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選択的夫婦別姓論者の攻撃性

◉この記事を書いたバズフィード籏智広太記者は、丸川珠代大臣の矛盾を追及し、福島瑞穂社民党党首を持ち上げたかったのでしょうけれど。残念ながら、夫婦別姓論者の攻撃性と不寛容、そして真の目的がバレちゃった感じですかね。個人の感想ですが。夫婦別姓が法的に認められたら、次は夫婦同姓論者を攻撃し吊し上げるのは目に見えていますし。それにこれの論法、在日コリアンに多い通名使用についても、ブーメランになりそうです。

【「丸川は旧姓ですよね?」選択的夫婦別姓に反対の丸川大臣、国会追及に語った理由とは】バズフィード

選択的夫婦別姓に反対を呼びかける自民党議員有志の文書に署名していた丸川珠代・男女共同参画担当相。野党からはその資質を問う声もあがり、国会では「自らが旧姓利用をしているなかで反対する理由」を追及された。

通名として、旧姓である丸山珠代を使うのは、別に法律で禁じられていませんから。そして、個人としての生活には問題が無い、つまり現行制度で充分に対応が可能って証明ですね。夫婦別姓論者のいう不便はないわけで。それを制度としての夫婦別姓とゴッチャにして、何をいきりたってるんですか、と。あるいは「男女共同参画には夫婦別姓が必須」とか、飛躍した理論で脳内補完してるのでしょう。

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■可視化された攻撃性■

Twitterで見掛けた意見で、自分の意見に近かったのが、これ。非常に良くまとまっているので、以下に転載させていただきます。福島瑞穂弁護士らが嚆矢の夫婦別姓論ですが、ある時期から〝選択的〟と入れて、夫婦同姓論者の権利や意志を侵害する訳ではありませんよ、と寛容なポーズを取ったのですが。丸山珠代大臣のバッシングで、地金が出ちゃいましたね。嬉しかったんだろうなぁ〜。

そりゃあ、気持ち悪くなりますよ。批判してる立憲民主党の蓮舫議員も、旧姓の謝蓮舫でも帰化後の齊藤蓮舫でも結婚後の村田蓮舫でも離婚後の齊藤蓮舫でもなく、蓮舫と名乗っていますしね。芸名や屋号や通名は同じ扱い。福島瑞穂社民党党首も、ポスターやテレビ出演などでは〝福島みずほ〟とひらがな表記することが多いですね。これもヤクザの渡世名と同じで、一種の議員名。

■姓の歴史と伝統の確認■

例えば日本の底辺右派で「夫婦同姓は日本の昔から伝統」と言う人がいます。歴史上の人物を見ても、鎌倉時代の北条政子も室町時代の日野富子も、既婚者ですが実家の姓のまま。平安時代の光明皇后も、藤三娘という署名が残っており、これは藤原氏の三女という意味ですから、夫婦別姓だったのでしょう。日本の歴史と伝統という意味では、たぶん千数百年の歴史の中で千年以上は夫婦別姓が、少なくとも上流階級の歴史と伝統です。

コレはたぶん、中国や韓国の本貫の制度の影響でしょう。「妻は他人」とか「腹は借り腹」という男系氏族集団の伝統と、家父長制度の影響でしょう。ここ、大事です。ではなぜ日本では同姓になったかと言えば、明治新政府は基本的に武家の風習を民法に採り入れたのです。姓も武家風に夫婦別姓をやろうとした(明治9年3月17日の太政官指令)のですが大衆が反発し、なし崩し的に夫婦同姓になったのです。これを追認したのが、明治31年の旧民法成立です(下記リンク参照)。

そう、夫婦同姓は封建的家父長制の残滓などではなく、明治の世に大衆が御上の意向に反して勝ち取った制度なのです。そりゃあ、明治以降でも100年以上経っていますから、夫婦同姓も立派な伝統ではあります。骨董──アンティークは100年がひとつの目処ですからね。が、比較的新しい文化なのも事実。ンなことを口走って左派から揚げ足を取られるより、「日本人が獲得し積み上げた、大陸とも半島とも異なる独自の文化」と誇れば良いのに。底辺右派の底辺たる由縁。

