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#ルージュの伝言の正体 (昭和生まれバージョン)

いや笑った。今この歌でこんな解釈問題?が起きるとは。そしてサイコーである。ちなみにささいな笹さんがaikoを聴きすぎてきた、とおっしゃるところで私はまさにユーミンを聴きすぎてきた人間である。

ささいな笹さんにこの妄想列車爆走記事(大笑)を書かせた元記事がこちら。

いやぁ面白いというか興味深い発見が最初にあった。

え、ルージュの伝言ってオンナ心の怖さのあたりじゃなくて、魔女の宅急便イメージで聴かれてるの!?

くどいが、昭和生まれの私は中学生からばりばりユーミン大好きでやってきた。もちろんさほど好きになれない(何故売れているかわからない)曲もあるけど結構歌詞も、その中にでてくる女の子のやり口(笑)もが「わっかる・・・」っていうほうが多く、さらにユーミン天才と思うような美しいメロディラインにお伽噺かとおもうような情景描写にぼーっとなったほうである。なので初期から1990年代後半までの曲は下手すると空で歌える。

でね、皆さんの「設定」読んでたらあれえ、そんな風にも・・・なるほど、とれるね?ってなった。面白いですね、生きてきた時代でやっぱり設定って結構ちがうのかも。ということで、誰も興味無いでしょうがおばさんが若かったとき思ってた情景を書いてみようかと思った次第。

ちなみに、これを下書きにいれている間に『ハッピーエンド系』を大麦こむぎさんが書いていらした。なるほどね、勘違い、それあるかもだよね。

時代背景(私がこの曲のこのイメージを持ち続けた理由)

あの時代ってさあ・・・女性が社会に出て行くチャレンジを世の中が後押ししているかと思いきやまだまだ古い価値観がべっとりあちこちにあったんだよね。
女性は進学しなくてもいいんだくらいの世の中で、適齢期だとかクリスマスケーキだとか(25になると突然半額以下で叩き売りされる意味)年齢に関する隠語?も沢山あった。仕事ではすぐ「オンナはそれだから仕事に向いてないんだ」といわれてしまう、そんなときだったよね。オンナは歯を食いしばって頑張るか、狡くなるか、もう自分で自分なりの生き方を切り開くしかないのか・・・なんて思うしかないような。多くの女性が見た目にも気を配り、隙のない武装メイクファッションをして仕事をしてて。今より肩に力が入ってた感じがある。
そんな時代だったから先駆者の年上女性と結婚前の年齢の女性とっていう組み合わせは 共感や助け合いたい気持ちでものすごく意気投合したり、逆に苛ついていがみあったりしてたな。

そんな女性たちをみてたので、私のなかで以下のストーリーができたようです。

ルージュは誰のもの?伝言の正体は?

ルージュは歌ってる女の子本人のもの一択。きっと「あのひと」=彼が買ってくれたかプレゼントしてくれたか、とにかく「パッケージみたら あぁあの時のか、って彼がわかるもの」。そういう化粧品に疎い男性でも自分が選んだとかプレゼントで買ってあげたとかいうのはさすがに覚えてるだろうし、それを無残に?伝言のために使われることの意味が突き刺さりそうじゃない?

伝言は「ざけんなよボケ!」くらいのものがミラーとかに殴り書き。

そのくらいの特別ルージュじゃないと、わざわざ伝言して家出、のパンチ力を持たせられないでしょ?と思うんだ。

ルージュの持ち主について

ここは意見分かれるだろうけど、
結婚を間近に控えた、相手の家族にものすごく気に入られている女の子がルージュの持ち主
として私は聴いてた。

理由1)彼の「ママ」に直訴(笑)しにいけるほど、女同士の絆ができていると思うから。そして「ママ」が彼女の味方であることを結構信じているあたりに、「この子がうちのお嫁さんになるなんて、嬉しいわ」とかなり好意的に受け入れられている・・・気がする。というか嫁姑の絆というよりどこか、すでに運命共同体的な繋がりをお互いに感じてる女性同士って感じる。なにか共通の目指すものがあって(時代的に新しい女の生き方、みたいな)ヘタな周りの同年代の友人より本気で相談に乗ってくれそう。

理由2)彼の「ママ」に言いつけに行くんじゃなくて心許せる相談相手として選んだんじゃないかな。でもどう見ても周りからは「言いつけに行った」になるだろうけど。すでに家族になるという前提をみんなが共有してるから「問題は私達だけの事じゃないわよ」という意味もあるのかも。
「叱ってもらうわ」は一応家族になるんだったら、の前提だけど本当の本音では彼女はママが何というか、味方でいてくれるからこそ別のこと言うかも・・・とは思っているしそっちを少しばかり期待もしてる気がする。

