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詩 百色眼鏡 4

思うままに


生きる一歩

きまった季節の
花の香りが心を揺する
毎年のことなのに

なんなんだろう この香りの力は
透明な澄んだ風が運ぶ

何を迷っている
前へ進めと
香りが背中を押す

ふっと 一歩が出る
ほらもっと ほらもっと

せかされるわたしはあせる
あの花の香りのように
年に一度の一歩は
認めてくれないのか

花は同じ香りを発するのに
そして 人々はそれを喜ぶのに

なのに わたしの一歩は だめなのか

生きる花もあれば
枯れる花だってあるじゃないか
でも枯れるのは生きるため
次の準備
今のわたしは枯れているのだ
そうだ 生きるために枯れているのだ
次の準備をしているのだ

花をさがそう
わたしの背中を押してくれた風を友だちに
あの花をさがそう
香りに未来のわたしが見えることを信じて

一歩ずつ さがそう


冬の若葉

日向は暖かい
日陰は冷たい

そんな初冬に芽を出す若葉
緑が透ける
緑がまぶしい
緑に打たれる

日向は暖かい
日陰は冷たい

そんな初冬なのに胸を張る成熟の緑
堂々たる緑
厳しい冷たさを楽しむかのように
緑を深める

季節を楽しむ緑たちがいる


どんぐり

どんぐり どんぐり
木の実だよ

お帽子 お帽子 殻斗さん
お守りだよ

えっ? えっ?
お守り?

大事な 大事な
ごはんを 守ってるよ

ご? ご?
ごはん?

おなかいっぱい おなかいっぱい
ポロン ポロン ポロン

あれ?
はずれちゃった!
にょき にょき にょき
出たぁ つのがひとつ
あれ? ふたつ?
つのじゃないよ
めだよ

め?
目?
芽!
新しい命の根っこと芽!

どんぐり どんぐり
木の実だよ

命だよ

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