朝日新聞とTSMC進出
◉朝日新聞が、台湾TSMC進出で賑わう熊本に対して、何かモゴモゴと言いたそうです。TSMC進出で工場やその関連施設などの建物が建つことで、農地が減ると言いたいのでしょうけれど。典型的な指桑罵槐──桑の木を指差して槐の木を罵る、ですね。本当に罵りたいのは、日本国政府。もしこれが韓国サムスンの工場であったなら、畑が〜とは言わず、日本は韓国に負けたオワコンだと、嬉々として書くでしょうに。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、通潤橋の写真です。
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■過疎地域への藁人形論法■
九州の人口ってどれぐらいだか、皆さん知っていますか? 推計で1254万7404人だそうです。1410万5098人の東京都よりも少ないんですね。面積は、4万2231.48平方キロメートル。同じく東京都が2193.96平方キロメートルですから、東京都の20倍の面積がありながら、人口は150万人以上少ないわけです。福岡市へ行くと、かなり都会の感じがするんですか、そんなもんです。
で、熊本県自体は、人口170万5855人で面積は7409.48平方キロメートル。東京都の3.3倍の面積がありながら 12%の人口しかいない、そんな地域です。しかも、その数少ない人口も、熊本市に73万7944人と、43%が県庁所在地に集中しているという、偏った地域です。はっきり言えば土地はあまりまくっていて、TSMCやいろんな工場がやってきても、全然対応できるのです。朝日新聞は一部の声を取り上げて、藁人形論法を展開しているだけです。
写真も転載。
地元の人間には、すぐバレるような嘘をつく朝日新聞……。まあそういう意見を持つ人は常に一定数いますから、嘘というのは 言い過ぎ かもしれませんが。朝日新聞が意図する方向に、世論を誘導しようとする悪意を疑われても、しょうがないですね。
■熊本県の地形的な特殊性■
ヘッダーに通潤橋の写真を入れたのは、ちゃんと理由があります。熊本県は水前寺公園など、水がとてもきれいな地域なのは事実ですが、同時に山がちで台地も多く、通潤橋のような水道橋を引かないと、農耕ができない土地も、昔から多かったのです。九州の起伏図を見れば分かりますが、熊本県は南部に九州山地がドーン横たわり、それとは別に北部に阿蘇山が存在し、あんがい平地が少ない土地柄ですから。
なので、過疎化で人口も少なくなっていて、農業にあまり使えない土地に工場が進出してくれる分には、願ったり叶ったりなわけです。で、どんな地域であっても 環境の変化に対して文句を言う住民は一定数いますから。朝日新聞の視聴に沿ったことを言ってくれる人間なんて、探せばいくらでもいますから。朝日新聞の購読者を中心に探せば、簡単でしょうね。
九州全体が、そもそも平地が少なくて、でも思ったほど高い山はないんですよね。何しろ九州最高峰が屋久島の宮之浦岳の1936メートルですから。なので人間が住もうと思えば住める大地や高原が多く、熊本県だけでも阿蘇高原・井無田高原・吉無田高原と、高原があり、野菜の生産は盛んで、人工スキー場もあったりします。多少、工場群が増えたとしても、そんな食糧危機になるはずもなく。農業県を舐めるなと言いたいです。
■台湾有事と産業栄枯盛衰■
TSMCの工場進出は、台湾有事と密接な関係があります。台湾有事が実際に起きると、世界の半導体需要に大きな影響を与えます。だから日本だけでなく、アメリカにも工場を作って、リスクヘッジをしているにすぎないんですね。日本は確かに90年代には、石原慎太郎氏が思い上がった勘違いをする程度には、日本の半導体産業は好調でしたが。栄枯盛衰は世の常。これは製糸業や造船などもそうですし。
自動車や半導体も、新興国にキャッチ・アップされるのは世の常。日本だってそうやって、かつてはアメリカの自動車産業を追い込んだのですが。だからと言って、アメリカの自動車産業が滅びたわけでもなく。逆に日本の自動車メーカーはアメリカに工場を作って、むしろ アメリカに利益を還元することによって、貿易摩擦を解消する方向に動きましたよね。半導体産業に関しては、自動車産業と同じことが、起こっているだけです。
反政府が自己目的化した日本の左派系メディアは、とにかく政府や自民党を批判してさえいればいいという、昭和の作法に従っているだけで。過疎地に新しい産業ができることを肯定的に評価すればいいのに、何でも文句を言う。その文句は多くの場合なぜか、ソビエト連邦(ロシア連邦)・中華人民共和国・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国益と、一致することが多いのですが。
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