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羽田日航機炎上事故の教訓

◉羽田空港で起きた、日航機のJAL516便と海上保安庁の航空機との衝突事故で、機体が炎上したにも関わらず、乗客が全員脱出できた件で、世界的にもかなりの話題になっているようです。実際、黒焦げになったエアバスの機体を見ると、まさに奇跡的な脱出劇で、誘導した同機の乗務員のみなさんと、乗客の適切な行動が生んだ奇跡で、事故が起こりうる国では、参考にすべく報道するのは当然ですし、評価するのも当然ですね。ところが、この事故で日本のマスコミは、犯人探しに躍起になっています。

【「奇跡だ、助からないと思った」 日航機炎上事故で乗客らが見たもの】BBC

乗客乗員379人を乗せた日本航空516便が2日、着陸した羽田空港で海上保安庁の航空機と衝突した時、最初に襲ってきたのは衝撃だった。

炎に包まれながら滑走路を走るJAL便内には、煙と熱が立ち込めた。

そして生存本能が働き始め、人々は煙が充満し機体から逃げようと奔走した。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67869818

ヘッダーはネットで検索して出てきた画像より、たぶんスポニチなどの写真ですね。

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■ギリギリの避難劇■

状況を見ると、本当にギリギリの脱出劇であったことがわかります。運航乗務員が逃げ遅れた乗客の確認のため、キャビン後方まで移動したところ乗客を発見というのも、本当にギリギリだったんだなぁと。この方が、なぜ動けなかったかは解りませんが。炎がどんどん燃え広がる中、運航乗務員は最後の最後まで、ベストを尽くしたわけで。そりゃあ、世界各国が称賛するのは当然です。自分も、爆発の動画をX(旧Twitter)で見て、これは大変なことになったと、仰天したぐらいですから。

【JAL516便、「接地後に突然の衝撃があった」。18分間の脱出の詳細を公開】トラベルWatch

 JALは、1月2日に羽田空港で発生したJL516便と海上保安庁機の衝突事故について、会見を行なった。説明したのは常務執行役員の堤正行氏と青木紀将氏。
(中略)
 このとき、すでにL1ドア、R1ドアからの乗客の脱出が始まっており、運航乗務員が逃げ遅れの確認でキャビン後方まで移動したところ乗客を発見。最終的に逃げ遅れのないことを確認してL4ドアから脱出したという。全員の脱出完了は、着陸から18分後の18時05分だった。
(中略)
 また、客室乗務員の指示、乗客の協力もあり、「脱出時に手荷物を持たないことが徹底された」ことが乗客乗員全員の速やかな脱出につながったと説明している。

https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1558767.html

映画だったら、『エイリアン』で一度は脱出しようとしたリプリーがもう一度、宇宙船内に戻るようなもので。着陸から18分でこの難しいミッションを成し遂げたのは、世界の航空関係者に貴重な戦訓とデータをもたらしたわけで。そりゃあ、今後このような事故が起きたときに、知識がちょっとでもあるのとないのでは、全然違いますから。報道することで、国民への周知にもなるので、取り上げるのは当然です。前輪が折れて、機内はだいぶ傾斜が付いていたでしょうから、本当に貴重な事例です。

■海外の的確な分析■

そして、今愛の件で重要なのは、乗客が荷物を持たずに脱出したことでしょう。これは、今後の事故の乗客避難において、決定的に重要な戦訓になるでしょう。その点について、日本のマスコミはろくに報じていませんが、犯人探しとかやってるなら、そこを報じろよと。文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』のコメンテーターとして活躍される、イタリア在住のヴィズマーラ恵子さんが、とても貴重な情報を翻訳されていました。資料的な価値も高いので、全文を転載させていただきますね。

