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我が家のモダンポップ/アートスクールロック棚から色々考える

たまには家のレコ棚について。

モンドミュージック2001でムーンライダーズの鈴木慶一氏と、葡萄畑の青木和義氏、小柳帝氏の鼎談による70年代のモダンポップを総じてアートスクールロックと定義した記事があって、ここに載っていたものを、中古CDで見つけてはちょくちょく買っていた。
スパークスやオーケストラ・ルナ、カフェ・ジャックスなど捻くれポップの面白さは楽しめたものの、しばらくはそれ以上ハマる事はなかった。

数年前からアナログレコードを再び集めるようになって、下北沢のフラッシュディスクランチに一年ほど通ううちに800円コーナーにこれらのレコードが結構混ざっていて、なんとなしに買っていたらそこそこ集まるように…。(フラッシュディスクに行くと端から端まで見るので椿さんから「ホント良くみてるよね」と毎度言われてた。フラッシュはソウル/R&Bが手頃!)
セイラー、ルパート・ホルムズ、デフ・スクール、デヴィッド・ダンダス、スパークス、ユートピア、スプリットエンズなどなど。他のレコ屋でもこの辺りは結構安くなっていて、ルイス・フューレイ、ムーンライダーズ、パイロット、ミカバンド、メトロなんかも。80年代はルイ・フィリップ、トット・テイラー、90年代、00年代ではコースターズや、ジョセフィンウィッグス、ベニー・シングス、坂本慎太郎辺りも入るのかなと思っていて、買ってきてはこの棚に並べてる。

近年だとレモン・ツイッグスが出た時、「トッド・ラングレンやないかい!」と心の中で叫びながら真っ先にこの棚に押し込んだ。あとホイットニーも。あと出来ればジェリー・ペイパーも入れたい(が、先立つ物がない…)。

とまあ我が家の棚の中でも混沌とした一角になっている。なんでこんな話をしているのかというと、今月号のミュージックマガジンで特集されているAOR/ヨットロックの特集をチラ見して色々感じることがあったからなのだけども。

特集の選考でも参加されていた高橋健太郎先輩から引用リプが来て、ヨットロックとこれらの音楽は無関係では無いのではないかなんて事を考えてしまった。

モンド・悪趣味的なもの、恐らく時代の音として古くなったものをダサい前提で楽しむ志向と、B級なアーバンさがこのモンド・悪趣味的な感覚ではないかと思われる。ダサいよねと前置きしながらも実は好きという感覚。

欧米で使われるヨットロックというジャンルが日本で知られるようになったのがどれだったのかはっきりとは覚えていないものの、きっかけのひとつにネッド・ドヒニーのハードキャンディの頃の音源をコンピレーションした、Numeroレーベルリリースのコンピ辺りでちょっとした盛り上がりがあったと思う。

日本では昔からど定番のハードキャンディも、こういった再発から近年になってようやく本国アメリカで認知されたことや、サンダーキャットがドランクでマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスらを起用して、ヨットロック的なものを意識的に取り入れたりといったところが広まるきっかけになったのではないかと。

ミュージックマガジンの特集ではルパート・ホルムズのパートナーズ・イン・クライムが入っていたり(一般ではこのアルバムはAORだと思います)、モダンポップの一部に潜むAOR的な表現とB級なヨットロック的側面はあるのではないかと感じている。
(ルパート・ホルムズのメロウさは特集でも取り上げられていたプリファブ・スプラウトに通じるものがあると勝手に思ってる)

カフェ・ジャックスはある種スティーリー・ダンのイギリス解釈ともいえるし(プリファブもね)、ルパート・ホルムズのシングルズもモダンポップかつAORな内容。

セイラーや、スパークス、オーケストラ・ルナ、メトロのような、グラムロックから派生したようなシアトリカルさも、この辺りの人たちに共通した感覚があり、そういった雑多さがAORと呼ぶには野暮ったすぎるためか、分け隔てている原因なのかもしれないと思う。

まあ例えるならギルバート・オサリバンをAORに入れるかというと入れないわけでそういった感覚の違いが大きな壁として立ちはだかっているのではないかなんていう、しょうもないことを思ってしまう。(ベニー・シングスを聴くとギルバート・オサリバンのポップさを思い浮かべる)

とまあ、取り留めもない話をしておりますが、ミュージックマガジンのランキングにも入っていたジェリー・ペイパーのマイ・ゴッドがモダンポップ的に最高な内容なので、気になった方は聴いてほしい。


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