■危険なブーメラン論法■

現実的には、同姓と別姓・旧姓と新姓の組合せでは、
 ①同姓を名乗りたいし新姓の方が都合が良い
 ②同姓を名乗りたいが旧姓の方が都合が良い←丸川珠代大臣
 ③別姓を名乗りたいが新姓の方が都合が良い
 ④別姓を名乗りたいし旧姓の方が都合が良い←福島瑞穂党首

の4パターンがあるはずですが。

選択的夫婦別姓論者の多くが、④しか見ておらず、今回は②を攻撃することで図らずも、マジョリティである①への攻撃心が可視化されてしまった訳です。猿は木から落ちても猿だが選挙に落ちたらただの人の国会議員は、知名度の高い旧姓を使う立場はあるはずで、そこを執拗に攻撃する野党議員とマスコミは、そこに思いを致せないのか、あるいは気付いてて無視しているのか……。

「男女共同参画なら別姓反対のはずなのに、別姓を名乗るのは矛盾!」とやってるも同然の反応で、サイレントマジョリティ、ドン引きでしょう。法的にも慣習的にも認められている、通名使用の自由や権利すら奪おうとする選択的夫婦別姓論者の、真の目的が「選択的夫婦別姓」ではなく「強制的夫婦別姓」だと。在日コリアンの通名を許すな実名をと叫ぶ底辺ネット民と、本質的な違いがどこにあるんですか?

■選択的夫婦別姓は強制的親子別姓?■

自分の周囲にも、選択的夫婦別姓論者はいます。ただ、ほぼ全員が子供が居ない夫婦なんですよね。故鍋島雅治先生もそうでしたが、自分の子供の姓を夫と妻、どちらにするかという問題への意識が、やはり抜けがちですね。ウチは子供は不要だ他人は知らん、では独善的ですし。例えば自分のクラスメイトに、兄弟で別姓の人間がいましたが。母方の姓を嗣ぐため、弟が祖父母の養子になったんですよね。

でも、小学生にはそんな大人の事情は理解できない。兄弟喧嘩になれば、ついつい年の近い兄弟はそのことを持ち出しからかう。親が叱ろうが殴ろうが、感情的になったガキに、そんな配慮はできないです。弟にはソレが、やはり心の傷になったようですが。ところで福島瑞穂党首のお子さんは、父方と母方どちらの姓を名乗ってるんですかね? 報道がヒットしないのは、実は父方の姓を名乗ってるからかと邪推。

そういう意味では、小倉秀夫弁護士のこの指摘が正鵠。自分も、選択的夫婦別姓なんて中途半端な制度よりも、令和の創氏改名を提案すべきでしょう。それこそ政府としては、税金逃れの懸念がないなら強硬に反対はしませんから、国民総背番号制度と銀行口座の紐付け義務化とセットで、あんがいスンナリいくでしょう。映画『ペンギン夫婦の作りかた』のように、創氏改名は今でもあるのですから。

■別姓論者と死刑廃止論者との類似点■

もちろん、〝創氏改名〟とか〝国民総背番号制度〟とか、大嫌いな人が夫婦別姓論者には多そうなので、猛烈に反対するでしょうけれど。なんでだろー(棒読み)。選択的夫婦別姓ってけっきょくは、女性の父親の姓にこだわってる人が約97%(妻の姓を名乗る男性は約3%なので)って話であって、自分には建設的に思えんのですよ。夫の姓になることには抵抗があるのに、父親の姓に執着するってのは、変じゃないですか? もろ家父長制の影響。

名前を変えることで起きる、手続き上の面倒臭さは、国民総背番号制度とセットで個別に潰せば良いはずでは? 制度全体を変えないといけない理由が、見えづらいです。けっきょく、この議論が起きたときに保守派の宮崎哲弥氏や八木秀次氏の反論本で言われたことと、ほとんど論点は変わっていなくて。単純に、政府の権力を削りたい、死刑廃止論と構造は同じではないでしょうかね?

