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エホバの証人で児童虐待?

◉旧統一教会への、解散命令請求による宗教絡みで、マスコミの宗教団体批判が盛んです。これまでは、信者の反撃とかを考えてか、あまり大っぴらな批判はしていなかったのですが。現実問題、公称60万人のはずが、署名で3万人も集まらなかった旧統一教会のように、その実数はかなり減っていますから。そして、旧統一教会よりも問題が指摘される宗教団体は、多数ありますからね。宗教団体の体裁を採っていない、思想団体もありますし。エホバの証人の児童虐待疑惑が、毎日新聞に掲載されていました。

【エホバの証人児童虐待…輸血拒否証81% 弁護団「教団が強制」疑い】毎日新聞

 キリスト教系新宗教「エホバの証人」の2世信者らを支援している弁護団は20日、2世信者らが受けた「輸血拒否の強制」や「むち打ち」などの児童虐待の実態調査結果を公表した。18歳未満から信者として活動した92%がむち打ちを体験し、81%が輸血拒否の意思を示すカードを持っていた。教団は「児童虐待は容認していない」とするが、弁護団は「教義を根拠に虐待を促進・黙認し、組織的関与や強制が強く疑われる」と指摘している。【宮城裕也】

https://mainichi.jp/articles/20231119/k00/00m/040/174000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、

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■ものみの塔聖書冊子協会■

エホバの証人は、うちの田舎のような場所にも布教に来ていますから、けっこう大きな団体。『ものみの塔聖書冊子協会』が正式な名前というか、団体名ですね。信者数は公称で約21万人のようですね。輸血拒否問題で、自分が小学生の頃から話題になっていましたね。聖書のレビ記17章14節の『いかなる生き物の血も、決して食べてはならない。すべての生き物の命は、その血だからである。それを食べる者は断たれる。』を、輸血と解釈しているのですが。当時は輸血という概念がなかったんですけどね。

まぁ、神は全知全能なので、やがては輸血という医療方法が普及すると、見通されていたという考えなのか。なら、マタイ福音書第 26 章 28 節『これは私の契約の血であり、罪の赦しのために多くの人が来ました。』は、どう解釈されてるのか。まあ、聞いてもしょうがないですが。宗教的信念で、自身が死ぬのも、信教の自由ですし。ただ、幼児洗礼と宗教の押しつけの問題は、それこそ遠藤周作にとって大きなテーマであったように、永遠の問題でしょう。在日二世のアイデンティティ問題と、根っこは同じです。

遠藤周作は『沈黙』で、ポルトガル人の若きイエズス会司祭セバスチャン・ロドリゴを日本へ連れてきておきながら、後に裏切るキチジローを、幼児洗礼を受けさせた母親を裏切った、自分自身をモデルにしたと述べていますね。ある種の、母親に対する罪悪感を、遠藤周作は持っているわけで。遠藤周作は優れた文学者ですから、その相反する感情を「同伴者イエス」という考えに昇華し、多くの日本のカトリック信者の反発を当初は受けながらも、高く評価する宗教学者も出たのですが。普通の人は、そうはならないです。

■性被害やハラスメントも■

見逃していましたが、性被害やハラスメント問題についても、朝日新聞が最近報じていました。カトリック系に限らず、どうにもこの手の問題はつきまといますね。1950年から2020年にかけてフランスのカトリック教会は、少なくとも2900~3200人の聖職者が、未成年者に対し性的虐待を行ったと推計されていたり。またアメリカのイリノイ州でも、カトリック教会の聖職者451人が2000人近くの子供に性的虐待とか。公表分派であるモルモン教も、多妻結婚を認めていますし。宗教と性の問題は、長くて根深いです。

【エホバでの性被害159件申告 役職者の加害、性行為の告白強制も】朝日新聞

 キリスト教系新宗教「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」の元2世信者でつくる団体が、教団内での性被害やハラスメントについてアンケートを実施し、結果をとりまとめた。

 役職がある信者から未成年が受けた性被害や、性行為を告白するよう強要されたなど、159件の被害申告が寄せられた。専門家は「実態把握のための第一歩として、大きな社会的意義がある」とする。

 アンケートをしたのはエホバの元2世信者らでつくる「JW児童虐待被害アーカイブ」。結果は7日に関係省庁に説明したという。

https://www.asahi.com/articles/ASRC867CKRC5UTIL015.html

二世信者は、自分自身でその宗教を選んだわけではないですからね。親が選んだから、右も左もわからない幼児の時点で、幼児洗礼を受ける。そうなると、その宗教との関係を絶ち難くなるわけで。子供の頃に親からネグレクトを受けた子どもが、親への庇護の本能と虐待の二重拘束(ダブルバインド)状態への対応から、解離性同一性障害になる率が高いとか。被差別部落や在日外国人の子弟に、親を恨む人間が一定数いるのも、自分で選んだわけでもないのに差別を受けるから、というのはありますね。

■一神教と多神教の対立?■

かのカール・マルクスも、元々はユダヤ教の代々のラビ(宗教法学者や宗教的指導者的な存在。大祭司はレビ族の血統によって世襲)の家系で、ロスチャイルド家の縁戚であり弁護士だった父親がプロテスタントに改宗。現在の電機メーカーであるフィリップス社に連なる富裕な一族ので出会った母親は、改宗を拒み。マルクスと兄弟は彼が6歳の時に改宗し、母親も翌年に改宗していますが。数学者でジャグラーでもあるピーター・フランクルさんが、日本にはユダヤ人差別がないのが良いと語るほどに、欧米のユダヤ人差別は厳しく。

子どもの内に否応なく宗教を親が押し付けるあり方自体が、将来的には問題になるでしょうね。そういう意味では、他の宗教もそうなんですが。ただ、うちは鹿児島では昔から多い浄土真宗(一向宗)の檀家ですが、至って宗教心は薄く。祖父が読経してたぐらいで、そういう宗教性の薄さは、日本人の全般的な傾向です。でも、一神教系の宗教は、内に対しては強い団結力を、外に対しては強い攻撃性を発揮します。これは批判ではなく、事実の指摘。元々、バビロン捕囚で民族消滅の危機に陥ったユダヤ人が、異郷の地でもアイデンティティを失わないように、刷新したので。

もちろん、これは仏教系だろうが神道系だろうが、今後起きうるでしょう。日蓮宗は一神教系だと評されますし、教祖自体が数々の受難にも、自説を曲げなかった人物。江戸時代の不受不施派のような、施さず・受けずの分派もありますし。一向宗だって、昔は戦闘的で攻撃的でしたから。日本は多神教だから肝要だ多様性があると、能天気に言ってる人は、雑な理解だなぁ……としか。一神教と多神教の対立とか、そういう単純な話でもないんですよね。儒教にも仏教にも、ルサンチマンはあるのですから。

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