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M-1グランプリ2023 感想乱れ打ち

さて今年も笑わせてもらいました、M-1グランプリ。いろいろ凄い大会だった。毎回この時期になると3回戦のネタがこれでしたとか、注目漫才師のネタがこれだとか上がってくるのだが、そういうのは全然見ない。数が多すぎて追い切れないというのもあるが、何よりM-1本編を新鮮に見たいという気持ちが強い。
皆目見当違いの部分もあるかもしれないが、感想含めて書いていく。

1st


1番手 令和ロマン 648点(1st3位) 個人的採点93点
バラエティ企画では何度か見ていたが、漫才は初めて見た。不利だと言われるトップバッターながら、一気に場を沸かした。「転校生と朝ぶつかる設定の謎」という、気づいてなかった部分を気づかせる斬新な設定が心をつかんでいたように思う。というか単純に全然緊張が見えなかったしハートがめちゃくちゃ強いなぁという感想。にしてもあっという間に情報が出るもんで、「令和ロマン」という名前に改名する前は「魔人武骨」だったらしい。まあ改名して正解か?別に面白けりゃ結局売れるかもだけど。


2番手 シシガシラ  627点(9位)個人的採点86点
敗者復活枠。どうでもいいが誤変換で歯医者復活と出てきてなんかこわかった。治療した後も歯を削ってきそうな雰囲気がある。それはともかく若いのに見事なハゲで、ハゲにおけるコンプライアンスの隙間問題を突くネタであった。激戦の敗者復活を勝ち抜いたわりに微妙なウケ方だな、と思ったが敗者復活とは違うネタらしい。十数本ぜんぶハゲネタだと言っていたがハゲだけでそのバリエーションというのもすごい。

3番手 さや香   659点(1st1位) 個人的採点93点
「ホームステイの外国人が来る前に黙って引っ越す」というサイコパス的なネタ。前回の免許返納といい、石井のほうが「平気な顔しておかしい主張をする」というネタが基本形なのか?熱くツッコミ続ける熱量がそのまま笑いに繋がった形で爆発。98点も飛び出すなど高得点で見事1位通過となった。あと留学生の名前「エンゾ」がにわかに流行った。

4番手 カベポスター 635点(6位) 個人的採点90点
個人的に事前のキャンペーンで1位予想をしていたコンビということで期待していた。事前の設定説明が結構長めのネタで、相変わらず伏線回収力が見事だったが、やはりストロークの長さがあだとなったかそこまで得点伸びず。「6分とか8分ならもっと面白い」と審査時に言われていて、確かに4分では短いと思った。でも「ずっゼリ」など残るワードを入れるあたりやっぱ上手いし好き。


5番手 マユリカ 645点(4位) 個人的採点94点
倦怠期の夫婦の会話から広げる漫才で、設定やワードの強さでしっかり笑いを取っていた。「ずっとキモダチ」というキャッチコピーを勝手につけられてたがキモキャラ漫才ではまったくなく、普通にネタが面白かった。あと、あっさりになりがちなオチでも爆笑をさらっていたのが見事。すでにだいぶ売れていると思うので、そこに実力もあるぞという評価が加わって非常に良かったのでは。

6番手 ヤーレンズ 656点(1st2位) 個人的採点96点
クセの強い大家のおばさんとのやりとり。いわゆるキャラで通す「変な奴漫才」ではあるのだが、細かいネタがいちいち抜群に面白かった。「北京原人のDVD」「セクシーダイナマイトボートレース」「しゃがんで立つ!」などにいちいちウケてしまった。ボケの楢原の、幕間でもキャラを崩さない姿勢もすばらしい。こりゃあ売れるぞ!ケイダッシュステージ!

7番手 真空ジェシカ 643点(5位) 個人的採点92点
「映画館=A画館」という言葉遊びから「B画館」「C画館」と展開させていき、変な奴がどんどん出てくる漫才。「映画泥棒が勝った!」「新海嘘」など発想とワードがやっぱり強い。ただボケの乱れ打ちというスタイルが、ヤーレンズの後でちょっとマイナスに働いてしまったかもしれない。でもこのコンビはツッコミの存在感がちゃんとあるのがいいなあ。

8番手 ダンビラムーチョ 631点(8位) 個人的採点89点
人間カラオケで、片方がひたすら伴奏を口で言う、というスタイル。最初の天体観測パートが長すぎて、ちょっと「このまま行って大丈夫か!?」という気分になってしまったが、その後のパターンも豊富で面白かった。しかしこんなにいろんなパターン持ってるならなおさら最初のパート短くてもいけるのでは…と思ってしまった。

9番手 くらげ 620点(10位) 個人的採点85点
「思い出せないものを羅列していく」という、ある種システム漫才。ミルクボーイを思い出してしまうがそれより弱いという意味で低めの評価となってしまった。営業に応用しやすそうだし発明だとは思うんだけど、「単語の持つおかしみ」に全BETするのって結構コワイ。逆に1発目でめちゃくちゃ受けてればどんどん増幅されそうだけど。あとこの手のネタって片方(今回は「違う」と言い続けるほう)がラクしてるような印象で損しがち。

10番手 モグライダー 632点(7位) 個人的採点91点
にしきのあきらの歌から展開するネタ。「歌詞の余白を勝手に考える」というのがモグライダーの基本形なんだなぁと改めて思った。ともしげのあたふた感が計算なのか天然なのかが毎回わからない。そんなに点数伸びなかったが面白かった。ただ、今の若い世代はそもそもこの歌知らないだろ?とは思う。

決勝


●令和ロマン 優勝
架空のドラマを勝手に演じるボケの時点でかなり笑いが取れていて「2本目のほうが強いなんてすげえ」と感じた。何より吉本興業の社員ネタが司会者と一部の審査員にぶっ刺さったのではないかと思う。そう思って見てみると吉本系の審査員(博多大吉・中川家礼二・松本人志)が全員令和ロマンに投票している。いや別に忖度とかでなく、単に刺さったということね。個人的には拍手の波が広がらないところに一番ウケた。

●ヤーレンズ 準優勝
元駐車場のラーメン屋という設定を、変な店主で活かしきった漫才。以前コントで見たことあるネタだったが、漫才でも全然遜色がない。途中「ベンジャミンバトン」ネタが出た時には「この映画はメインの題材にできるほどメジャーか?」とは思ったが、関係ないくらいボケの連発で笑いを取った。令和ロマンとどちらが優勝してもおかしくないな、と思ったが、個人的にはツッコミが上手に途中乗ってくるのが好みなのでヤーレンズ推しではあった。まあでも充分売れると思う。幕間のコメントがおもろすぎる。

●さや香 3位
「見せ算」という、謎の計算方式をインチキ臭いセミナーの体裁で説明する漫才。よどみなくスラッスラしゃべるし完成度は高いのだがいかんせん変化球過ぎた。でもこの1本を決勝でやりたくて頑張ってたらしいから本人としては満足なのかもしれない。個人的にはこのネタだと石井のほうがほとんど不要(戸惑って止めようとするだけ)になってしまうのが残念だなぁと思った。

ということで結構長くなってしまった。審査員についてはまた別に書きたい。

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