海外メディア、英国BBC記事、イタリアCorriereも、JALエアバスA350の乗客乗員379人全員が機体から脱出し無事だったことは”奇跡だ”と専門家らが称賛している。記事意訳
『あらゆる種類の緊急事態に対処するために日々訓練を受けている客室乗務員の行動と一部取り乱して興奮している人がいた機内の様子を録画したビデオから相互参照すると、「落ち着いて下さい」「荷物を持って行かないでください」「立ち上がらないでください」という声が聞こえる。避難アナウンスは通信システムが故障しているため、客室乗務員はメガホンを使い、大声で呼びかけなければいけなかったが、乗客はCAの指示に従って迅速な行動を取り、ほぼ全員が国際規則で義務付けられている通り、手荷物を持たずに秩序正しく行われ、地上につくと自撮りや携帯で撮影するために立ち止まることなく迅速に立ち去った。飛行機内での緊急事態には90秒ルールが適用され、1分半以内に航空機から離れなければいけないが、それは容易ではない。
米国の交通事故を調査する国家運輸安全委員会(NTSB)が実施した、46の(実際の)避難手順に関する有名な2000年の研究では、乗客のほぼ50%が緊急時に手荷物を持って飛行機から降りようとしたことが判明した。客室乗務員の3人中2人は、手荷物を放棄することの指示に従ってもらうことに時間が割かれ、重大な障害だったと回答した。 2016年にドバイで火災が発生したエミレーツ航空ボーイング 777-300 の乗務員も、この日本の全員無事がどれほど奇跡的なことかが分かると言う。エミレーツの火災事故飛行機は77%の乗客率であっても、旅行者は出発するまでに6分40 秒かかった。緊急脱出スライド(膨張式滑り台)の空気が抜けたりするのを避けるために鋭利なハイヒールなどを脱ぐように指示するが、脱がない人がいたり、半分の乗客が手荷物を放棄することを嫌がり指示に従わなかった。』と、JALの乗員乗客が全員無事脱出の奇跡は、客室乗務員の適切な判断と行動と厳密な要求に乗客が従った日本人の勤勉さにも触れている。
https://corriere.it/economia/finanza/24_gennaio_03/aereo-fiamme-fuga-miracolosa-ecco-come-si-sono-salvati-passeggeri-dell-airbus-a350-40ca5b76-aa4c-11ee-991a-ef8ea56ac168.shtml

https://x.com/vismoglie/status/1742688854383960324?s=20

手荷物を持って出ようとすると、結果的にそれが生死を分ける、という貴重な戦訓になったのは、大きいです。今後は例えその手荷物が、ストラスヴァリウスであっても、手荷物は諦めるべきですし。逆に、こういう火災を想定して、高額な楽器や美術品には特殊な耐熱ケースとかが、特注で必要になるかもです。ストラスヴァリウスとか、普通に1億円からオークションスタートの、明記の代名詞。1000万円ぐらいの特注耐熱ケースなら、安いもんでしょう。

しかしハッキリ言って、海外のマスコミの情報でも、デジタルの時代は自動翻訳でかなり正確な翻訳が可能ですし、こうやって海外在住の日本人が、細かいニュアンスまで訳して、情報を共有してくれます。それどころか、冒頭の記事のように、海外のメディアの日本語版が、普通に読めます。朝日新聞のような見出し詐欺的な記事は、いずれ淘汰されてしまいます。だって、記事の質があまりにも違いますから。無料記事ででさえ、朝日新聞との差は明らかです。

■車椅子と事前申告■

さて今回のJAL516便ですが、乗客の中には車椅子の方も、2人いたとのこと。前輪が折れた状態の機体の中、どうやって脱出されたのか、これまた今後の事故の対処として、貴重な情報になるでしょう。同時に思い出したのが、2017年のバニラ・エアでの問題でした。当時は議論がいろいろ出ましたし、擁護論もけっこうありましたが、今となっては2021年4月1日に起きた、伊是名夏子社民党常任幹事が大炎上した、差別の当たり屋を疑われた案件の、先駆的な事件に過ぎなかったな……という感想です。

【障害者の同行者の視点から、バニラ・エアとK氏とバリアフリーの雑感】はてなブログ

バニラ・エアとK氏が炎上している件。
障害者と同行経験のある者として、意見を書いておきます。
参考になればと思います。

https://anond.hatelabo.jp/20170630101133

ああいう、差別の当たり屋行為は、2014年暮れに発覚した大学院生リンチ事件以降、表現を燃やす放火魔の問題点が指摘されだして、ずいぶん可視化されましたが。2022年の暇空茜氏と一般社団法人Colaboのバトルが勃発し、バラバラに見えたその手の活動が、恐るべき横のつながりを持っていたことが、可視化されました。新聞・テレビ・ラジオ・雑誌の旧メディアが、2024年は一気に凋落するのではないかと、自分は思っています。大学院生リンチ事件から10年、区切りの年でもあります。

車椅子の方は事前に申請する、これは何も身障者差別ではなく、命を守るために必要なことであったと。また今回、貨物室にペットを預けていた方がいたそうです。当然のことながら、助かりませんでした。それでまた、お気持ち至上主義者がギャーギャー騒いでいますが、当人ではなく外野が騒いでるのがまた、なんとも。ペットを家族と言うなら、その家族を旅客機に乗せる場合は、そういうリスクも有るということが、可視化されたと思います。人名優先というのは、そういう部分も含むので。

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