見出し画像

Google対DeepL、翻訳の未来

◉翻訳といえば、自分は今までもっぱら Google 翻訳に頼っていたのですが、最近はDeeplの翻訳に頼ることが多いです。対応してる言語は、Google 翻訳の方が圧倒的に多いのですが、Deeplのほうが自然な翻訳になっていることが、これまた圧倒的に多いので。この高い翻訳能力は、もうほとんど、ドラえもんのひみつ道具『ほんやくコンニャク』と同じレベルではないでしょうか。

【2022年、どこまで進む翻訳技術。グーグル翻訳超え「DeepL」の進化】Forbes

グーグル、アマゾンら超強豪おさえ……
DeepLのリリース当初、言語業界からの同ツールの品質に関する反応は慎重なものだったが、今やその性能に疑義を唱える者はいない。
同社が行ったテストで、プロの翻訳者を対象としたDeepL、グーグル、マイクロソフト、アマゾン各社を比較したブラインドテストでは、翻訳者たちは他サービスよりもDeepL翻訳を評価する傾向が非常に強いという結果が出た。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、タイプライターのイラストです。パソコンやのキーボードや音声入力の時代でも、タイプライターって文字を打つというアイコンになっていますね。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

■翻訳に名文は不要■

翻訳というのは、これが小説とかだと翻訳者のセンスとか、問われますからね。例えば「I made it!」を「私はそれを達成しました」とか「私はそれを成し遂げました」ではなく、「やったね!」と翻訳するようなセンスって、ある意味で翻訳者の作家性とも繋がってくるところがあります。でも実際は、多くの文章においては正確性がある程度あれば、そういう味わいの部分って、そこまで重要ではないんですよね。

Googleなどネットの検索によって、情報が簡単に手に入る時代。そういう場合の情報というのは多くが事実関係の内容で、小説であったり詩文であったりとか、そういう文芸はほとんどありませんからね。情報がある程度正確に取れればいいのであって、名文は必要ない。日本の新聞記者とか、ここら辺を履き違えて、文学青年崩れのような情緒的な文章を、名文ともてはやすことが多いですが。ああいうのは情報と感情をごっちゃにしている、悪しき例でしょう。

■情報と感情を峻別する■

これは文章を書くときの、かなり重要なポイントでもあるんですが。その文章で読者に〝情報〟を伝えたいのか、それとも〝感情〟を伝えたいのか、そこを分けて書くことを意識するだけで、実は文章というのは格段にレベルがアップします。そして、そういう部分の意識が高まっていくと、実は文章においては90%ぐらいが情報を精確(正確ではない)に伝えることの方が重要で、感情を伝えるのは10%から多くて30%ぐらいだと、気づくでしょう。

感情の表現は、読者の情緒・感性・内面に訴えるものですから。やはりそこは情報の正確性とは異なる、いわゆる〝刺さる〟文章が必要になってきます。そしてこの、刺さる文章というのはとても印象に残るため、ついついそこの分量を増やしてしまいがちになってしまうのですが。音楽においても、いわゆるサビと呼ばれる耳に残るメロディーは重要ですが、サビって実は全体の25〜30%ぐらいで、実際はそれ以下になることも多いです。

■詩文と散文の違いと天才■

文章修行というのは実は、この正確な文章をどれぐらいちゃんと書けるかの方が大事なんですよね。地味で、あまり目立ちませんし、心にも残りませんが。情報を伝える文章は散文的であり、感情を伝える文章は詩文的です。しかし、詩というのはセンスだと自分は思います。サヴァン症候群の天才達って、音楽や数学や絵画や彫刻などに、素晴らしい才能を発揮するのですが。その中に詩も含まれているんですよね。

ところが、サヴァン症候群の天才には、小説家や脚本家や漫画家はいません。どうやらこれらは、天才的なセンスとは別の、もうちょっと地味な努力の積み重ねによって見つける技術やノウハウが必要のようです。実はその視点から考えると、翻訳された文章というのはとても、情報を伝えるという部分を考えるヒントになります。夏目漱石は英語が、森鴎外はドイツ語が、二葉亭四迷はフランス語が堪能であったというのは、とても重要なポイントだと思います。

■研究者と表現者の交点■

この人たちはもともと、文学を志していたわけではないんですよね。ところが語学に堪能であったため、元々持っていた日本語のセンスに、語学による文章の客観視、日本語のニュアンスが伝わりやすい表現と伝わりづらい表現を、考えざるを得なかったのでしょうね。ここら辺は、フランス文学者であった丸山圭三郎先生が、フェルディナンド・ソシュールの論文を翻訳する内に、構造主義の研究者になったルートとは逆ですが、通底します。

自分は、英語が苦手すぎて2浪もしちゃった人間ですが。それでも語学は、重要だと思います。そして自分は、漢文はかなり得意と言う面もあります。大学では、第二外国語で中国語も選択しましたから。なので、文章を多言語にいったん翻訳するというのは、実は言葉を考える上でとてもプラスになると思っています。文章を英語と漢文・中国語から考察する。DeeplとGoogleが、翻訳精度を競う中で、よりノウハウが蓄積されることが、文章力アップに貢献するだろうなと思っています。

■再翻訳の効能とは■

Deeplの無料版の方は、英語やフランス語、ドイツ語にスペイン語中国語などなど、主要な言語は一通り網羅しているのですが。中国語は中華人民共和国で採用されている簡体文で、台湾の繁体文ではないので、そこが惜しいですね。自分はきちんとした企画や商業用の文章など一度、Google翻訳に通し、その文章が精確性において過不足ないか、チェックするのに使っていました。

いったん英訳された文章を、さらにもう一度日本語に翻訳し直してみるというのも、有効な方法だと思います。再翻訳された日本語がおかしかったら、それは元の日本語に誤解させる余地があったということですからね。個人的には、Googleの音声入力がとても素晴らしいので。Deeplに危機感を持った Google が、更なる翻訳精度アップ研究に邁進してくれれば、喋った言葉をリアルタイムで翻訳する未来ももうちょっとだと期待しています。

ほんやくコンニャクは、数年以内に実現できるかもしれません。藤子不二雄先生の予想とは、だいぶ違う形ですが。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