理由3)浮気発覚でママに直訴しに家出する位の女の子だ、ルージュが浮気相手のものだったらその前にそのオンナを探し出して突き返す(+きっと殴るかなんかする)んじゃないかと思う。

理由4)『街はDing-Dong 遠ざかってゆくわ』は、あんたのしたことで結婚の🔔鐘の音は遠ざかるんだよ、と言ってる。この曲が発表された時期(1975年)とそうそう変わらない時期(1981年)にウェディングベル↓という曲が流行ったが、そこからも分かる様に当時は世の中に「結婚式場の鐘の音」っていうのが幸せな結婚イメージ、とがっつり手を繫いでた気がする。(懐かしいな、この曲。なんかこういう、普段はおとなしいけど「くたばっちまえ」ってつぶやけちゃう女の子が増えてた時代な気がするのよ)

「残されたなにか=伝言」とは

前にも書いたけど、その言葉自体は短い怒りまかせのもの、だと思う。ばーか、あほ!とかね。普段はそんな言葉を人に向けない彼女なんじゃないかと推察。その彼女の怒りのメッセージ。
だけど破壊力をもってるのはその「ルージュ」そのもの、普通なら男性は口紅がどのメーカーだとか、ヘタすると彼女の口紅と浮気相手の口紅がメーカーも色も違っても分からないかもしれない。いや、きっと分からないし知らない。
それでも「そんな男性でも覚えてる口紅」だったら。二人に大事な意味のある口紅だったら。
やったことないけど、浮気疑惑発覚してそんな口紅あったら私でもやっただろうな(いや、だからやってない)。

登場人物紹介

そうそう、肉村ハム蔵さんもささいな笹さんも登場人物の年齢とかにも言及してたね。まずその線でいってみようか。

主人公の彼女:24〜25歳、その頃の社会的に「結婚ね!?」って言われる年。社内恋愛で2年ほど付き合っていた彼からプロポーズされて、双方の家族にも会ってる。彼とは部屋を行き来する仲だけどまだ自分の部屋もキープしてる、そこにはちょっぴり彼女の「自分のキャリア」感と世の中の「寿退職*ムード」への葛藤も。彼の「ママ」とは初対面から意気投合し、彼のお父さんと彼を置き去りにして二人で喋りつづけるような仲良し。結婚しても仕事はなんとか続けたい・・・と思ってて、寿退職*の多かった時代だから ちょっとワガママだろうか、とは思ってる。そんなところも’先駆者’ママと意気投合した部分かと思われる。
*寿退職:女の子は就職後数年で結婚が決まると「退職します」という勝ち組?抜けルートがあった。ように思う。もう今はないだろうな。と、思いたいけどどうなんだろう。

彼(あのひと):25〜26歳、仕事も順調なイケメン。彼女の事が大好きだけど仕事も波にのってきてちょこちょこ目立つ立場になり、そうなると自覚するほどではなかったのに「あれ、俺、モテてる?」な誘惑が増えてときどきぐらっとする。それでも一応彼女と結婚しての将来には夢をみている。両親との仲は悪くないけど、自分の美人の母がなかなかに男勝りで怒ると父ですら逃げ隠れするほどとことん怖い(しかも小さい頃のやらかしという、どうにもならない彼の弱味を山ほど持ってる)ということは知ってる。マザコンというより「この人を怒らすと後々かなり大変でいろんな人を敵に回す」と知っている。

浮気(疑惑)相手:多分隙あらば彼を自分のものにしたい女性。同じ会社の同期〜ほとんど年齢一緒な先輩。なんだったら主人公の彼女ともそこそこ接点もあるし仕事ではそこそこ良いチームになれちゃうひと。ちなみにこの彼の浮気(疑惑)相手は、主人公の彼女との結婚話が進みはじめてから「2人目」と推察。ホントかどうかは・・・もう彼次第だよねぇ。

彼(あのひと)の「ママ」:当時はまだ少なかった、仕事も家庭も諦めないカッコいい最先端をいく女性。仕事でも「オンナだから」と言われるのを嫌い、実力でその世界で生き続けている。家では「家事まで完璧は無理に決まってる!けどみんな元気ならそれでいいよね!」的なひと。大局をみて判断するのでそこを知らないと大抵のことに鷹揚なんじゃ?にもみえるが、物事のキモとなる部分に触れることには怒り狂う。怒らすとかなり怖い。

