見出し画像

近畿大学が霜降り豚を開発

◉近畿大学が、またユニークな研究をしていますね。近年は近畿大学水産研究所の頑張りで、水産関係の研究が盛んで、マグロの養殖の成功から始まって、近大キャビアの販売やトラフグの養殖研究、ウナギの完全養殖など、話題になる研究が続いています。さらに、霜降り豚ですか。霜降りの牛肉は、確かに美味しいですね。かのコービー・ブライアント選手の名前の由来にもなったほど。豚も、充分に柔らかいのですが、霜降りとはどれほど柔らかくなることか。料理も、それを前提とした技術が求められそうです。

【普通の豚が霜降りに!? 近大などのチーム開発 配合飼料を工夫、肉質改善】毎日新聞

 「霜降り」といえば、高級和牛を連想する人が多いだろう。だが、その常識が変わろうとしている。国内で広く肥育されている普通の豚でも餌を工夫することで効果的に霜降りにすることが可能になった。実証試験も本格化しており、国産豚肉が新たな日本の特産品として注目される未来も遠くなさそうだ。

 開発したのは、近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)の白木琢磨准教授らでつくるチーム。今後2年間で計約5000頭の飼育が始まる見通しだ。

https://mainichi.jp/articles/20230902/ddm/008/020/138000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉


■西牛東豚?■

ただこの研究は、ちょっと意外ですね。関西といえば近江牛に但馬牛、松阪牛などなど牛肉文化圏で、町の洋食屋でもただカレーと書いていたらビーフカレーで、ポークカレーはわざわざ別途、そう書きますから。そもそも西日本自体が、豚肉の消費量が低いんですよね。こちらのデータを見ると、岡山と広島と奈良が全国平均ぐらいで、九州では比較的豚肉が好きなイメージがあり、家庭養豚も盛んだった鹿児島でも、平均以下の消費量ですね。四国がこんなに豚肉を食わないイメージがなかったので、自分には驚きです。確かに、カツオとか鶏肉が名物ですが。


1世帯あたり豚肉消費量の全国平均は19,564gで牛肉消費量6,567gの約3倍。毎月1630gの豚肉を食べている計算になる。豚肉消費量が最も多いのは北海道で23,171g。2位以下は青森県、新潟県、静岡県、神奈川県と東日本が上位を占めている。

興味深いのは、それでも日本全体では牛肉よりも消費量自体は遥かに多く、3倍も消費されているんですね。北海道=酪農=牛のイメージがあり、ちょっと意外な印象です。どれだけ大量に豚肉を消費してるのか。ちょっと想像がつきません。なるほど、この研究自体は日本人全体には朗報というか、面白い研究として、全国でも利用されそうですね。豚=安価な肉という印象ですが、それはそれとして。高級ブランドとして、こういう選択肢は必要かと。安価でヘルシーということでは、鶏肉がありますしね。その鶏肉には比内地鶏や地頭鶏など、高級ブランドがあるのですから。

■養豚の歴史■

自分は、豚肉はかなり好きですね。牛肉って、匂いを嫌う人がいるように、実は癖があるんですよね。かの美味しんぼの中でも、山岡士郎が子供の頃、牛肉が苦手であったように。たぶん、ラーメンの灌水の匂いも嫌いな雁屋哲先生自信の、投影なんでしょうけれども。大学時代の減量経験もあって、今は鶏肉を属することが多いですが、豚肉の生姜焼きとか今でも大好きですし。ヘルシー志向に乗って、豚肉は脂肪分が多いと忌避される傾向がありますが、かえってこういうブランド化も、ありではないでしょうか? 旨いというのは脂のことと、古代中国人も漢字に込めていますし。

豚肉は、中国人が大好きですからね。江戸時代の日本ではあまり普及しなかった豚肉が、沖縄で発展したのは、明王朝や清王朝の歴代王朝の使節団を、もてなすため。やはり、昔から豚肉なんですよね。この流れで、鹿児島でも豚肉の料理とかが伝播しています。西郷南洲翁は、豚肉を黒砂糖で似たものが好きだったそうですが。薩摩黒豚は約400年前、島津家久公がに琉球から移入したのがルーツ。逆に言えば、琉球王朝はそれ以前から、飼育が盛んだった訳で。

そして明治維新以降、大久保利通公が畜産に力を入れます。欧米を視察して、盛んな畜産に気づいたんでしょうね。明治5年には現在の新宿御苑に明治新政府の観察寮出張所が設置され、畜産の研究と育成が始められます。この結果、東日本に豚肉が広がって、上記のような西の牛肉東の豚肉という、偏りが生まれた面も。養豚は比較的楽で、家庭養豚もできますし。しかも多産系で一回の出産で10頭前後の子豚を出産しますが、牛は一回に一頭の出産が基本ですからね。しかも、豚は妊娠期間が4ヶ月弱のため、離乳期間を考えても、年に2回の出産が可能です。そりゃあ普及するわけです。

■頑張れ近大■

近畿大学。アメリカ人が初めて聞くとKinky大学に聞こえて、ギョッとするとか。これは、近畿日本ツーリストも農協の海外旅行ツアーが盛んだった昔、ツアー客にKinki Nippon Touristと大きく書いた紙袋を客に配っていたら笑いものになり、KNTの略称を使うようになったとか。近畿大学も対外的には、Kindai Universityと表示しているようですね。近大大っておかしくないですか? まぁ、田中圭一先生の母校ですから、変態大学と思われても、仕方がないですね(オイオイ)。

しかし、近畿大学と言えば、ある世代までは大相撲の朝潮が近畿大学相撲部出身ということで有名でした。自分の周辺では薬学部出身の人が何人か居て。やはり、薬学部が強い大学という印象です。ロート製薬や田辺製薬、塩野義製薬、小林製薬などなど、関西発祥の製薬会社が多いですからね。金鳥の名前で知られる大日本除虫菊も、関西発祥。昔は、原子力関係も強かったそうですが。でも、医学部や薬学部や法学部など、王道の学部で売ることには、成功とは言えなかったような。

それは、多くの学部学科を抱える総合大学の東の雄である、日本大学もそうですね。けっきょく、日大も芸術学部や航空宇宙工学科に、差別化のヒントがあったように。九州だと福岡大学、中部だと金城大学や愛知学院大学が、私大の総合大学の位置づけなんですが、ここらへんは参考になるんじゃないでしょうかね? 近畿大学は、水産畜産関係の研究なら私学トップ、みたいなブランド化で関関同立に迫るポジションを、構築できるんじゃないでしょうかね。ウナギの完全養殖とか、日本の国益にも直結しますし、期待しています。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