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【映画】ミレニアム・マンボ Millennium Mambo/ホウ・シャオシェン


タイトル:ミレニアム・マンボ4k Millennium Mambo 2001年
監督:ホウ・シャオシェン

2000年前後のあの時代がフラッシュバックする。舞台が台北であっても(途中で夕張と新宿が出てくるが)、振り返れば時代が持つ独特な空気や色合いがまざまざと蘇ってくる。ブラックライトの妖艶な輝きの中で蠢くナイトクラビングや、部屋のカラフルなインテリアなど、かつて東京でも見てきた風景の一部でもあった。女の子のやたらとタイトな服装やキャミソールなど、若い世代の一部でリバイバルされているが、やはりあの時代の空気とは少し違う。この頃も今もどん詰まりの生活を描く映画はあるが、この享楽さが内包されているかどうかも大きい。むしろ今のアメリカインディ映画の方がどん詰まりと享楽さが含まれる事が多い印象がある。こと台湾映画で比較すれば、ホウ・シャオシェンの門下生であるホアン・シー監督による「台北暮色」と「ミレニアム・マンボ」の間にある、共通点と相違点が浮かび上がってくるような気もする。享楽的で悦楽的な部分と、刹那的な生き方や描き方の違いのようにも感じられる。
ウォン・カーウァイの「華様年花」の撮影も担当していたリー・ピンビンによる映像の美しさも、やはりあの時代を強く感じさせる。ファジーで淡く色調の濃い色合いが、我儘な男に振り回される女の物語と絶妙にマッチする。
半野喜弘や林強(ロングデイズジャーニーもこの人)らによるクラブミュージックは、正直今聴くと辛いものがあるが、これもこれであの時代を喚起させる要素でもあった。
ホウ・シャオシェンの作品の中でも振り返られることの少ない作品なので、昨年のウォン・カーウァイリバイバルに通じる本作は、今観るべき作品だと思う。

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