(一切でてこないけど)彼のお父さん:地味目、無口で奥さん大好きな、仕事のできる中年男性。何気にこの彼の実家のまとめ役。

てな感じかな。


その日何が起こった

浮気疑惑発覚は本当に何気ないものだったのでは。この主人公の彼女は仕事上その女性を直接知ってるからうっすらと「ヤバそうよねぇ、なんかひょっとしちゃったら」くらいの危機感はもってたはず。
あるとき彼の部屋に不審なもの(ちょっと珍しいボールペン、とか)を発見。何気なく手にして突然、「あ、これは彼女のだ!」となる。なんで彼女の私物が彼の部屋に?ついでに彼が昨日仕事の付き合いの飲み会で遅くなったとかなんとか言ってたこと、今日部屋に来ることを伝えたら一瞬あわあわと素振りがおかしくなったことなどが繋がって思い出される。そういえば今日、あの彼女の服はスカーフが加えられただけで昨日と変わらなくない?

色っぽくないものからいろいろつながって辻褄あうときほど、恐ろしいことはない。ほぼ確実な事実が見えてるから。以前に一度そういう「いろんなことが繋がって見え」たことを彼に冗談交じりにつたえたら場が一瞬凍り付いたことを彼女は思い出す。責めきらなかったけどあれは起きちゃった浮気だったと思ってる。こいつ、そういうやつだもん・・・でも私は彼のことが好きだ。彼も私の事をとても好きなことを知ってるし前回のは押しの強い女だったのは私もわかるから。でもでも・・・いくら可能性あるからってやっぱり、今回のは私の思い過ごしじゃない?
将来の私の仕事のことも含めてサポートしてくれる気満々な彼なのよ?彼の家族となら自分の将来もサポートもらいながらの想像ができるのに・・・ここまで来てハッとする。私にそんな打算的な部分があるのに。でも疑惑でも浮気が二度も、はあり得ない。疑惑は限りなく真実だということを、女の直感が点滅の黄信号で伝えてる。

震える手で大事に使っているプレゼントされた口紅を震える手で取りだし、深呼吸。しばらく考えてバスルームに向かい、キャップを外すと「ふざけんな、ぼけ!」と鏡に書き散らす。怒りの筆圧で途中で無残に口紅は折れる。折れた口紅はそのままシンクへ、キャップはバスルームの窓に全力で投げつける。もちろん見つけたボールペンは折って、口紅と一緒にシンクに捨てておく、すぐ見つかるように。

ケータイのない時代、ポケベル(ってもんがあったよね)の電源を切って家出する。言い訳ききたくない、心配して見せろ、私の部屋にも私はいないよ。なんであの口紅で伝言したかで 私が何を知ったかわかるでしょ。

彼を信じ切れない自分、打算的な自分、そんなものもまざまざと見せつけられて、ふと相談したい相手で思いついたのは「ママ」。いや、呼び名はそうだけど同志で先輩で憧れるひとだから。

彼の実家に向かう電車、怒りと悔しさと傷ついた心で頭が動かない。自分の気持ちも分からなくなって来た。「ママ」は何ていうだろう。私のために怒ってもくれるだろうけど、もしかしたら何も言わずぎゅっとしてくれるだけかな。それは「もう家族にはなれないね」のぎゅ、かもしれないし「自分の夢を捨てない方法、考えよう?」の先輩としてのぎゅ、かも。

単に世の中で言われる「結婚適齢期」に彼の存在があってプロポーズされて、彼のママが仕事を続けてる人だから味方になってくれることを期待していただけじゃないの、私・・・考えれば考えるほどわからなくなる。彼の裏切り(と思われること)にものすごく傷ついているのに、自分の狡さもまた見えてくる。
ママはきっと「泊まっていきなさい」っていってくれるし何時間でも話をきいてくれる。表面上「明日の朝に電話で」息子を「叱ってもらう」ことを期待するけど、でも本当は・・・本音で女性の先輩として言葉をもらいたい。


昭和バージョンまとめると

・・・・とまぁ、ほんとはそんな女の子の気持ちが埋まってる(言葉になってない)のではないかと思うわけ。
世の中の流れに逆らえず「まぁこんなもんか」と結婚する人もいたし、いろんな葛藤するひともいたよなぁなんて思いつつ(この曲を聴いてた頃の私はやっとティーンだったので間近でみてないけど)。

まだトレンディドラマが出る前だったよね。流行の歌にちょこちょこオンナの子の本音が現れるくらいでさ。ルージュの伝言ってそのうちのひとつだったと思う。

・・・なんてことを懐かしく思い出しながら妄想列車を走らせました!
(それにしても五千字書くとか、どんだけ私も入れ込んでんのwww)

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