをはじめとする紫外線対策は重要です。
 しかしながら、「紫外線対策市場」というものはなかなか大きなものですから、怪しげなものも出回っております。その代表として挙げられるのが、「飲む日焼け止め」というフレーズで知られるサプリメント群です。

 実際に飲んではいなくても、「ヘリオケア」とか「ホワイトヴェール」、「ヘリオホワイト」、「ピュアホワイト」といった商品名を聞いたことがある、という人は多いでしょう。
 特に「ヘリオホワイト」はロート製薬から、「ピュアホワイト」は資生堂から出ていますから、日焼け止め効果が本当にあると信じてしまう人もいると思われます。
 しかし、そんなことはありません。詳しく見ていきましょう。

 これらのサプリメントに配合されている成分のうち、日焼け止め効果があるとされるのはニュートロックスサンとフェーンブロックです。「シダ植物から抽出!」などと大仰に謳われていたりしますが、遺憾ながらどちらも有意な効果は認められていません。
 現在、日本で市販されている塗る日焼け止めでは、「SPF」と「PA」という基準を用いてその効果を表記することになっています。お手元にある、塗る日焼け止め(スプレーでも構いません)のパッケージを確認してみましょう。どうでしょうか? 「SPF50+」「PA++++」などといった表記がなされているかと思います。

 「SPF」と「PA」についてごくざっくり説明しますと、前者は「素肌と比べて何倍の紫外線に耐えられるか」、後者は「黒斑が現れるまでの紫外線量」が基準になった数値で、「SPF50+」「PA++++」が最強になります。
 市販されているものは、「SPF30」あたりが下限になります。要するに、そのくらいの数値がないとちゃんとした効果が見込めないわけですね。

 さて、ではニュートロックスサンとフェーンブロックですが、飲み続けることでどのくらいの数値が出るのでしょうか?
 答えは、ニュートロックスサンがSPF1〜1.5程度、フェーンブロックが最大に見積もってもSPF3程度という試験結果が出ています。はい、日焼け止めとしてはほぼ意味がないですね……。

 ちなみに、2014年に米の皮膚科専門医であるHenry W. Limという人が、米国皮膚科学会(ADD)を通じてリリースを出しています。それによると、そもそも「錠剤は皮膚に塗らないためSPFを評価できない」とのことです。
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/243323/

 先述のADDは「飲む日焼け止め」に対して警告を出していますが、現在のところ日本皮膚科学会ではそういったリリースを打っておらず、厚労省や消費者庁もなんら対策を行っていません。
 そのため、誇大な広告も打ち放題ですし、皮膚科(主に美容皮膚科)のクリニックでこれらのサプリメントを販売しているところもあります。もしかしたら、ステマやアフィリエイトで稼いでいる人もいるかもしれませんね。最近ではマツキヨなんかでもロート製薬が大々的に展開しています。

 でも、騙されてはいけません。ここまで述べてきたように、「飲む日焼け止めはエビデンスなし、効果もなし」です。どうか、正しい情報を知って自身やご家族、友人の身を守ってください。
 紫外線対策には「飲む日焼け止め」ではなく、「塗る日焼け止め」を。

 それではみなさま、よい夏をお過ごしください。
 下に貼ってあるのは僕が使っている日焼け止めです。

(これより下に文章はありません)

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