ここら辺は、死刑廃止論者が「減刑なしの終身刑の設立とセットで死刑廃止のステップを踏めば?」という中立的な立場からの提案に、「現行制度で対応可能」の一点張りで、押し切ろうとする点では、夫婦別姓議論とは逆ですね。興味深いです。たぶん、創氏改名と国民総背番号制度と口座紐付け義務化に対しても、選択的夫婦別姓だけが選択肢と、言い張るでしょうけれど。

■中国や韓国から考える夫婦別姓事情■

追記として。例えば、中国や北朝鮮や韓国には前述のように本貫という制度……というか文化があります。本来は氏族集団の発祥の地の意味でしたが、今はもっと多岐な意味もあります。日本ではイトコ同士の結婚が法律では認められていますし、これは欧州の国の多くもそうです。でも、中国や北朝鮮や韓国では従兄弟はもちろん、もっと遠い等親でも同じ本貫の人間は、恋愛対象になりません。同じ本貫は、兄妹・姉弟と同じ存在と認識されるのです。

中国や韓国に、同じ本貫ゆえに引き裂かれた合いをテーマにした文学や講談があるのかは、寡聞にして知りませんが。こういう強烈な文化タブーがあると、妻は家族ではないという意識が生まれますね。韓国映画を観ていると、嫁イジメの描写に出会います。日本でもリメイクされた傑作映画『サニー 永遠の仲間たち』でも、姑にいびられるかつての仲間が登場しますし。そもそも、主人公がかつての仲間を探す展開で、夫が長期の出張に出掛けます。

日本人にはピンときませんが、そういうエクスキューズを入れないと、韓国では専業主婦が自由に時間を使うことができない、ということが間接的にわかります。つまり、日本とは比べものにならないぐらい、家父長制度による妻──家制度的には嫁──の立場が弱く、忍従を強いられるわけです。日本では癇癪や逆ギレのように誤解されてる火病も、実際は忍従を強いられることから、嫁が発症する文化結合症候群です。

■風車を怪物と錯覚しないための処方■

夫婦同姓は封建的家父長制の残滓という主張を、Twitterで見掛けましたが。それなら夫婦別姓の中国や北朝鮮や韓国では、家父長制がより解体されてるはずです。でも、現実には現代韓国映画には、普通に家父長制の強い圧迫が描かれている。先の映画サニーの例で言えば、日本はそれぐらいで文句を言う男性は少ないでしょうし、なんなら妻といっしょに探す手伝いをする人も一定数いるでしょう。主人公の夫は優しそうで、横暴な人物には描かれていないのに、それが韓国での標準的な文化。

韓国では大学進学率が、OECD加盟国34カ国ではトップで、しかも大学進学率は男性68%に対し女性75%と、女性が上です。男尊女卑と批判される九州の女性の大学進学率の低さとは倍近い開きです。ところが下記リンク日本女子大学の論文『なぜ韓国女性の労働力率は低い水準なのか』によれば、労働力率はOECD加盟国平均の62.3%より低い55.2%です。大卒以上の高学歴になると、OECD加盟国平均82.6%と比較して最下位の60%水準です。トップの進学率と最下位の女性労働力率が並存してる。

韓国出羽守は、表層的な数字を切り取って、日本非難の材料にします。が、実際は育児や家庭のことは女性がするモノという儒教的、封建的価値観によって、高学歴女性が就職差別され、専業主婦化が促されているわけです。その是非はここでは論じませんが、少なくとも同性か別姓かは、男女平等とはたいして関係が無い、別姓論者による言い掛かりに近いのでは……という推論が成り立ちます。問題でないことを問題と騒ぐ、これって男女平等推進を、かえって阻害しませんか?

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